精子が黄色いのは病気？精液検査を受けるべきケースとは？

精子が黄色い場合、何かの異常を疑う人は多いですが、たいていは黄色みがかっていても問題ありません。異常がなくても精液が黄色くなることはあります。一方、病気で精液の色が変化している可能性も考えられます。精液の色が黄色くなる理由と検査を受けるべきケースについてまとめました。精子の色に不安がある方はぜひ参考にしてください。

精子が黄色い・ゼリー状になるのは病気？

精子が黄色くなったり、ゼリー状になったりするのは病気なのでしょうか。実は、精子が黄色みがかかるのはよくあることであり、そのほとんどは病気ではありません。そのため、精子が黄色くても基本的には心配不要です。

なぜ精子が黄色くても問題ないのかは、精液を構成する成分について知れば分かります。精液の成分と黄色く見える理由について以下で解説していきます。

精液を構成する成分

精子は精液を構成する成分のひとつですが、精液の大半は「精漿（せいしょう）」と呼ばれる前立腺と精嚢（せいのう）の分泌液が混ざったものです。精子は精液のほんの一部にすぎません。

前立腺の分泌液は白っぽい色をしています。つまり、精液の白色は前立腺の分泌液の色です。

精液が黄色く見える理由

前立腺の分泌液は白っぽい色をしていますが、精嚢の分泌液は黄色みがかった色をしています。前述のとおり、精漿は主に前立腺と精嚢の分泌液です。それらがしっかりと混ざっていれば白く濁ったような色になります。

しかし、射精した直後の精液は前立腺と精嚢の分泌液がよく混ざり合っていないことも多く、精嚢の分泌液の黄色が強く見えることもあります。射精された精液は時間経過とともに混ざり合い、徐々に透明になっていきます。その場合、ゼリー状だったものも、さらっとした液状に変化します。

精子（精液）が黄色みがかかることもある「膿精子症」とは？

繰り返しになりますが、精子（精液）が黄色くても、体に異常がないことは多いです。ただし、病気が原因で精液が黄色くなっているケースもゼロではありません。「膿精子症（のうせいししょう）」という病気になった場合、精液が黄色みがかかることもあるので注意してください。

膿精子症は不妊の原因になる

膿精子症は精液の中に白血球が混ざった状態のことを言います。通常、精液に白血球は含まれません。しかし、何かしらの原因によって精液に白血球が混ざると、精子の働きを弱め、不妊の原因にもなります。

白血球は精子の運動率を低下させるので、膣内で射精されても卵子に届く可能性は低くなります。このような不妊のリスクがある膿精子症ですが、分かりやすい自覚症状はない場合が多いです。

病気ではなくても精液が黄色みがかることはあるため、膿精子症だとはなかなか気づけません。感染症などの病気によって膿精子症になっているなら、その感染症の症状が出ているケースもあります。何かしらの自覚症状があったときは、早めに泌尿器科などを受診することが大切です。

膿精子症の明確なメカニズムは分かっていない

感染症によって膿精子症になることもあると言いましたが、その明確なメカニズムは分かっていません。大まかには何かしらの感染症によって起きた炎症に対処するために増えた白血球が、精液に流入することで膿精子症になると考えられます。

膿精子症の判断は、精液中の白血球の量を調べることで行います。白血球の量が一定値を超えていれば膿精子症と診断され、抗生物質などでの治療が必要です。自然に治る病気ではないので、精液の色の変化など異常があるときは医療機関で検査を受けましょう。

そのほかの精子（精液）の色が変化する原因

膿精子症以外にも精液の色が変化する場合はあります。色の変化の原因によっては医療機関を受診すべきケースもあるので注意してください。そのほかの精液の色が変化する原因について説明していきます。

黄色：肝臓の病気による黄疸

黄疸とは血液中の黄色の色素であるビリルビンが増えたときに起こる病気の症状です。黄疸は皮膚だけでなく、精液の色を黄色くすることもあります。黄疸の主な原因は急性肝炎や肝硬変などの肝臓の病気です。

ビリルビンは肝臓で処理されますが、肝臓の機能が弱まっていると血液中に残る量が増え、黄疸になります。治療が必要なケースも多いため、黄疸が疑われる場合は注意してください。

黄色：性病による影響

精液が黄色い場合、性病による影響も考えられます。例えば、クラミジアや淋病などです。性病は家族やパートナーに感染させてしまう危険性があるため、早めに検査を受けるようにしましょう。

クラミジア

クラミジアの症状は性別によって異なりますが、男女ともに不妊の一因になります。また、無症状のケースも多いので注意が必要です。主な感染経路は性行為で、治療には抗生剤が用いられます。

淋病

淋病は淋菌が原因の感染症で、性行為を通じて他人に感染します。男性の場合は尿道炎、女性の場合は子宮頸管炎になることが多く、症状を放置するとさらに悪化する可能性が高いです。クラミジアと同様に女性は自覚症状がないことも多く、特に妊娠時などは注意しなければなりません。

赤・ピンク：血液が混じった場合

精液が赤やピンクの場合、血液が混ざっている可能性があります。精液に血液が混ざることを「血精液症」と言い、精嚢もしくは前立腺で出血していることが考えられます。ただし、検査をしても出血の原因が分からないことも多いです。

たいていは自然に治癒しますが、精液の色が赤やピンクになったときは検査を受けるようにしてください。

精子（精液）が黄色い場合は検査を受けるべき？

精子（精液）が黄色でも、体に異常があるとは限りません。精液を構成する精嚢の分泌液は黄色なので、その色が強く出ているだけのことも多いです。

しかし、病気が原因で精液が黄色くなることもあります。精液の色が普段と違い心配なら、念のため、医療機関で検査を受けることも検討してください。

原因によっては不妊に繋がるケースもあります。そのため、特に妊活中の場合は、検査を受けた方が安心です。

精液検査で分かること

精液検査では、精液に含まれる精子の運動率を調べることができます。そのほかにも精液の量、精子の数や形態なども分かります。それらの数値から自然妊娠が期待できるかを判断可能です。

精液検査にかかる時間

医療機関にもよりますが精液検査の結果は当日中に分かり、料金は10,000円前後のことが多いです。精液の色が心配なだけであれば、まずは泌尿器科を受診しましょう。その上で、精液検査についても相談してください。

黄色い精子（精液）は問題ない場合も多い｜不安があるときは検査を受けよう

精子が黄色く見えるのは、精液に含まれる精嚢の分泌液が黄色みがかっているからです。射精直後はゼリー状で、黄色く見えても時間経過とともに分泌液は混ざり合い、さらっとした透明な液体に変わります。

ただし、膿精子症や肝臓の病気などによって精液が黄色くなっていることも考えられます。そのため、不安があるときは泌尿器科などで検査を受けてください。性病など他人にうつる病気もあるので、原因を特定して、早めに適切な治療を受けることが重要です。