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最終更新日:2022年4月1日

小児肥満の原因は、抗生物質が要因の一つだった?【小児科医が解説】

こちらの記事の監修医師
オーシャンキッズクリニック
日比将人

(写真=PIXTA)

過食の時代に入り、小児の肥満は成人同様に増加の一途をたどっていましたが、2006年ごろをピークに減少〜横ばい傾向でした。ところが、このコロナ禍では行動制限による運動不足やストレスのためか、再び増加傾向にあります。小児期からの肥満対策の重要性と、最近話題になっている小児肥満の新たな要因について解説します。

小児肥満の特徴とは?

小児肥満の判定には成人のようにBMI(Body Mass Index)ではなく、肥満度を用います。肥満度は、{(実測体重-標準体重)/標準体重}×100であらわされます。6~17歳は、肥満度20%以上、幼児の場合は、肥満度15%以上を肥満と定義します。

年齢的には、6歳頃から徐々に増加しはじめ、11~12歳でピークを迎えます。その後はやや低下傾向を示しますが、15歳前後から再び増加傾向を示すのが特徴です。小児肥満の個人の経過を追うには、母子手帳などに載っている成長曲線が有用です。気になる場合は、まず成長曲線にしっかり記録をしていくことが重要です。

小児期からの肥満対策がなぜ重要なのか?

2017年に日本肥満学会から、「小児肥満症ガイドライン2017」が刊行されました。小児期の肥満がそのまま成人期の肥満に移行するという研究結果から、小さいうちからの肥満管理の重要性が認められたことになります。

成人の脂肪量を決定する因子は主に脂肪細胞数であり、その数は小児期〜思春期に決定されるといわれています。特に学童期からは、肥満によりさまざまな健康障害を起こす可能性が指摘されています。成人同様に、高血圧、糖尿病などの体の異常はもちろんのこと、肥満による学校でのいじめや不登校の問題も無視できません。

驚くべきことに、肥満の小児にも動脈硬化の早期病変が認められることがあります。私のクリニックでも、学校健診で肥満を指摘され、腹部超音波検査の結果、肝臓に異常なほどの脂肪が蓄積する脂肪肝になっている症例もありました。学童期からの肥満対策の重要性が指摘されるなか、2019年には、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会の 4 団体から構成される、日本小児医療保健協議会 (四者協)の栄養委員会が中心となり、「幼児肥満ガイド」が発表されました。

肥満による健康障害は、学童期以降に現れることが多く、幼児期の肥満には少ないのですが、幼児期の肥満は学童期以降の肥満につながりやすいことも明らかに なってきました。しかも、肥満傾向児の頻度は、幼児期から小学生の時期に増加するため、できるだけ小児の早い時期からの対策が望まれるようになってきたのです。

小児肥満のなかには、中枢神経系や内分泌系に病気があって、そのために二次的に肥満が生じるケースもあります(二次性肥満)。今回話題にする小児肥満は、明らかな原因となる病気がみられないものをいい(原発性肥満)、最近増加しているほとんどの小児肥満がこれに相当します。この原発性肥満の要因としては、成人同様に、エネルギー過剰な食生活や高脂肪食の摂取や運動不足に遺伝的要素が加わって発症すると考えられます。

最近注目されている小児肥満の要因とは?

小児期からの肥満予防には、成人同様生活リズムや生活習慣の是正が重要であるため、本人と家族だけでなく、学校や地域全体の協力も重要です。しかし、最近では生活習慣や遺伝以外の要因も指摘されており、その対策の難しさが注目されています。それが、腸内細菌叢(腸内フローラ:Microbiome)との関連です。

2006年にアメリカのGordonらの研究グループは、腸内細菌叢の変化が、宿主の肥満を惹起することを初めて報告しました。(Turnbaugh PJ et al., Nature. 2006, 444, 1027-1031)

その後、小児にも報告がみられるようになり、2016年にはアメリカのコロラド大学のグループが、2歳になるまでに抗生物質を3回以上使用した小児は、4歳時点で肥満になりやすいと報告しています。
(F Scott et al., Gastroenterology. 2016, 151, 120-129)

2021年には中国から、妊娠中の抗生物質の使用により出生児の5歳時点での肥満と相関があることが報告されました。(C Zhuang et al., Transl  Pediatr. 2021, 10, 1686-1691)

腸内細菌叢と肥満の関係はまだまだ研究段階で、結論を出すには、これからの大規模な研究成果を待たなければなりません。

幼児期に大事な生活習慣とは?

以上の報告から、腸内細菌叢(Microbiome)の悪化と肥満には関連があり、その悪化要因の一つの可能性が生後早期の抗生物質投与ということになります。そのため特に2〜3歳までの小児には、不必要な抗生物質の投与には慎重になったほうがよさそうです。

だからといって、小児に抗生物質は投与しないほうがいいということではありません。細菌感染症の治療薬として、多くの子ども達の病気を治し、命を救ってきました。必要な時は、時期を逸せず躊躇なく使用することが重要です。かかりつけ医で抗生物質を処方された時は、必ず理由があるはずです。疑問に思ったら、処方理由をしっかり確認し、決められた用法容量を守ることが大切です。そして、その投与履歴は、記録しておくとよいでしょう。

また、腸内細菌叢は3歳ごろまでに形成されるといわれており、その時期は特に腸内細菌を意識した生活が大切です。とりわけ最初に食べる離乳食や通園前のご家庭の食事はとても大切になります。お子さんの肥満が気になる方は、お子さんの成長曲線をチェックし、まずは食生活の見直しと運動不足の解消をしつつ、かかりつけの先生に相談してみてください。

 

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こちらの記事の監修医師

オーシャンキッズクリニック

日比将人

こどものお腹の病気のスペシャリスト。特に便秘外来には、県外からも多数の患者が訪れる。
「こども、未来、つなぐ。」の理念のもと、こども達の未来を見据えた診療や活動を行っており、
最近ではアンチエイジングの知見も取り入れた予防医学にも力を入れている。
 
略歴
1997年 富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒
1997年 京都府立医科大学小児疾患研究施設
2005年 京都府立医科大学 医学博士
2008年 藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)小児外科講師
2014年 オーシャンキッズクリニック院長

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