最終更新日:2021年11月18日
子どものチック症の症状と原因|適切な対処法や受診の目安は?

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

子どもが鼻をひくひくさせたり、風邪ではないのに咳払いをしていたらチック症かもしれません。多くの場合は成長とともに軽快しますが、なかには慢性化・長期化するケースもあります。
そこで今回はグローバルヘルスケアクリニックで小児科を診る水野泰孝先生に、チック症の症状や原因、病院を受診する際の目安などを解説します。家庭での適切な対応法も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
子供に多いチック症の種類と症状
チック症とは本人の意志に関係なく体の動きや発声が繰り返し起きる疾患です。子ども10人のうち約1~2人が体験するよくある症状で、幼稚園~小学校低学年の男子に多いのが特徴です。
チック症には「運動チック症」「音声チック症」の2種類があり、継続する期間によって以下のように分類されます。
1年以内に症状が消失する:一過性チック
運動チック症か音声チック症のいずれかが1年以上続く:慢性チック
運動・音声チック症が1年以上続く:トゥレット症候群
また、単純な動きや音声を繰り返すのか、複雑な動きや言葉を繰り返すのかによって診断が分かれます。
運動性チック:まばたき・首振りなど
種類 | 症状 |
単純性運動チック | ●まばたきの回数が多い・白目をむく・強く目をつぶる
●顔をしかめる・頬をひくっとさせる ●鼻をひくひくさせる ●口を曲げる・とがらせる・舌を突き出す ●首をそらす・ひねる・左右または上下に振る ●肩をすくめる・ぴくっとさせる |
複雑性運動チック | ●表情を変える
●執拗に何かの匂いを嗅ぐ ●腕を振る・回す ●手を叩く・振る ●足を屈伸させる・ジャンプを繰り返す ●体をのけぞらせる ●モノや人を触る・蹴る・叩く |
最もよくみられるチック症が「単純性運動チック」で、特に顔や首、肩などの上半身に症状が出やすいのが特徴です。チック症はリラックスした際に起こりやすいため、学校より自宅のほうが、症状が現れやすくなります。手にチック症の症状が現れると字を書くのが難しくなり、日常生活に支障をきたすケースもあります。
音声チック:咳払い・鼻や喉を鳴らす
種類 | 症状 |
単純性音声チック | ●風邪でもないのに咳払いをする
●鼻を「フンフン」「スンスン」「フガフガ」と鳴らす ●「アッ」「ウッ」などの声を出す ●舌を鳴らす ●しゃっくりのような音を出す |
複雑性音声チック | ●甲高い奇声を発する
●自分で言った言葉を繰り返す ●他人の言葉の語尾を繰り返す ●「バカ」など不謹慎な言葉や卑猥な言葉を発する |
咳払いや鼻を鳴らす症状などは「癖」のひとつとも捉えられ、多くの場合は本人やまわりも気にしません。しかし奇声や汚言は周囲の注目を集めてしまうため、本人が気にして外出しにくくなったり登校を嫌がることもあります。
チックは数秒~数分なら我慢できる場合もありますが、意識的な努力が必要なためコントロールすることは困難です。チックが起こる前にはくしゃみのように「その動作をしたい」という強い衝動が生じるので、最終的には症状を抑えられなくなります。
トゥレット症候群:チック症が慢性化したもの
複数の運動性チックと音声チックの両方が現れ、症状が1年以上続くものを「トゥレット症候群」と呼びます。トゥレット症候群の頻度は1万人に1?5人程度といわれています。
子供のチック症の原因
チック症の根本的な原因はまだ解明していませんが、脳内にある「大脳基底核」という部分が関係していると考えられています。また、疲労や発熱のほか、不安や緊張など精神的ストレスによって症状が悪化する傾向があります。
子供のチック症は治る?受診の目安は?
ここでは、子どもにチック症の症状が現れた場合の対処法や治療法、病院を受診する目安について解説します。
家庭での適切な対応法・受診の目安
子どもにチック症の症状が出ている場合は気になってしまうかもしれませんが、多くの場合は数か月で症状が消え、特に治療も必要ありません。
運動性チックと音声チックが1年以上続くトゥレット症候群の場合も、症状のピークは小学校高学年~中学生までで、その後は軽快するケースがほとんどです。
子どもは自分でチックを止めることができないので、親が注意したり我慢するように言ったりしても効果はありません。
また、ストレスを感じると悪化してしまうので、「心配しなくても大丈夫」ということを伝え、できるだけ子どもをリラックスさせてあげることが大切です。
ただ、以下のように日常生活に影響が出ている場合は病院でかかりつけ医に相談してみましょう。
手にチックの症状が出て文字がうまく書けない
急に体が動いて食べ物や飲み物を頻繁にこぼしてしまう
子どもが気にして学校に行きたがらない
病院での治療法
チック症は基本的に治療が必要な病気ではありませんが、日常生活や学校の授業に支障が出る場合はかかりつけ医の判断で薬物療法を行います。
ただ、眠気などの副作用が出ることがあるので薬の使用は最小限にとどめ、日常生活が送りやすくなったら薬の用量を減らしていきます。薬の使用をやめることで急に症状が悪化するケースは少ないので、症状が強く現れたときだけ薬を服用するという方法もあります。
また、チック症は注意欠陥/多動性障害(AD/HD)や強迫性障害などの病気を併発することがあるため、受診の際に合わせて検査することもあります。
子供のチック症の治療はストレスを避けることが大切
チック症の原因は家庭環境や育て方によるものではないので、子どもへの接し方は今までどおりで問題ありません。本人やまわりが気にしすぎるとストレスで悪化してしまうことがあるので、「心配しなくて大丈夫」と安心させてあげることが最も大切です。
チックが起こってもできるだけ気に留めないようにし、自然に軽快するのを待つのが最もよいでしょう。
ただ、本人がチック症をとても気にして自信を失っていたり、日常生活に支障をきたしている場合は受診することをおすすめします。
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こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝
日本小児科学会認定小児科専門医 /アレルギー専門医 /感染症専門医
国際協力機構(JICA)顧問医として7年間勤務。大学病院やナショナルセンターを基盤に小児科および感染症内科、特に熱帯感染症の臨床と研究、海外渡航者の健康管理などに長年携わる。
2020年6月にプライマリケアを行う診療所「グローバルヘルスケアクリニック」を開設。感染症に関するTV・ラジオ出演は2020-2021年だけで1000件近い。
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