最終更新日:2022年1月26日
背骨を押すと痛い原因とは?痛みを感じる時にしてはいけないことも紹介

こちらの記事の監修医師
久米 健介

背骨を押すと痛いが原因がわからない、そこまで強い痛みではない場合、無理をして悪化させてしまったという人もいるでしょう。今回は、背骨を押すと痛い原因と痛みを感じる時にやってはいけないことを紹介します。背骨の痛みにもさまざまな病気があり、中には生活に支障をきたすものもあるため注意が必要です。
目次
背骨を押すと痛い原因とは?
背骨を押すと痛い原因として下記が考えられます。
- 腰頸椎間板ヘルニア
- 変形性腰椎症
- 骨粗鬆症
- 坐骨神経痛
- 腰部脊柱管狭窄症
- 筋筋膜性腰痛
- 帯状疱疹
それぞれの病状を詳しく見てみましょう。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎間板ヘルニアは、背骨の間のクッション材である「椎間板」が変形して飛び出してしまい、神経を圧迫して痛みが出る症状です。
クッションのような役割をはたしている椎間板は、水分をたくさん含んだゼリー状の髄核とそれを取り囲む線維輪と呼ばれる軟骨組織の二重構造になっています。
椎間板が加齢により、髄核を取り巻く線維輪が弾力を失い、小さな亀裂が入ります。そして、その髄核の一部が外に飛び出してしまったものがヘルニアと呼ばれるものです。
高齢者よりも20代から40代の比較的若い男性に多い病気で、長時間の前かがみの姿勢や中腰の姿勢を続けたり、重いものを急に持ち上げたりしたときなどに発症する危険性があります。
痛みが激しく歩けなくなることもありますが、症状が軽い場合はそのままにしておく人もいるかもしれません。
しかし、手を施さないと慢性的な痛みにつながるので注意が必要です。
腰の痛みだけでなく、左右どちらかの太ももから膝や足にかけて激しい痛みが起こる坐骨神経症を伴うケースが多いため、痛みがあるならば受診するといいでしょう。
変形性腰椎症
変形性腰椎症は、脊柱の動きを可能としている椎間板と後方の左右一対の椎間関節が退行変性した状態をいいます。加齢により症状が現れるもので、無症状のことも多いため気づかない人もいるでしょう。
しかし、変形が進むと慢性の疼痛や可動域制限が生じ、まれに神経根症状を生じます。椎骨がお互いに衝突することで、骨がすり減ってしまい、一部の骨がトゲのようになり、周りの神経が刺激されることが原因です。
主な症状は、鈍く腰が痛む、腰がだるい、腰が重いなどで起床時や疲労があるとき、腰の動かし始めに痛みが生じます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。高齢化に伴って増加傾向にあり、年齢を重ねると骨がもろくなってしまうため、つまずいて手や肘をついたりした時や、くしゃみをした時などのわずかな衝撃で骨折してしまう可能性もあります。
痛みなどの自覚症状がないことも多いため、定期的に骨密度検査を受けるなど日ごろから細やかにチェックするといいでしょう。
背中を押すと痛くなるのは、骨粗鬆症により背骨が骨折しているケースです。背中や腰が曲がるなどの原因ともなりますが、痛みをそこまで感じずに単なる腰痛として見過ごしてしまう人もいます。
また1か所骨折すると、その周りの骨に負担がかかり連鎖的な骨折につながることもあるので、早期発見・早期治療が重要です。
坐骨神経痛
坐骨神経痛は、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激により痛みや痺れなどの症状のことです。
多くの場合、お尻から足の後ろ側にかけての痛みや痺れがでてきます。注意したいのは坐骨神経痛とは病名ではなく、頭痛や腹痛と同じ症状を表す言葉だということです。
そのため、坐骨神経痛の原因は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、梨状筋症候群、仙腸関節炎などと考えられます。
坐骨神経痛が疑われる場合は、病気がわからなければ治療もできないので、詳しい検査や診断を受けるために早急に受診してください。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、脊髄の神経が通る脊柱管が狭くなる病気です。
中高年に多くみられる病気であり、加齢や仕事による負担、腰の病気などが原因で背骨が変形することで、脚部の神経をコントロールしている馬尾神経を圧迫します。
腰痛はそこまで強くありませんが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると脊柱管を狭めて
しまい、馬尾神経をさらに圧迫してしまいます。背筋を伸ばして歩いているときに、手足のもつれなどの症状が出たら腰部脊柱管狭窄症を疑うといいでしょう。
また、少し前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは軽減するのも腰部脊柱管狭窄症の特徴です。
この病気にかかると歩くことも病状を悪化させる可能性があり、放っておくと仰向けになっても足のしびれが起こり、身体を横にして背中を丸めないと眠れなくなるだけでなく、排尿・排便障害を起こすこともあるので早急に治療を受けましょう。
筋筋膜性腰痛
筋筋膜性腰痛症は、筋肉と筋肉を覆う筋膜の部分で痛みが起きている状態です。スポーツ全般において最も頻度が高い傷害の1つで、腰の筋膜や筋肉の損傷による腰痛の一種でもあります。
原因は、スポーツ中の屈伸や回旋、衝撃などの無理な体勢によって、背筋に過剰な負担がかかることです。
症状は腰椎に沿って発生する腰痛や圧痛、運動時痛で、症状が悪化すると背筋の緊張が高まり筋肉に沿って痛みます。
レントゲンで見られる変化もないため診断が難しいですが、いわゆる「ぎっくり腰」も筋筋膜性腰痛症の1つです。身動き困難な場合は安静にし、その後アイシングをするといいでしょう。
長期間の安静は筋力や柔軟性の低下につながるため、強い疼痛が軽減したらすみやかにストレッチングを行います。
自己判断で進めるのではなく、腰痛に関する知識を持っている整形外科を受診して、リハビリスケジュールを組んでもらうといいでしょう。
帯状疱疹
帯状ヘルペスは、子どものころに感染した水疱瘡ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、体の抵抗力が低下したときに再び活性化しておこるもので、痛みをともなう赤い斑点や水ぶくれなどの発疹が神経の分布に沿って帯状にできる疾患です。
顔や胸、背中、お腹などの一部に発症するケースが多く、最初に刺すような痛みやかゆみがあらわれ、赤いブツブツとした発疹が出ます。
発疹の上に小さな水ぶくれがたくさん現れて炎症によって膿を持ちますが、かさぶたに変化して通常3週間ほどで完治されます。しかし、帯状疱疹後神経痛や合併症などを引き起こす可能性もあるので病院に行きましょう。
また、帯状疱疹は人に移す病気ではありませんが、水疱瘡ウイルスが存在しています。そのため水疱瘡のワクチン接種をしておらず、水疱瘡に罹ったことのない乳幼児などが帯状疱疹に触れると水疱瘡になる可能性は否定できません。
背骨の出っ張りがピンポイントで痛い理由とは?
背骨の出っ張りがピンポイントで痛いのは、背骨の一番後ろの真ん中部分にある棘突起を痛めた可能性と疲労骨折が考えられます。
棘突起の靱帯に負荷がかかるような動きや激しいスポーツ、ケガや事故などで傷めると炎症を生じて、背骨の出っ張りを押した際に痛みを感じるでしょう。
また、椎体と椎弓にて構成されている背骨は、腰椎分離症とも呼ばれる疲労骨折を起こしやすい箇所でもあります。
骨が成長しきっていない若年層やスポーツを日常的に行っている人の場合、負担が積み重なって疲労骨折を起こしやすいです。
背骨を押すと痛い場合は癌の可能性も?
背骨を押すと痛い場合、胃・十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう、胆管炎、消化器の癌の可能性もあります。
しかし、症状チェックのセルフチェックは非常に難しいため、突然高熱が出るなど、風邪とは違った症状がある場合は、癌の可能性も疑った方がいいかもしれません
また、すでに癌に罹っている場合は脊髄への骨転移の可能性もあり、放っておくと手足の痺れなど神経症状を伴うケースもあるため注意してください。
猫背だと背中が痛くなる?
猫背などの姿勢の悪さから背中を痛めることもあります。姿勢が崩れると頭部の重さを上手く背骨が分散できず、首や背中の筋肉に負担がかかることで痛みを引き起こします。
さらに胸郭も狭めてしまい、呼吸が浅くなって全身の血流が悪くなってしまいます。首や肩こり、腰痛の原因にもなるので猫背と認識している人は、早急に姿勢を正しくしましょう。
背骨を押すと痛い時にしてはいけない3つのこと
背骨を押すと痛いときにやってはいけないことは、以下3つです。
痛み止めで痛みを紛らわす
重い荷物を持つ
負担のかかる姿勢で作業をする
痛み止めで痛みを紛らわす
背骨を押すと痛い場合、神経痛が考えられるので痛み止めで紛らわすのではなく、適切な診断を受けるために病院へ行きましょう。痛み止めでは根本の原因解決にはつながらないため、いつまでも紛らわせているのは危険です。
放っておくと生活に支障をきたす可能性もある病気もあり、痛み止めで対処するのではなく、早急に受診しましょう。
重い荷物を持つ
重い荷物を持つと背中に負担を大きくかけるため、痛みがあるならば重い荷物は持たないようにしましょう。重い荷物を持つことでさらに症状を悪化させる危険性もあります。なるべく背中に負担をかけないようにしてください。
負担のかかる姿勢で作業をする
前かがみなど、背骨に負担のかかる姿勢で作業していると、背中を圧迫してしまいます。過剰な運動や無理な負担をかけないように、正しい姿勢で生活するようにしましょう。
また、大丈夫だろうと自分で決めずに病院で診断を受けることも大切です。
背骨が痛い時は何科にいくべき?
背骨を押すと痛い場合は整形外科に行きましょう。患部の固定や冷却、内服治療、神経ブロック注射、リハビリテーションなどの治療を受けられます。
まとめ
背骨が痛いといってもさまざまな原因があります。自分で判断せず、整形外科や整骨院に行って治療を受けて、今後の生活も相談するといいでしょう。また、重い病気の可能性もあるので背中に痛みがある場合は、重いものを持たない、無理な姿勢で作業しないなど負担を掛けないようにしてください。

リウマチ、整形外科
資格
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
日本リウマチ学会指導医
日本アフェレシス学会専門医
略歴
広島大学医学部卒業
●イシャチョククリニックページ
●東京リウマチクリニック
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