最終更新日:2022年1月15日
もしかして発達障害?子の言動が気になったときの対処法

こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院/東京都大田区六郷こどもクリニック
大岡 美奈子

脳の働き方の違いを理由として、「発達障害の子」の行動面や情緒面には、幼児のうちから一定の特徴がみられることがあります。子育ての過程で我が子の言動が気になり、専門機関で治療すべきかどうか悩んでいる保護者……しかし、精神科医の大岡美奈子氏は「我が子の発達障害を疑っても慌てて病院を受診する必要はない」と語ります。
発達障害は「治療」だけが解決策ではない
発達障害の症状は誰にでも当てはまることがあり、環境調整によっては障害と意識する必要すらなくなる場合もあることは前回のコラム(世の中に蔓延する「発達障害」への誤解)で申し上げました。
しかし、実際に子育てをしていくなかで、我が子の様子が気になり専門機関への相談を考える親御さんもいらっしゃるかと思います。
はじめに申し上げておきたいことは、たとえ我が子が発達障害かもしれないと思っても、慌てて病院を受診する必要はないということです。
発達障害は健常と連続した状態ですので、病院での「治療」だけが解決策ではありません。そもそも私を含めた多くの発達障害者に関わる専門職は、発達障害を治す必要がある「病気」という捉え方をしていないと思います。
個人の特性を把握しつつ、ご本人とご家族が抱える困りごとの解決策をともに考え、円滑な社会参加や将来に向けた自立を応援していくのが発達障害支援の一般的なあり方です。
「病院で病気を治す」という従来の医療モデルとは大きく異なりますので、ご家族としては、医療機関のみならず、福祉サービスや教育機関での支援も上手に使っていく工夫が必要になります。
「自閉症スペクトラム疾患」の大きな特性
発達障害に特徴的な行動は、お子さんが幼少期からとして認められることが多いですが、もっとも小さな頃から認められるのは、自閉症スペクトラムという疾患です。
この疾患は主に2つの特性があります。
1.コミュニケーションの障害
2.(生活に支障が出るレベルの)非常に強いこだわり
どちらもある程度は誰にでも当てはまることなので、どんな行動を異常と捉えるかは本当に難しいのですが、乳児期〜幼児初期は、子どもを取り巻く環境も人間関係もシンプルであり、その子の社会性を測る行動パターンも限られているため、気づかれることが多いです。
例えば、赤ちゃんの頃から視線が合いにくい、人見知りを過剰にするか、もしくはまったくしない、お母さんの後追いをしない、喜びや驚きをお母さんと共有しようとしない、物音に敏感(鈍感)などの特徴があります。
専門医が「病院」ではなく「福祉窓口」をすすめるワケ
最近では育児書にも発達障害について細かく記載されておりますので、読んで心配になってしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。お子さんのこうした行動が気になった場合は、まずはお住まいの区市町村の福祉窓口で相談してみることがおすすめです。
1歳半児健診や3歳児健診で相談してみるのもよいと思います。保健師さんや心理士さんが相談に乗ってくれて、内容に応じた提案をしてくれます。福祉窓口で相談すると、場合によっては「療育」を提案されることもあるかと思います。
療育とは、障害のあるお子さんに対して、個々の障害の程度や特性に合わせ、自立や社会参加を目標とした個別もしくは小集団でのプログラムを定期的に行い、お子さんの成長発達を支援する場を言います。
原則的に診断名は必要ではなく、「疑い」の段階であっても本人もしくはご家族が社会参加において何らかの不安を抱えており、療育を受けることを希望していれば申請は可能です。医師の意見書が必要な場合もありますが、その場合も「診断名」は必須ではありません。
療育を利用するための手続きの詳細は自治体のホームページ等でご確認頂けます。多くの自治体において、2歳〜就学前のお子さんでは「児童発達支援事業所」、6〜18歳では「放課後等デイサービス」という名称の療育施設で利用することができます。
一概には申し上げられませんが、一般的に未就学児では、医療機関を受診するよりも先に区市町村での療育サービスをご利用頂くほうが有益なことが多いです。
前述の通り、発達障害のお子さんへの支援は「治す」というよりは「育てる・育つ」という要素が大きいため、慌ただしい病院の外来のみでは力不足な面が多々あります。
また、就学前の療育利用のみで改善し、小学校からは通常級で問題なくすごせているお子さんもいらっしゃいますので、まずはこうした福祉サービスを試してみる価値はあると思います。
「小学校入学後」に突然落ち着きがなくなる子
小さい頃にはまったく気にならなかったのに、小学校入学後になってから授業中に立ち歩いたり、集団行動がうまくとれなかったり、一斉指示を聞き漏らしてしまったりというような行動が目立つようになるお子さんもいらっしゃいます。
これまでは家庭中心だった生活が一気に学校に適応しなければならなくなるわけですから、多少は落ち着きがなくなっても無理からぬことで、多くの場合は慣れてくるにつれ、徐々に行動も落ち着いてくるものです。
しかし、なかにはいわゆる通常級の一斉授業ではどうしても集中できない子や、同世代の大人数のなかで過ごすことに苦痛を感じる子もいます。
そういうときにスクールカウンセラーに相談したり、特別支援教室や、通級指導教室などを利用頂したりすることでうまくいくケースもあります。
特に、通級指導教室は私の外来でも通っているお子さんはたくさんおりますが、通常級に所属しながら週に1〜2回通級して利用できるので、集団が苦手な子でもほっと息抜きできる場にもなっているようです。
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こちらの記事の監修医師
東邦大学医療センター大橋病院/東京都大田区六郷こどもクリニック
大岡 美奈子
精神科専門医/子どものこころ専門医
1972年生まれ。平成8年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科を卒業し、翌年渡米。ニューヨーク大学大学院教育学部に入学し非言語的精神療法のひとつである芸術療法を専攻、平成13年心理学部に編入し平成14年5月に修士取得。同年滋賀医科大学医学部医学科に学士編入学。平成19年4月より東京大学医学部附属病院にて初期研修を開始し、出産/育児を経て、平成25年より東邦大学精神神経科入局、平成30年より同講座助教を務め、現在東邦大学医療センター大橋病院心の診療科医局長、東京都大田区六郷こどもクリニックにて子どものこころ外来を担当。精神科全般に精通しているが、特に児童思春期を専門とし、主にデザインやアートと医療の融合を研究テーマとしている。
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