最終更新日:2022年2月4日
放っておくとアトピーになる可能性も!?「乳児湿疹」治療の重要性

こちらの記事の監修医師
アルバアレルギークリニック
続木 康伸(つづき・やすのぶ)

乳児の皮膚トラブルとして多く見られる「乳児湿疹」。かつては放っておけば治ると思われていましたが、現在では乳児湿疹をきっかけとしてアトピーに発展するといわれています。今回は、乳児湿疹治療の重要性や、治療に使われる薬について解説していきます。
目次
新生児に多い肌トラブル…放置されがちな「乳児湿疹」
「続木さん、いまどきですね、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の治療を区別する人なんていてないですよ。厳密に言うのであれば、1歳くらいまでほっとかないとわかんないし、ほっとく人なんていてます?」
これは、10年以上前に私がアレルギー診療を始めたばかりの頃、皮膚科医である後輩に言われたままのセリフです。
生後1カ月の新生児に多い皮膚トラブルは、
乳児湿疹 29%
脂漏性皮膚炎 7%
間擦疹 14%
おむつかぶれ 24%
と、乳児湿疹が一番多くなっています。
実際、新生児の肌トラブルは乾燥から始まることが多く、頬の乾燥から頬の赤みに進んでいきます。このあたりで「乳児湿疹」といわれる状態になります。
その後、肌荒れがひどくなってくると、赤みのある部分が明らかに荒れてくる、つまり湿疹になり、はっきりとした痒みになっていきます。こうなってしまうと、頭を枕にこすりつける、着替えの時に体をよじる、といった行動などが出てきます。この頃には体全体、特に脇・肘・膝なども荒れてくるので、かゆみも相当なものになります。
かゆみのため掻くと傷ができ、乾燥で壊れていた肌のバリア機能がさらに低下し、アトピー性皮膚炎になりやすい状態になってしまいます。つまり、乾燥肌はアトピー性皮膚炎の始まりでもあるのです。
放置してはいけない…「乳児湿疹」治療の重要性
そもそも、乳児湿疹とは、「乳児にできた湿疹の総称」のことで、なにが原因かは関係なく、赤ちゃんに湿疹ができたらすべて「乳児湿疹」と呼ばれます。
これは、もちろん湿疹の程度にもよりますし、自然に治る子もいますが、かつて乳児アトピー性皮膚炎は生後2~3カ月頃までに発症し、8カ月頃までは加速度的に悪化し、10カ月頃には軽快傾向になるとされていました。
しかし、現在乳児湿疹の約70%は、その後アトピー性皮膚炎に進展するといわれており、治るからといって放置するのはいい判断とはいえません。
湿疹が前述のような典型的な部位に出現し、出血するくらいかゆみが強い場合は、生後何カ月であろうとアトピー性皮膚炎の可能性が高いことがわかっています。
アトピー性皮膚炎になってしまうとさらに分が悪く、治療が長引けば長引くほど治りにくくなってきます。
アメリカでは 20歳以前に6カ月間無症状または無治療期間を1回以上有した患者の割合は50%もいないといわれ、ドイツでは、1歳以降で症状の残る割合は18.7%、小学校1年生でアトピー性皮膚炎の症状があれば6年生でも90%の確立で症状が残存していることがわかっています。
このために、できるだけ早い段階で乳児湿疹を無くすための治療が必要です。
湿疹の治療に使われる3つの薬
治療で使われるのは主に、①保湿剤、②ワセリン、③ステロイドです。
①保湿剤
保湿剤はもっとも大切なツールになります。必ずセラミド配合のものを使い、スキンケアをおこなってください。
②ワセリン
ワセリンは肌の水分蒸発を防いだり、油膜を張ることで肌を保護したりすることはできますが、肌自体を潤す作用はまったくありません。よだれが多い子やオムツかぶれを起こしやすい子の肌の保護などに使用します。
③ステロイド
ステロイドはできるだけ早期に使用して、一気に乳児湿疹を押さえたほうがよいです。薬を強い・弱いで選んでしまうと、症状がなかなか消えず、長く使用しなければならない可能性が高くなります。
薬には、それぞれの症状に適した効果と使い方があり、それを使うことによって患者さんの症状を無くし、最終的には薬自体を使わなくてもよい状態を目指すのが私たちの目標です。
もし湿疹が出たら…ケース別の対応例を紹介
①初めて急激な湿疹が出た場合
多くの場合には、食物アレルギー、なにかにかぶれた、慢性的な湿疹の急性増悪が考えられます。原因がどれであっても、初めての場合には自宅での対応は困難です。
すぐに病院を受診しましょう。薬は内服、外用剤など、原因と症状で対応が変わってきます。
②慢性的な湿疹の場合
「慢性的」とは乳児なら1カ月以上を指します。
このような場合、保湿作用がまったくないのでワセリンは使用しません。ステロイド外用剤と保湿剤を1:1で混合した薬などで、できるだけ早く湿疹をゼロにします。
また、強い・弱いで薬を決めると失敗します。その子の症状にあわせて薬を決めます。
慢性的な湿疹の場合には、悪化したら塗って、よくなったら塗らない、を繰り返すと、症状は悪化する一方です。
症状がよいときも薬を塗り続け、段階を追って徐々に薬を減らしていくプロアクティブ療法が必要です。
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こちらの記事の監修医師
アルバアレルギークリニック
続木 康伸(つづき・やすのぶ)
岩手医科大学歯学部卒業後に、岩手医科大学医学部卒業
札幌徳洲会病院アレルギー科医長、北海道教育庁健康保健体育局アレルギー疾患教育担当などを歴任
2017年に札幌徳洲会病院アレルギー科医長に就任
2020年にアルバアレルギークリニックを開院
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