最終更新日:2022年8月25日
子どもが熱中症になったら?熱中症の症状や応急処置、予防策を解説

こちらの記事の監修医師
岩手県立磐井病院
金森 啓太

熱中症に関しては、ニュースなどで報道されることも多くなり、その理解は広がってきています。熱中症は重症になると生命の危機に陥ることもある怖い状態です。しかし、原因がはっきりしているため対策を打つことができます。
今回は、熱中症について、その予防法や対策を中心に解説します。また、熱中症は、高齢者と子どもがハイリスクとされています。小児科医として、大人と子どもで異なるポイントについても解説しています。
熱中症とは?
高温の環境の影響で、体温調節がうまくできなくなり、体温が上昇して、様々な症状が起こる病態です。筋肉の硬直(足がつる)や立ちくらみといった比較的軽い症状から、重症化した場合には、意識が朦朧とすることや血圧が下がることもあります。生命の危機に陥ることもある怖い病態です。
具体的な原因として、気温・湿度の高い環境での運動、気温・湿度の高い環境で長時間過ごすこと、たくさん汗をかいているのに水分や塩分を十分に摂取しないことがあります。
怖い病態ではありますが、原因が明確なため対策が打ちやすいことも特徴です。熱中症は予防法を理解し、実践することで予防可能です。
また、正しく対応をすることで、重症化を予防し後遺症を回避することも可能です。
子どもが熱中症になりやすい理由
お子さんには特に注意が必要です。周りの大人が平気だからお子さんも平気と、油断しないようにしましょう。その理由は以下のようなものがあります。
・地面からの高さが大人よりも低く、反射熱の影響を大きく受ける
・大人よりも体から水分が失われやすく、脱水になりやすい
・体重のわりに体の面積は大きく、周囲の熱の影響を受けやすい
・軽い症状の場合、自分が熱中症であると大人に訴えられない(大人も気づかない)
・症状を自覚していても、部活動や体育の授業で無理をしてしまう
・こまめな水分補給や休憩が不十分になりがち
・熱中症の怖さをわかっていない(そもそも熱中症自体を知らない)
熱中症の症状と重症度は?
熱中症は、どんな症状が出ているかでⅠ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分類されます。一般的に、Ⅱ度以上の症状が出た際は、病院へ搬送する必要がある状態です。
Ⅰ度(軽症):立ちくらみ、筋肉痛、筋肉の硬直(足がつるなど)
Ⅱ度(中等症):頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、体のだるさ、意識がおかしい
Ⅲ度(重症):明らかな意識障害、けいれん、激しい嘔吐やめまい、汗をかけない
症状をすべて覚えることは困難です。意識や受け答えがおかしい、自分で水分や塩分を摂取することが難しいという状況であれば、Ⅱ度以上と判断して速やかに病院へ搬送する手配をしてください。
Ⅰ度だと思っても、その後症状が進行していくこともあります。注意深く観察し、心配なことがあれば重症度にかかわらず病院へ搬送してかまいません。
熱中症では自分で適切に状況を判断できないこともあるため、軽い症状の段階であっても、しっかりと症状が回復するまでは誰かが付き添ってあげることが重要です。
熱中症になった時の応急処置方法
お子さんや周囲の人にⅡ度以上の症状が見られたときは、病院への搬送が必要な状態です。救急車の要請など、速やかに病院への搬送を手配し、現場での応急処置を行ってください。
1.冷却・脱衣
・室内であればクーラーの効いた部屋、屋外であれば風通しの良い日陰に移動する
・熱を体から逃がすために、なるべく衣服を脱がす
・首やわきの下、太もものつけ根などの太い血管が走っている箇所を冷水や氷嚢などで冷却する(うちわや扇風機で風を当てることも有効)
2.水分・塩分補給
可能であれば「経口補水液(OS-1など)」、なければスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給しましょう。体温を下げるには、冷たい飲み物のほうが効果があります。
意識がはっきりしないような重症例では、無理やり飲ませようとすると、誤嚥(気道に入ってしまうこと)のリスクがあります。その場合は身体の冷却を行いながら、救急隊の到着を待ちましょう。
熱中症を予防するには?
熱中症は予防可能な病気です。その危険性を正しく学んで、きちんとした対策を行うことが大切です。まずは熱中症のリスクが高くなる日を理解しましょう。
熱中症のリスクが高い日
・炎天下の日
・長時間激しい運動をする日
・湿度が高く、じめっとしている日
・久しぶりに暑くなった日(体が慣れていないため)
・もともと体調がすぐれない日
熱中症の予防の基本は、暑さを避けること、こまめに水分補給をすることです。
熱中症予防の基本① 暑さを避ける
・暑い日や暑い時間帯の外出を極力避ける。
・日陰や涼しい場所でこまめに休憩をとる。
・ゆったりした涼しい服装を選び、日傘や帽子を使う。
なお、「やや暑い環境」で「ややきつい程度」の運動(ウォーキングなど)をすることは、暑い環境に身体を慣らしていくことにつながり、熱中症の予防に有効です。暑さを完全に避けるだけでなく、日ごろから適度に暑さに触れて体力作りをすることも重要です。
熱中症予防の基本②水分補給
水分が不足すると、体温を下げるための汗が出なくなってしまいます。また、血の巡りが悪くなり、高くなった体温が下がりにくくなります。
熱中症のリスクが高い日は、のどの渇きを感じる前にこまめに水分を補給するようにしましょう。大量に汗をかいたときは、水分だけでなく塩分も摂取する必要があります。
【参考資料】
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こちらの記事の監修医師
岩手県立磐井病院
金森 啓太
岩手県立磐井病院小児科医師。
国立成育医療研究センター、東京都立小児総合医療センターで小児科、小児神経内科について研鑽を積み、地元の岩手県の医療に貢献するべく2022年4月から岩手県立磐井病院へ就職した。
専門は小児科、小児神経内科であり、特にけいれん、てんかん、発達遅滞(発達の遅れ)、頭痛などの疾患を得意とする。日本小児科学会専門医、日本小児神経学会員、日本てんかん学会員、日本頭痛学会員である。BLS(一次救命措置)、PALS(小児二次救命措置)のインストラクター資格を有する。
小児科医の視点から、子育てを頑張るパパ・ママを応援するブログもやっています。
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