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最終更新日:2022年3月18日

日常の「当たり前」を奪う…股関節異常「14のサイン」と「5分の予防」【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
塗山 正宏

※画像はイメージです/PIXTA

意外と感じている人が多い股関節の違和感。「屈めない」「靴下が履けない」「正座ができない」などの自覚がある場合はかなり症状が進行している証拠です。「予防のためにも、症状改善のためにも効果的なのはストレッチ」だと、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏院長はいいます。なかなか気づけない股関節異常のサインと、たった5分でできる予防法について、塗山院長がわかりやすく解説します。

股関節周辺に「あれ?」を感じる人は、意外と多い

人間の体のなかで、もっとも複雑な動きをする股関節。歩いたり、屈んだり、座ったり、さまざまな動作を自在に行うことができるのは、股関節の動きがスムーズだから。反対に、股関節の機能が衰えると、これまで当たり前のようにできたことが急にできなくなったりします。また、不意に違和感やつまりを感じるシーンも増えてきます。

痛みや違和感を放置すると、人工関節が必要になることも

股関節に違和感やつまりを感じても、多くの場合、歩き始めや屈む動作をしたときなど、「一瞬」で終わってしまいます。そのため、その違和感が股関節に原因があるかどうか、自分で見極めるのは難しいかもしれません。

しかし、股関節の異常のサインを見逃してしまうと、知らないうちに症状が悪化して、将来歩行困難になり、人工関節が必要になったりすることもあります。どんな病気にもいえることですが、股関節の異常は特に「早期発見、早期治療」が大切なのです。

もしかして股関節異常?すぐに試したいセルフチェック

股関節に異常があるかどうか見極めるために、次のセルフチェックを行ってみてください。当てはまると思うものにチェックを入れ、最後にチェックのついた項目の数を数えます。

3問以上当てはまったら、整形外科の受診を検討することをお勧めします。

□歩き始めのとき、太ももの付け根が痛い
□運動をしたあと、太ももの付け根やお尻の横が痛い
□スカートやズボンの丈が左右で合わない
□整体やマッサージで「左右の足の長さが違う」と指摘されたことがある
□歩いているとき、体が左右に揺れていると指摘されたことがある
□階段の昇り降りがしづらい
□子供のころからあぐらをかくことができない
□家族または親戚に、股関節の疾患を抱えている人がいる
□靴下や靴が履きづらいと感じる
□足の爪を切りづらい
□寝返りを打つとき、太ももの付け根が痛いことがある
□屈伸運動をすると、脚が痛い
□安静にしているときでも、太ももの付け根あたりが痛い
□痛みがあるためなにもしたくないと感じる

特に、「この3項目」に要注意!

上記のセルフチェックのなかで、次の項目にチェックが付いた人は、特に、股関節に異常がある可能性があるので気をつける必要があります。

  • スカートやズボンの丈が左右で合わない
  • 整体やマッサージで「左右の足の長さが違う」と指摘されたことがある
  • 歩いているとき、体が左右に揺れていると指摘されたことがある

これらのうちひとつでもチェックが付いた人は、「変形性股関節症」の可能性があります。これは文字通り、股関節が変形していること。それによってさまざまな不具合が生じる病気です。

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ったことが原因で起こります。軟骨がすり減ると、股関節の骨が変形してしまいます。そのため、痛みや違和感が生じたり、動かしにくくなったりします。

変形性股関節症になると、関節が亜脱臼したり、大腿骨頭という骨が潰れたりして、左右の脚の長さに違いが出やすくなります。その結果、スカートやズボンの丈の長さが左右で合わなくなったり、歩いているときに体が左右に揺れていたりするのです。

変形性股関節症は、遺伝する可能性も

さらに気をつけたいのは、変形性股関節症は「遺伝する可能性もある」ということです。

特に女性は生まれつき股関節がずれていたり、骨盤の発育が不全だったりすることが多く、女性が変形性股関節症を発症する場合は、遺伝的要因が引き金となっているケースが少なくありません。

もちろん、女性だけでなく男性でも、股関節の異常は遺伝する可能性があります。そのため、親や親族で股関節に疾患を抱えている人は、常に、自分の股関節の状態にも注意を払うことをお勧めします。なにかちょっとでも「あれ、おかしいな」と感じたり、セルフチェック項目のなかでこれまで当たり前のようにできていたことが急にできなくなっている場合は、整形外科を受診しましょう。

股関節の動きが驚くほど滑らかになる「5分間ストレッチ」

股関節の違和感を解消し、つまりをほぐすには股関節の可動域を広げることが大切です。どの関節もそうですが、人間の体は使わない部分は衰えてしまうからです。

そのために最適なのは、ストレッチ。可能なら毎日行い、日常的に刺激を与え続けると、少しずつ股関節の可動域が広がって、違和感やつまりも解消されるでしょう。

ストレッチの注意点は「痛みを感じない程度に」「呼吸とともに行う」

股関節の動きには、次の6つの動きがあります。

1.屈曲…脚を曲げる
2.伸展…脚を伸ばす
3.外転…脚を外側へ開く
4.内転…脚を内側へ入れる
5.外旋…脚を外へ回転させる
6.内旋…脚を内へ回転させる

「屈曲と伸展」「外転と内転」「外旋と内旋」というように、それぞれ相反する動きがセットになっています。ストレッチを行うときには、その相反する力を利用します。

(1)片膝をついてもう片方の膝を折り曲げる「屈曲」と「伸展」のストレッチ

1.右膝を深く折り曲げ、左脚のつま先を床につけて、左膝も床につけるようにゆっくり腰を落とす
2.腰が前屈みにならないように気をつけ、15〜30秒間キープする
3.反対側も同様に行う

[図表1]「屈曲」と「伸展」のストレッチ

これは、屈曲と伸展を同時に行うストレッチです。右脚は屈曲、左脚は伸展になっています。

股関節が硬い人は、腰が思うように落ちないかもしれませんが、前屈みになってしまうと後ろの右脚が伸展しなくなってしまうため、腰をまっすぐに落とすことを意識しましょう。

(2)足を深く折り曲げる「外転」「屈曲」のストレッチ

1.右膝を深く折り曲げながら腰を落とし、左脚を伸ばす
2.腰を下ろした姿勢で15〜30秒キープ。反対側も同様に行う

[図表2]「外転」「屈曲」のストレッチ

このストレッチは左右の脚に対して、外転と屈曲の動きをさせています。

実際に行ってみるとわかると思いますが、両脚とも、股関節をグルっと外側に回転させつつ、太ももをお腹につけるようにして屈曲させています。股関節が硬い人は、足幅を狭くして行うとやりやすいでしょう。

(3)ベッドの上ですぐにできる「内転」のストレッチ

1.ベッドなど、床から高さのあるところで、右側のお尻をつけて横向きの姿勢になる。右肘で上体を支える
2.左脚をベッドからおろして空中へ伸ばし、再び元の姿勢に戻す。これを15〜30秒間続け、反対側も同様に行う
[図表3]「内転」のストレッチ

このストレッチは、左脚を内転させています。

[図表4]「外旋」「内旋」のストレッチ

通常、日常生活で「内転ができなくて困っている」ということはほとんどありません。しかし股関節に異常がある人はお尻の外側の筋肉が硬くなっていることが多く、バランスよく筋肉をほぐすには、内転のストレッチも必要です。痛みのない範囲で行いましょう。

(4)うつぶせになって左右に脚をパタパタする「外旋」「内旋」のストレッチ

1.ベッドの上などでうつぶせになる
2.両膝をつけた状態で折り曲げ、外側と内側に脚を開閉する。これを30秒間続ける

これは、左右の脚を同時に外旋、内旋させるストレッチです。膝下が外側に向いたとき、股関節は内旋し、内側に向いたとき、股関節は外旋しています。一度の動きで外旋と内旋ができるのでお勧め。テレビを見ながらなど、リラックスした状態で行ってください。

(5)四つん這いからお尻を後ろに引く「屈曲」「外旋」のストレッチ

1.四つん這いの姿勢になり、両膝の幅を広めにとる。
2.お尻を後ろに引いていき、元の姿勢に戻る。これを30秒間続ける
[図表5]「屈曲」「外旋」のストレッチ

これは左右の脚に対し、屈曲と外旋を同時に行うストレッチです。両膝の幅を広めにとることで、若干、両脚が外旋しています。

ポイントは、お尻をゆっくりと動かすこと。サッサッと忙しくスピーディに動かすと、効果が薄いので、じわじわと後ろに引くことが大切です。ただし、膝が悪い人は負担をかけやすいので、このストレッチは避けた方がよいでしょう。

こうしたストレッチを継続するコツは、毎日、同じ時間に行うことです。特に、ストレッチを行うタイミングとしてお勧めしたいのが、朝起きたときと、夜のお風呂上がり。

朝は股関節が固まっているので、それをほぐすためにもストレッチは最適です。また、夜のお風呂上がりは体が柔らかくなっており、気持ちもリラックスしているので、呼吸を楽にストレッチを行えるでしょう。

ぜひ、毎日5分間の習慣として続けてみてください。2週間経つ頃には、「脚の動きがスムーズになった」と実感があるはずです。

[筋力訓練を行う際の注意点]
無理な運動はケガの原因になります
痛みや違和感がある場合はすぐに中止しましょう

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こちらの記事の監修医師

世田谷人工関節・脊椎クリニック

塗山 正宏

2005年北里大学医学部卒業。
北里大学病院、北里大学東病院、同救急救命センターを経て、北里大学メディカルセンターにて人工関節置換術の研鑽を積む。
2017年世田谷人工関節・脊椎クリニック院長就任。
股関節、膝関節の人工関節手術を専門とする。

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