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最終更新日:2022年7月5日

コロナの陰でいま流行っている「季節外れのウイルス」の恐怖【医師が解説】

こちらの記事の監修医師
医療法人 啓信会きづ川クリニック
米田 真紀子

※画像はイメージです/PIXTA

近年、コロナ禍で感染予防意識が向上したことにより、ぱったりと見なくなったRSウイルス。しかし、なぜかここにきて「季節外れの流行」の兆しがあると、京都きづ川クリニック小児科医の米田真紀子氏はいいます。RSウイルス感染症はいったいどのような症状に襲われるのか。感染経路や対処法についてもあわせて見ていきます。

コロナ禍の陰で流行中…RSウイルスとは

RSウイルスとは、Respiratory Syncytial Virusの略ですが、子どもから大人まで、呼吸器感染を起こす代表的なウイルスです。1歳までの小児の50%、そして2歳までにはほぼ100%が罹患するウイルスで、従来は11月から12月に流行が見られていました。

RSウイルスに感染すると、5日程度の潜伏期のあと、鼻水、痰がらみの咳、発熱(見られないこともあります)などの風邪症状が見られます。

そして、特に1歳台までの低年齢ではそうした初期症状が数日続いたあとに、喘息のような荒い呼吸になったり、咳がひどくなったり、20%くらいの確率で肺炎に移行したりすることもあります。1-2ヵ月くらいまでの赤ちゃんが感染すると、突然呼吸を止めてしまう、「無呼吸発作」を起こしてしまうこともあり、非常に注意が必要な感染症です。

一般的には3歳以降では、RSウイルスには感染しても、初感染ではないので、感染を繰り返すうちに症状はだんだん軽くなっていき、通常の風邪ウイルスと見分けがつきにくくなっていきます。

大人は軽症だが…子どもと高齢者は「命の危険」も

RSウイルスの感染経路は主に飛沫感染で、感染者の鼻汁やよだれなどの飛沫にウイルスが含まれ、それが他の人の体内に取り込まれることによって、感染が広がります。特に感染予防が難しい保育園児などの低年齢では感染が広がりやすく、ときにクラスがほぼ全滅してしまうというような話も聞くほど、感染力は強いです。

また、大人もRSウイルスにはかかりますが、大抵は軽症です。ただし、高齢者では施設などで集団感染を起こしたり、基礎疾患がある高齢者では重症化したり死亡したりすることもある病気です。

コロナ禍が長くなり、集団免疫の力が弱まったことにより、従来の感染対策をしていても流行が抑えられなくなってきている可能性があります。

RSウイルスの診断方法

RSウイルスの診断方法は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスと同じように、鼻咽頭へ細い綿棒を入れて行う抗原迅速検査が主流です。病院によってはRSウイルスを含めた多種ウイルスを同時に検出できるPCR検査を導入しているところもあります。

ただし、RSウイルスの検査の保険適応は0歳台のみで、それ以外は基本的には入院を要する症例しか行えません。希望すれば自費診療で3000円程度の負担で検査の対応をしてくれるところもあります。

しかしコロナ禍にあって防護服を着て検査をしてくれる施設自体が減っているため、また後述するようにたとえ診断できたとしてもRSウイルスに対する特有の治療はないため、不快な検査をするメリットはあまりないかもしれません。

RSウイルスに「特効薬」はない

早産児や先天的な心臓病などの基礎疾患のある子どもは、一定の年齢まで、シーズン毎に1ヵ月に1回、RSウイルスに対する抗体を投与しています。この抗体を打っていれば、予防効果は完璧ではないものの、ある程度重症化を予防することができるといわれています。

前述したように、RSウイルスに対する特効薬はなく、発症したら、症状をなるべく軽くするような対症療法を行って、子どもの体力をなるべく使わないようにサポートしてあげるしかありません。熱が高ければ呼吸がさらに苦しくなるので、解熱薬を積極的に使い、鼻汁で哺乳や食事ができないようであれば点滴をしたり鼻水を積極的に吸ってあげ、呼吸しやすいように加湿をかけてあげるような吸入をしたり、背中をタッピングして排痰を促したりして、なるべく楽に過ごせるようにします。

ときには細菌の合併感染もあるので、その場合は抗生剤を使います。こうして時間を稼いでいるうちに徐々に自身の免疫力でウイルスをやっつけられるようにします。

早産児や先天的な心臓病などの基礎疾患のある子どもは、一定の年齢まで、シーズン毎に1ヵ月に1回、RSウイルスに対する抗体を投与しています。この抗体を打っていれば、予防効果は完璧ではないものの、ある程度の重症化予防効果はあります。

コロナ禍におけるRSウイルス感染の特徴とは

以前までは、保育園児はだいたい集団で過ごす最初の冬に、RSウイルス感染との遭遇がありました。ところが、この2年間ほとんどRSウイルスの流行が見られなかったために、いまの3歳くらいから下の年齢では、恐らくRSウイルスが流行すれば、初感染になる可能性が高くなります。

初感染であっても年齢が高くなれば、重症化のリスクはそれなりに下がりますが、それでも免疫はあまり持っていないと思われるので、いままでとは違って急に悪くなるリスクはあると考えられます。

周りの多くの人が抗体を持っていなければ、集団免疫の力が弱まるということなので、この先大流行を起こしてもおかしくありません。特に、下に小さな弟や妹がいる場合は、家族内感染を起こして下の子が重症化することもあり、家庭内での感染対策が重要になります。

感染症の季節感もなくなってきていますので、今後の発生動向には十分注意してください。

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こちらの記事の監修医師

医療法人 啓信会きづ川クリニック

米田 真紀子

日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。
その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。

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