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最終更新日:2022年4月28日

子どもにも痔(じ)ってあるの?

こちらの記事の監修医師
オーシャンキッズクリニック
日比 将人 先生

「痔(じ)」と聞くと、大人だけがかかる病気というイメージをもたれるかもしれませんが、子どもも、しばしば患います。また、大人の痔患者は自覚していない人も含めると、実に、3割以上にものぼると言われています。子どもの痔(じ)の特徴とその対応について、詳しく解説します。

「痔」は肛門付近の疾患の総称

ひと口に痔(じ)と言っても、いくつか種類があります。ちなみに、「痔」という字は、寺にやまいだれ(疒)ですが、お寺や坊主に関係はなく、「そば立つ」「じっととどまる」の意味をもつ「峙」(じ)から由来しているという説があり、「肛門にじっととどまる病気」という意味です。このように、痔(じ)は肛門付近の病気の総称であり、いくつか種類がありますが、俗称として有名なものは、あな痔、切れ痔、いぼ痔の3兄妹です。正式には、あな痔は痔瘻(じろう)、切れ痔は裂肛(れっこう)、いぼ痔は痔核(じかく)といいます。大人で男女ともに一番多いのは、痔核(じかく)です。2番目に多いのは、男性は痔瘻(じろう)、女性は裂肛(れっこう)です。ところが子どもの場合、男児女児ともに痔核(じかく)が一番少ないという違いがあります。

通称あな痔と呼ばれる、痔瘻(じろう)について

乳児期の男の子の肛門周囲に、赤く腫れるおできのような出来物が生じることがあります。触ると痛いのか、大泣きすることもあるこの病気は、肛門周囲膿瘍といいます。不思議とこれが出来る場所は、肛門の左右(時計の3時と9時方向)で、膿瘍が大きい場合には切除して膿を出す処置を施すこともありますが、自然に破れて膿が出て治癒する場合もあります。

2つ目の痔瘻(じろう)は、直腸と肛門の境目とその膿瘍がつながって、膿が出るトンネルを形成したものが乳児痔瘻(にゅうじじろう)です。肛門周囲膿瘍と立て続けに発症することもあります。乳児痔瘻(にゅうじじろう)の適切な処置は便性を整え、肛門周囲の皮膚を清潔にすることと、優しく膿瘍をマッサージして溜った膿を押し出すことです。また、大人の痔瘻(じろう)は手術を要するものが多い一方、乳児痔瘻(にゅうじじろう)は1-2歳ごろまでに自然治癒することがほとんどです。ただし、再発の確率が高く、治療期間が長期に及ぶことも多いため、注意しなければなりません。

昨今の研究により、排膿散及湯や十全大補湯といった漢方薬を服用する内科的治療が可能になり、再発率の低下や治療期間の短縮を促すと言われています。ですが、内科治療では治癒が見込めない場合には手術が必要な場合もあります。また、指定難病のひとつであるクローン病の炎症性腸疾患の症状と酷似しているため、まれに誤診されることがあります。「Goddard」などの報告では、10歳以上の男児の痔瘻(じろう)はクローン病であるリスクが高く、早急に精密検査が必要と警鐘を鳴らしています。(Goddard et al., J Pediatr Surg. 2021, 56(9),1618-1622)

通称切れ痔と呼ばれる、裂肛(れっこう)について

子どもが大きく硬い便を排泄した際に、血液が線状に付着していたことはありませんか?主に女児に多く見られるのですが、排便時に肛門の出口付近の粘膜や皮膚が裂け、切り傷ができたために起こることがほとんどです。これを、裂肛(れっこう)と言います。自然治癒することが多いですが、子どもが裂肛(れっこう)により生じる痛みにストレスを感じ、排便自体を嫌がり我慢するようになるケースがあります。すると、便秘が悪化するため、さらに便が巨大化、硬化し、肛門内部が避けやすくなり、さらなる激痛、出血が起きやすいという悪循環が生じます。こうして裂肛(れっこう)が長期化すると、時計の12時の方向の肛門にポリープ状のものができることがあります。これを通称「見張りいぼ」と言いますが、実はいぼの正体は盛り上がった皮膚です。便秘の治療と、軟膏塗布による切り傷の治療を同時に行う必要がある一方、手術を要するに至ることはほとんどありません。しかし、治療を続けてもなかなか出血が治まらない場合には、裂肛(れっこう)以外の疾患の可能性もあります。大腸ポリープ(多くは良性の若年性ポリープ)ができていることもあるので再検査が必要です。

痔核(いぼ痔)について

大人で一番多い痔核ですが、3種類の痔の中では、小児ではまれな疾患です。肛門の内側の粘膜にできる内痔核と、外側の皮膚にできる外痔核に分かれます。一般的にいぼ痔というと、この内痔核の脱出を指すことが多いですが、3歳未満にはほとんどみられません。痔核の正体は、静脈のうっ血して浮腫んだ状態になったものです。大人では、便秘のひどい方、重いものを持つことが多い方、排便時に強くいきむ方、妊娠出産時に発症することが多いとされています。小児においては、「松川」らの報告(小児の痔核の臨床像,日小会誌,46巻3号,451)によると、圧倒的に男児に多く、1歳頃からみられるようになり、発症のピークは4歳ごろにあります。年長さん以降は少なくなるようです。裂肛と同じように、便秘の治療と局所の軟膏治療をします。無効の例もありますが、長期間経過しても悪化することが少ないため、手術せずに経過を診る場合もあります。

何科を受診すれば良いですか?

医療機関を受診する場合、何かしら症状があって受診することが多いと思いますので、お子様に便秘や肛門の痛みや出血、肛門付近の出来物など気になる症状があれば、まずは診断が優先されますので、かかりつけの小児科を受診しましょう。痔と診断されれば、一般的な治療でほとんどが改善されます。クローン病が疑われる場合には、消化管内視鏡などの詳しい検査が可能な施設への受診が必要です。痔の病状がひどい場合、難治性の場合は、小児外科または小児に詳しい肛門科の先生を紹介してもらえると思います。ご自身の判断で、紹介状を持たずにあちこち受診して、経過が分からないため結果的に診断が遅れ、治療が長引くこともよくあります。前述したように、痔瘻ですと1〜2年かかるのが通常ですし、経過をみながら判断をしていくこともありますので、あせらずにかかりつけの先生の指示に従うことをおすすめします。

 

こちらの記事の監修医師

オーシャンキッズクリニック

日比 将人 先生

こどものお腹の病気のスペシャリスト。特に便秘外来には、県外からも多数の患者が訪れる。
「こども、未来、つなぐ。」の理念のもと、こども達の未来を見据えた診療や活動を行っており、
最近ではアンチエイジングの知見も取り入れた予防医学にも力を入れている。
 
略歴
1997年 富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒
1997年 京都府立医科大学小児疾患研究施設
2005年 京都府立医科大学 医学博士
2008年 藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)小児外科講師
2014年 オーシャンキッズクリニック院長