最終更新日:2021年12月20日
股関節の痛みの原因とは?どこにいけば治せるのかも紹介

こちらの記事の監修医師
田園調布長田整形外科
長田夏哉

「股関節が痛いがどんな原因があるのかわからない」このような悩みを抱える人もいるでしょう。今回は股関節の痛みの原因と治すにはどうすべきかを紹介します。一言で股関節の痛みといってもさまざまな原因があるため、痛みが1週間以上続く場合は、整形外科での受診を検討するといいでしょう股関節の痛みに悩んでいる人はぜひ本内容を参考にしてください。
目次
股関節の痛みと関係ある病気
股関節の痛みと関係ある病気として、以下7つがあります。
- 大腿骨頚部骨折
- 変形性股関節症
- 関節リウマチ
- 特発性大腿骨頭壊死
- 化膿性股関節炎
- 外傷性大腿骨頭壊死
- 外傷性股関節脱臼
すべて股関節に痛みが生じる点は共通していますが、原因となる病気は違うので注意が必要です。
ここでは股関節の痛みと関係ある病気を解説します。
◇大腿骨頸部骨折
大腿骨頚部骨折は太ももの骨(大腿骨) の脚の付け根に近い部分の骨折です。股関節の関節包の外側で骨折する「外側骨折」と、股関節を包む膜である関節包より内側で骨折する「内側骨折」とに分けられます。
関節包の外側は血流がよいため骨がくっつきやすいのですが、内側は血流が乏しいため折れた骨はなかなかくっつきません。
大腿骨頚部骨折は高齢者、特に女性に多く見られる骨折で、骨粗鬆症などで骨がもろい状態で起こりやすく、原因のほとんどは転倒によるものです。
症状としては骨折した直後から脚の付け根の痛みと腫れがあり歩けなくなります。
◇変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨や骨が傷んでしまうことで股関節痛や歩行障害が現れる病気です。中高年の女性に起こりやすく、一度発症すると静かに進行していく病気なので、痛みや歩きにくいなどの障害を自覚した場合、なるべく早く診察を受けてください。
関節の軟骨がすり減って関節の隙間がわずかに狭くなる初期は、起き上がりや立ったとき、歩き始めなどに足の付け根に違和感がある程度ですが、症状が悪化すると痛みが増し、長時間の歩行などが辛くなります。
さらには足の爪切りや靴下をはくこと、正座も難しくなり日常生活に支障を来たすことが多いです。
◇関節リウマチ
関節リウマチは関節の炎症により、軟骨や骨が破壊されて関節の機能を損ない、放っておくと関節が変形してしまう病気です。手足の関節で起こりやすいですが、膝関節や股関節など下肢の大関節も侵されることがあり、歩行が著しく困難になることもあります。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが他の関節の病気と大きく異なる点です。
関節の症状だけでなく、発熱や倦怠感、食欲不振、貧血などを伴うこともあり、関節の炎症が肺や血管などに広がる恐れもあります。
原因は免疫の異常により起こると考えられており、本来は関節液を作って関節の機能を支える滑膜に炎症が起こり、炎症が長期化すると関節の破壊につながりますが、免疫がなぜ異常を起こすのか原因については現在のところ完全にはわかっていません。
ただ、遺伝的要因や喫煙習慣、歯周病との関連が指摘されています。
◇特発性大腿骨頭壊死
特発性大腿骨骨頭壊死は、大腿骨頭の一部が血液の低下によって血が通わなくなり骨組織が死んだ状態(壊死)に陥る病気です。
骨に壊死が起こること(発生)と、股関節に痛みが出現すること(発症)には数ヶ月から数年の時間差があるため、壊死が発生するだけでは痛みはありません。壊死した大腿骨頭が体重を支えきれなくて潰れてくると痛みが出てきます。
主な症状は比較的急に始まる股関節痛で、長い時間かかって進行する変形性股関節症とは違い、急性に発症するため関節変形による機能障害は初期にはあまり見られません。
原因はまだはっきりとわかっていませんが、危険因子としてステロイド薬やアルコールが考えられています。
◇化膿性股関節炎
化膿性股関節炎は、股関節に細菌が侵入しておきる炎症です。比較的抵抗力が整っていない赤ちゃんや幼児に起こることが多く、股関節の骨や軟骨がまだまだ柔らかくて未熟で股関節に感染して膿などで圧力が高まると、軟骨や骨に変形の後遺症が残る可能性が高く緊急治療を要します。
症状としては関節の痛み、熱感、腫れ、発赤などと同時に全身症状の発熱、食欲不振、悪寒、全身倦怠などが現れます。
化膿性関節炎の要因である股関節の中に細菌が侵入する原因は、体の中の別の箇所に尿路や扁桃腺の感染などの感染巣があるケースや、骨髄炎による影響、注射や怪我などで関節の中に細菌が侵入するケースです。
◇外傷性大腿骨頭壊死
外傷性大腿骨頭壊死も特発生と同じく、大腿骨頭の一部が血液の低下によって血が通わなくなり骨組織が死んだ状態(壊死)に陥る病気です。
大腿骨頸部骨折で転位を生じる酷い骨折の場合、大腿骨頭を栄養する血管がダメージを受けていることが多いため、骨接合術をうけて骨折部は治癒しても大腿骨頭への血流が途絶えて骨壊死を生じる場合があります。
骨折が原因となって壊死が起こるため特発生とは違いますが、症状は同じで初期症状は壊死だけなので痛みを伴いませんが、時間が経つと股関節痛を自覚するでしょう。壊死して潰れた骨頭を元通りに治す治療法しかないため、早い診断をおすすめします。
◇外傷性股関節脱臼
外傷性股関節脱臼は、外傷による股関節部の脱臼のことで、交通事故などの強大な外力が股関節に直接、または大腿部を介して間接的に加えられたときに起こります。
脱臼だけでなく骨盤や大腿骨周辺の骨折を伴う可能性もあり、のちに大腿骨頭壊死や変形性股関節症になるため注意が必要です。
さらには受傷時の合併症として坐骨神経麻痺や膝関節後十字人体損傷を起こしていることもあるので、早急に診断すべきでしょう。
若い女性の股関節の痛みは変形性股関節症が原因?
若い女性が股関節に痛みが生じる場合、変形性股関節症が原因かもしれません。変形性股関節症になる原因として、以下が考えられます。
- 股関節の痛みにつながるストレッチ
- 開脚ストレッチ
- 捻りポーズ
スポーツをする女性が増えたことはいいことですが、股関節を傷つけているかもしれないため注意が必要です。
◇股関節の痛みにつながるストレッチ
硬くなった筋肉を伸ばすためのストレッチは大切ですが、痛くても我慢して伸ばしすぎては逆効果です。自分の動かせる範囲を超えて筋肉を伸ばし、筋肉が引っ張られたり、筋肉が緊張したりするストレッチは股関節の痛みにつながるため止めましょう。
もしストレッチをした翌日に痛みが残る場合、「過剰なストレッチをしていた」ことが考えられるため、強度の低いものにしてください。ストレッチは30秒以上行うことがおすすめですが、強度によって伸ばす時間も変えましょう。
◇開脚ストレッチ
開脚ストレッチを短時間で無理に関節を伸ばそうとすると、関節を安定させている靱帯や、周囲にある関節包を伸ばしてしまい、股関節が不安定になってしまいます。
とくに寝起きのときは、安静にしていた股関節を強引に動かしている可能性があるので、立って歩くなど軽く股関節を動かしたあとで呼吸を整えてからゆっくりと柔軟性を高めるといいでしょう。
開脚は個人差があるため誰もが簡単にできないため、もしできない人が無理に足を開こうとすると逆に痛みを引き起こします。ストレッチは欠かさない方がいいですが、もし痛みを伴う場合は注意が必要です。
◇捻りポーズ
ヨガでよく見かける「腰を捻りながらそらすポーズ」や「おなかを捻りながら反らすポーズ」も股関節を痛める可能性があります。なぜなら股関節と腰は密接に連動しているので、腰に負担が掛かる捻るポーズは、股関節にも同じく負担を掛けてしまうからです。
捻るポーズを行うときは、腰や股関節に痛みがなく十分に可動域を広げられる状態になってから行うといいでしょう。
急に股関節が痛くなる原因とは?
急に股関節が痛くなる原因は、以下3つが考えられます。
- 肥満
- 血行不良
- 運動不足
痛くなる原因について詳しく見てみましょう。
◇肥満
体重が重いと腰に掛かる負担が増えて、股関節の変形をもたらす大きな原因となります。とくに日本人女性の多くは生まれつき骨盤のくぼみが浅く、肥満の場合は軟骨を減らしやすく痛みが出やすいでしょう。
そのため、軽い運動で筋力をつけて股関節の負担を減らし、1kgでも減量させると効果的です。肥満を防ぐために減量に取り組む生活を考えておくことをおすすめします。
◇血行不良
血行不良の場合、細胞に必要な酸素や栄養素が行き届かなくなり股関節に痛みが現れます。これは、骨格や体の使い方の癖によって一定の筋肉に負担が掛かると血流が悪くなり、筋肉が硬くなり動きが悪くなります。そのため通常以上に関節に負担が掛かることで痛みが生じるとされています。ただ、血流をよくして、筋肉の動きがよくなることで痛みを軽減できるでしょう。
もし外的な要因で股関節の変形が起きたとしても、血行不良を改善すれば痛みを和らげられます。
◇運動不足
運動不足により股関節周囲の筋力が低下すると、股関節への負担が大きくなり、関節軟骨がすり減って摩擦が起きやすくなり痛みが現れます。
すでに痛みがあると運動を控えがちですが、ウォーキングやストレッチなど、軽い運動から始めて股関節周囲の筋肉を鍛えることが重要です。
ただし、運動のやり過ぎは逆効果なので無理ない程度に行ってください。
動きすぎで股関節が痛くなることも?
病気ではなく動き過ぎで股関節が痛くなることもあります。過度な運動やストレッチはまた股関節を痛めるので注意しましょう。ただし、痛みが継続する場合は、痛む時間や場所などを把握しておくと診断時の助けになります。
一時的に動き過ぎて痛いだけならば安静にしておけばいいですが、もし継続する場合は何らかの病気である可能性も否定できないので病院での受診も検討してください。
股関節が痛い時は何科にいけばいい?
股関節が痛い場合、整形外科に相談するようにしてください。
痛みが1週間以上続く、安静時でも痛い、日常生活を送るのが困難などの症状を自覚できる場合は、すぐに受診するといいでしょう。放置すると痛みが強くなり、場合によっては手術しなくてはなりません。
原因を把握するためにも早めの受診をおすすめします。
まとめ
痛みを防ぐには日常生活から運動を行い、肥満を防ぐことも重要です。それでも股関節の痛みが生じる場合はさまざまな原因があるので、もし痛みが続く場合は整形外科への受診を検討してください。
自己判断だけでは間違いもあるため、医者の診断を仰ぐといいでしょう。
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こちらの記事の監修医師
田園調布長田整形外科
長田夏哉
田園調布長田整形外科 院長
整形外科/リハビリテーション科/一般内科/女性医療/自然療法
日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科学教室に入局し整形外科専門医の研鑽を積む。主流医学に没頭する中、自然な流れで全体性の視点を育みボデイ・マインド・スピリット視点のトータルヘルスケアについても研鑽を深める。平成17年田園調布長田整形外科を開院、独自の直観医療で多くの方が「生き方」のアドバイスに訪れる。
日本整形外科学会専門医。
日本スポーツ協会公認スポーツドクター。
日本スポーツビジョン協会理事長。
「人生が変わる不思議な診察室」サンマーク出版など著書多数。
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