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最終更新日:2022年10月4日

50歳以上の2人に1人が発症する「変形性膝関節症」…じつは自宅で治療可能?【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
世田谷人工関節・脊椎クリニック
塗山 正宏

膝 ヒアルロン酸 塗山先生
※画像はイメージです/PIXTA

変形性膝関節症は、「50歳以上の2人に1人が発症している」といわれるほど一般的な疾患です。加齢とともに膝の痛みが現れやすいため、「年だから仕方ない」と諦めている人も多いのではないでしょうか? しかし、膝に痛みや違和感があると日常生活が制限されてしまい、生活習慣病につながることもあると、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏先生はいいます。治療法や家で簡単にできる予防法についてみていきましょう。

酷いと歩行困難に…「変形性膝関節症」とは

「変形性膝関節症」とは、簡単にいえば、膝の軟骨が加齢とともに少しずつすり減ってしまい、最終的には膝関節が変形してしまう病気です。

初期症状は、運動した際の膝の痛みや違和感程度ですが、症状が進むにつれて安静時にも痛みが出たり、階段の昇り降りが難しくなったりします。酷いときは歩行困難や痛みで眠れなくなってしまうケースもあります。痛みを進行させないためには、初期症状のうちに手を打つことが重要です。

変形性膝関節症が疑われる場合は、問診や触診を行い、以下の項目を調べます。

・膝関節のどこに痛みがあるか
・膝関節の可動域に制限が出ているか
・膝関節が腫れているか
・O脚に変形していないか

これらをチェックしたうえで、必要に応じてレントゲン検査をして軟骨の減り具合や変形の進行状況などを調べます。関節の軟骨はレントゲンでは写らないため、場合によってはMRIやCTで関節軟骨の摩耗程度や半月板と骨の状態の変化を把握することもあります。

変形性膝関節症は、膝関節の変形の度合いや痛みの状況によって、治療において手術が必要かどうか判断されます。

痛みが強くない場合は「運動」か「薬」で治す

痛みがそれほど強くなく、日常生活を送ることができる場合は手術を行わないのが一般的です。

痛みが出始めると膝を動かさなくなりがちですが、筋力が低下するため、膝関節への負担が増えて症状が悪化してしまいます。この悪循環を断ち切るためにも、運動療法によって膝を支える筋肉を鍛え、膝関節の動きを改善することが必要なのです。

米国整形外科学会(AAOS:American Academy of Orthopedic Surgeons)が発表した変形性膝関節症のガイドラインでも、変形性膝関節症の治療には「可動域拡大」「筋力強化訓練」「有酸素運動」という3つの運動を行うことが推奨されています。

痛みがひどい場合には、消炎鎮痛剤、湿布、塗り薬などを使った薬物療法を行います。

また、「ヒアルロン酸注射」は変形性膝関節症に対する治療法として長年の歴史があり、スタンダードな治療として知られています。これは、ヒアルロン酸を関節へ注入することで、関節軟骨の滑りをよくして膝の動きをスムーズにし、痛みを軽減させるものです。ヒアルロン酸を注射しても軟骨の再生を促すことはできませんが、痛みを軽減する効果は期待できます。

[図表1]ヒアルロン酸注射

また、近年注目を集めている治療に「PRP注射」というものがあります。

これは再生医療の一種で、患者さん自身の血液から作った「多血小板血漿[たけっしょうばんけっしょう] (Platelet Rich Plasma: PRP)」を直接膝関節に注入する方法です。PRPにはたくさんの成長因子が含まれており、それによって傷ついた組織の修復や痛みの軽減などを期待することができます。

ヒアルロン酸注射と違い組織の再生を期待することができるため、「ヒアルロン酸注射ではあまり効果がみられなかったけれど、手術は避けたい」という方には最適な治療法といえるでしょう。

ただし自費診療であるため、ヒアルロン酸治療に比べて高額というデメリットがあります。とはいえ、症状の進行を抑えるには有効な手段です。

[図表2]PRP注射

手術の場合は「2種類」のいずれか

運動療法や薬物療法を行っても痛みが改善しない場合や、日常生活に支障をきたしている場合には、手術を検討します。変形性膝関節症の手術は大きく分けて2種類あり、「膝骨切り術」あるいは「人工関節置換術」のいずれかです。

膝の変形があっても関節の外側はあまり傷んでいない、または変形が強いが年齢が若い場合は、「膝骨切り術」を行います。

膝骨切り術では、膝関節近くで脛骨(すねの骨)の骨切りを行い、O脚を軽いX脚に矯正してプレートで固定します。自分の膝関節を残すことができるため、手術後、生活上の制限はほとんどありませんし、スポーツや趣味なども再開できます。

一方、変形性膝関節症が末期の状態まで進行した場合には、「人工関節置換術」を行うのが一般的です。

これは、傷んだ軟骨や骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、金属やセラミック製の人工関節を自分の骨の上にしっかりと固定する術式です。変形の矯正を確実に行うことができ、痛みを軽減できる効果が高いため、手術を受ける患者数も増加しています。

医師推奨!予防・悪化防止に効果的な「運動療法」

変形性膝関節症の発症を予防したり、またすでにある違和感を悪化させないためには、太腿の前側にある大腿四頭筋と、ハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋の総称)を鍛えるのがポイントです。これらを効率よく鍛える運動療法を紹介しますので、ぜひ毎日の習慣にして、膝の健康を保ちましょう。

1.タオルを使って大腿四頭筋を刺激

床に座り、脚をまっすぐ伸ばす。筒状に丸めたタオルを軽く曲げた片膝の裏に置いた状態から、ゆっくり脚を前へ伸ばし、膝でタオルを床へ押し付けて5秒キープしたら膝を緩める。同じことを10〜20回繰り返す。反対脚も同様に行う。

2.両脚の上げ下げで太腿の筋力をアップ

仰向けに寝て、両脚をまっすぐにそろえ、脚を伸ばした状態のまま足先を天井へ上げる。お腹に力を入れ、両脚をゆっくり上げ下げする。下げたときはかかとを床につけないようにして、10〜20回繰り返す。

両脚同時に上げ下げするのが難しければ、片膝を折り曲げ、片脚ずつ行ってもよい。

3.スクワットで下半身の筋肉を全体的に強化

椅子に浅く腰掛け、両手を胸の前で組む。座面からお尻を15cmくらい持ち上げて1秒キープし、ゆっくり椅子に腰かける。この動作を10〜20回繰り返す。立ち上がるときにふらつく人は、椅子を前に置き、背もたれをつかみながら行う。

これらの動きを毎日、朝晩1回ずつ行ってみましょう。継続して行うことで確実に膝を守る筋肉が育ち、変形性膝関節症を予防したり、進行を遅らせたりする効果が期待できます。

ただし、一気に運動強度をあげると膝に痛みが生じたり、違和感が強くなったりすることがあるので、様子をみながら少しずつ強度を上げたり、回数を増やしたりしていきましょう。

日常生活の小さな心がけが膝を守る

加齢とともに症状が出やすい変形性膝関節症は、日常生活を少し改善するだけで予防に繋がります。

・生活を「和式」ではなく「洋式」にする
頻繁に正座をする生活は、膝に負担をかけます。できれば椅子に座るなど、洋式の生活を心がけましょう。

・すり減った靴を使わない
靴底がすり減っていると、クッション性が乏しく膝に負担をかけてしまいます。硬い靴も同様で、歩くときに反動で膝への衝撃が大きくなってしまいます。クッション性が高い靴を選びましょう。

・膝に違和感があるときはランニングやウォーキングは控える
ランニングやウォーキングは、着地のとき膝に大きな衝撃を与えます。また、ゴルフやテニスも膝をひねる動作が多く、膝に負担をかけがちです。膝に違和感を感じるときは、これらのスポーツを控えましょう。

また、太り気味の人は減量をして、膝に負担をかけないようにしましょう。BMIが25を超える人は要注意です。

膝の健康を守るのは、毎日の小さな心がけです。ぜひ、いくつになっても元気に歩ける体を維持するために、「ちょっと早いかな?」と思うかもしれませんが、40代のうちから生活を見直すことをおすすめします。

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こちらの記事の監修医師

世田谷人工関節・脊椎クリニック

塗山 正宏

世田谷人工関節・脊椎クリニック
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会運動器リハビリテーション専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

2005年北里大学医学部卒業。北里大学病院、北里大学東病院、同救急救命センターを経て、北里大学メディカルセンターにて人工関節置換術の研鑽を積む。

現在は世田谷人工関節・脊椎クリニックにて股関節、膝関節の人工関節手術を専門とする。

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