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最終更新日:2022年8月13日

感染防御は極めて困難…コロナ禍の陰で急増している子どもの「厄介な病」【専門医が解説】

こちらの記事の監修医師
医療法人 啓信会きづ川クリニック
米田 真紀子

※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナウイルス第7波が猛威を振るうなか、子どもを中心に日本各地で「手足口病」が大流行していると、京都きづ川クリニック小児科医の米田真紀子氏はいいます。本記事では、そんな「手足口病」の詳しい症状と、コロナ禍において特に注意したいポイントについてみていきます。

集団免疫力低下でこの夏大流行…子どもの「手足口病」

手足口病は、未就学児のあいだで夏場に流行するいわゆる「夏かぜ」と呼ばれる感染症のなかの代表的なものです。「エンテロウイルス」や「コクサッキー」という種類のウイルス属が引き起こす感染症のひとつで、名前の通り、手や足や口に典型的な発疹が出ることから診断がつきます。

ここ2年は新型コロナウイルス感染症対策が功を奏していたのか、例年のような大規模な流行はみられませんでしたが、今年になって、集団免疫の力が低下し例年以上の流行をみせている地域もあります。

一般的によくみられる手足口病の症状としては、突然38度以上の高熱が出て、その少しあとから手足や口周り、喉に水疱を伴う直径5ミリ程度の発疹が増えてきます。熱は多くの場合1日程度で下がります。この時点で受診すればほぼ間違いなく手足口病と診断できますが、発熱してまもないときやまだ発疹がはっきり出てきていないときに受診しても、診断が難しい場合があります。

また、人によっては熱がないのに発疹だけが出る場合や、手足口の発疹はあまり目立たず、お尻周りや顔面などを中心に発疹が出たりする「亜型」もあります。発疹が少ないケースでは、手足口病を疑ってしっかり診ないと、発疹自体に気づかないこともありえます。数年前に手足口病が大流行したときには、爪がぼろぼろになって脱落する症例も相次いで報告されました。

このように、ひとくちに手足口病といってもウイルスの型はさまざまで、その年によって症状の傾向が少し変わります。さらに人によっても現れる症状も変わることがあるので、その点は留意しておく必要があります。

手足口病の注意点…コロナ禍で救急車が来ないケースも

手足口病は基本的にはほとんど重症化せず、発熱や発疹も数日で治ってしまう病気です。ただし、以下の4点には注意が必要です。

熱性けいれん

突然の高熱から始まることもある手足口病は、熱性けいれんを合併しやすいです。熱性けいれん自体はすぐに止まり、意識がしっかり戻れば問題ないことがほとんどですが、新型コロナ第7波真っ只中のいまは、熱がある場合小児のけいれんであっても救急車を受け入れられないケースも十分考えられますので、それが大きな問題となります。

けいれんが起こった場合には、まず子どもを安全な場所に移すか抱っこして、嘔吐物やよだれの誤嚥がないように横に向けて、気道を確保しつつ声掛けしてあげましょう。

ものが食べられない

手足口病は、口のなかや喉にも発疹が多発する場合があります。多くの場合、最初の熱とともにおそらく咽頭痛も出現していますが、赤ちゃんや小さい子どもの場合はそれを伝えることができません。機嫌が悪く、食事も摂らないと思っていたら、喉に大きな発疹ができている……ということもあります。

口内炎になったことがある人はよくわかると思いますが、食べ物が発疹の部分に当たると痛みが強くなりますし、なかにはつばを飲み込むのも辛くよだれを垂らしたままの子どもも見かけます。そんなとき固いものを食べにくいのはもちろんですが、トマトやみかんや大好きなジュースなども滲みてしまい、痛みが増強することがあります。

そして、子どもの場合は特に余力が少ないため、食事や水分をまったく摂れない状態が半日以上続くと水分やエネルギーが足りずに、脱水症やケトン性嘔吐症など他の病態に移行していきやすいです。したがって、痛みが強い2~3日のあいだはなんとか工夫して水分や糖分を摂らせる必要があります。

牛乳やミルクは皮膜を作って痛みを和らげてくれる可能性がありますし、アイスも冷たさで痛みを感じにくくなるので、食事が摂れない場合は試してみるとよいでしょう。また、解熱鎮痛薬は口のなかの痛みにも有効なので、熱がなくても食事の少し前に使ってあげると食べられるようになるかもしれません。

高い感染力…数週間ウイルス排泄が続く

手足口病の感染経路は飛沫感染で、感染した子どものよだれや排泄物にウイルスがたくさん含まれています。保育園や幼稚園で、感染対策が難しい年齢においては、たとえコロナ禍で環境消毒などを行っていても完全には除菌しきれません。

そしてやっかいなことに、感染した子どもからは、実に数週間ものあいだウイルスが排泄され続けることもわかっているため、感染防御は極めて困難です。

さらに注意すべきなのは、手足口病は特に登校/登園停止の対象にもならない疾患だということです。基本的には熱が下がって通常通り食事が摂れるようになれば登園は可能ですが、通っている園によっては登園許可証の記載が必要とされている場合もありますので(最近はかなり減りましたが)、医師の診断を受けたら必ず園に確認しましょう。

脳炎・脳症のリスク

頻度は少ないですが、エンテロウイルス属もまれに脳炎や脳症を起こすことが知られています。症状としては熱をともなう意識障害、そしてけいれん発作などです。けいれんは熱性けいれんでも起こりますが、けいれんが終わってから意識の戻りが悪い、高熱が持続してずっとぼうっとしている、呼びかけへの反応が薄い、ずっと寝ているなどの症状があるときには、かならず早めに小児科を受診する必要があります。

まれなことを心配しすぎる必要はありませんが、心のどこかに留めておいておくとよいかもしれません。

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こちらの記事の監修医師

医療法人 啓信会きづ川クリニック

米田 真紀子

日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。
その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。

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