最終更新日:2022年7月15日
不安定な精神状態で涙が止まらないのはうつ病?主な原因と病院へ行くべきケース

こちらの記事の監修医師
和クリニック
前田 佳宏

「急に気分が落ち込み、涙が止まらない」という場合、目ではなく、精神状態に原因がある可能性が高いです。例えば、うつ病の初期症状として涙もろさや気分の落ち込みが出ることもあります。このような症状が長く続くときは、心療内科や精神科を受診しましょう。不安定な精神状態で涙が止まらないときの原因と病院へ行くべきケースについて説明します。
精神状態によって涙が止まらなくなるのはなぜ?
涙には目に入った異物を外へ排出する効果がありますが、精神的に不安定なときに涙が止まらないこともあります。これは過度な精神的ストレスなどにより、副交感神経が活性化し、涙腺が刺激され、涙を流すとともに気持ちを落ち着ける効果が」あると考えられています。
涙を流すことで気持ちの整理がつけば良いですが、涙もろさや憂鬱な気分が続くときは注意が必要です。何かしらの精神疾患の可能性もあるため、医療機関の受診を検討してもらえたらと思います。
涙が止まらないときに考えられる精神疾患
精神状態によって涙が止まらない場合、次のような精神疾患が原因として考えられます。
- うつ病
- 統合失調症
- 自律神経失調症
- 不安障害
- 適応障害
うつ病
涙が止まらない原因のひとつとして考えられているのがうつ病です。うつ病は精神的なストレスなどによって、脳の働きに異常が生じている状態です。
急な気分の落ち込みや涙もろくなるなどの症状のほかにも、不眠や食欲減退、倦怠感などもよく見られます。涙もろくなるのはうつ病の初期症状であるため、悪化する前に専門医に相談しましょう。
精神療法や運動療法に加えて、医療機関では抗うつ薬の処方も可能です。また、症状によっては睡眠導入薬なども処方されます。
統合失調症
統合失調症は感情や考えの整理が上手くいかなくなる精神疾患です。脳の働きに問題が起きており、行動や感情、思考を正常に統合できない状態になります。
はっきりとしたメカニズムは分かっていませんが、治療には薬物療法や精神科でのリハビリテーションが用いられます。
統合失調症の主な症状は「幻覚」「妄想」「感情の変化が少なくなる」「周囲に対する興味が薄れる」「普通にできていたことができなくなる」などです。
本人が症状を自覚できないケースもあるため、家族などが変化に気づき、病気を正しく理解することも大切です。
自律神経失調症
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、アクセルとブレーキの役目を持つそれぞれがバランスを上手くとっています。
しかし、過度なストレスがかかると自律神経のバランスは崩れ、自律神経失調症と呼ばれる状態になります。
涙は自律神経によってコントロールされていて、涙が出やすいのは副交感神経が優位なときです。通常なら涙を流さないようなときに涙が止まらなくなったり、小さなことに苛立ちを感じたりしたら、自律神経失調症の可能性があります。
そのほかには「不眠」「倦怠感」「のぼせ」「頭痛」「動悸」「息切れ」「下痢」「便秘」なども自律神経失調症でよく見られる症状です。
不安障害
不安障害とは些細なことに不安を感じたり、必要以上に不安を感じたりして、日常生活に支障をきたす精神疾患です。
何かに対して不安を感じるのは自然ですが、日常生活へ影響が出ているなら不安障害だと考えられます。不安障害には「パニック障害」「強迫性障害」「社会不安障害」なども含まれ、症状も多岐にわたります。
治療は主に薬物療法や精神療法で、症状を緩和することが目的になります。
適応障害
適応障害の場合、ストレスによって気分の落ち込みや不安感、涙もろくなるなどの症状が出ます。
原因となるストレスは人によって異なりますが、「ストレスから距離を置く」もしくは「ストレスの原因が解消される」ことで症状は良くなることが多いです。
うつ病と比較したとき、発症の原因がはっきりしており、原因を取り除けばすぐに回復する点が異なります。
ストレスの原因が分かっており、そのことを考えると涙が出たり、気分が落ち込んだりするときは、適応障害の可能性が高いです。
「涙が止まらない」うつ病の主な原因
繰り返しになりますが、急に悲しくなり、涙が止まらないのはうつ病の初期症状です。うつ病の正確なメカニズムは分かっていないものの、次のようなことが原因になると考えられています。
- 家庭や育児などのストレス
- 遺伝的な要因
- 身体疾患によるホルモンバランスや自律神経の乱れ
家庭や育児などのストレス
1つ目の原因は精神的なストレスです。
家庭の問題や育児、人間関係はストレスになりやすいです。また、家族や友人との死別・別れ、お金や健康上の問題、環境の変化などもストレスになります。
遺伝的な要因
2つ目は遺伝的な要因です。うつ病そのものが遺伝するというわけではありませんが、うつ病になりやすい体質は遺伝すると考えられています。
もし家族にうつ病になった人がいるなら、自身にストレスをかけ過ぎないようにしてくださいね。
身体疾患によるホルモンバランスの乱れ
3つ目の原因は身体疾患です。うつ病は心の病気ですが、ホルモンバランスや自律神経の乱れを起こす身体疾患が原因になることもあります。
例えば、甲状腺疾患、認知症、糖尿病やがん、心臓病などです。また、身体疾患が精神的なストレスになっているケースもあるため、その病気だけでなく、心のケアも重要になります。
精神状態により涙が止まらないときは医療機関を受診すべき?
「一時的に気分が落ち込んだ」「泣いてしまった」という場合でも、自分で対処できる範囲なら様子を見ても大丈夫です。しかし、気分の落ち込みが日常生活に影響したり、症状が長く続いたりしているときは、医療機関の受診を考えてください。
医療機関であれば症状にあわせた治療が受けられます。症状が悪化するのを防ぐには、初期段階で適切な治療を受けることが重要です。精神状態が不安定で、涙が止まらなくなるというときは、心療内科や精神科で専門医に相談しましょう。
涙が止まらなくなる前に|不安定な精神状態を改善する方法
精神的なストレスを完全になくすことは難しいですが、精神状態が不安定になる前に対策することはできます。
涙が止まらないのは精神状態が不安定になっているサインの可能性もあるので、そのときは以下の点を意識してください。
- ストレスの原因から距離を置く
- 毎日の食生活を見直す
- 睡眠時間をしっかりと確保する
- 適度に運動する
- 喫煙や飲酒を控える
ストレスの原因から距離を置く
精神疾患を引き起こす大きな原因はストレスです。そのストレスを生んでいる原因がはっきりとしているときは、原因から距離を置きましょう。
ストレスの原因を除去できれば良いですが、それが難しいケースでは距離を置くことも有効です。また、避けては通れない問題の場合、周りに助けを求めることで気持ちが楽になることもあります。自分ひとりでは対処できない問題は、無理をせずに周りに話を聞いてもらいましょう。
毎日の食生活を見直す
精神的なストレスによって食欲が減退したり、反対に過食になったりすることがあります。いわゆる「やけ食い」は一時的なストレスの発散になっても、長期的に見ればデメリットの多いストレスの発散方法です。
急性ストレスは食欲減退に、慢性ストレスは過食に繋がりやすいので、ストレスを感じたときは毎日の食生活を見直すようにしてください。
バランスの良い食事はストレスに強い体作りをサポートします。加えて、毎日の食事を楽しむことができれば、ストレスの解消にもなります。
睡眠時間をしっかりと確保する
ストレスに対処するためには、睡眠時間をしっかりと確保することも重要です。「夜眠れない」「早朝に起きてしまう」といったケースは、ストレスにより自律神経が乱れている可能性もあります。
睡眠の質を下げないためにも、生活のリズムを整え、十分な睡眠時間を確保しましょう。
具体的には「休日と平日で就寝・起床時間を変えすぎない」「就寝前の飲食は避ける」「朝に太陽光を浴びる」「朝食を抜かない」なども大切になります。
適度に運動する
適度な運動は睡眠を促しますし、ストレスの発散にも繋がります。負担にならない範囲で継続できる運動の習慣を取り入れましょう。
前述のとおり、身体疾患がうつ病の原因になるケースもあります。適度な運動は生活習慣病や認知機能の低下の予防にも関係するため、若いうちから運動を習慣づけることは重要です。
激しい運動である必要はないので、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を継続的に行いましょう。
喫煙や飲酒を控える
喫煙や飲酒をストレス発散の方法と捉える人もいます。しかし、喫煙はさまざまな健康被害を引き起こし、過度な飲酒は精神疾患を誘引する原因にもなるので注意してください。
どちらもストレスが緩和されたと感じるのは一時的です。普段、喫煙や飲酒の習慣がある人は、できるだけそれらに頼らない選択肢を考えましょう。
精神状態が不安定・涙が止まらないのはうつ病の初期症状|重症化する前に相談を
精神状態が不安定になり、涙が止まらないことがあるのは、うつ病の初期症状の可能性があります。
泣くことでストレスが発散され、気持ちを切り替えられるのであれば問題はありません。しかし、長期にわたって気分の落ち込みが続くとき、食欲減退や睡眠障害、倦怠感などの症状がおさまらないときは、医療機関を受診してください。
うつ病などの精神疾患は心療内科や精神科で治療を受けられます。重症化する前に治療を受けることが重要なので、すぐに治療を開始するためにも無理せず専門医に相談してみてくださいね。
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こちらの記事の監修医師
和クリニック
前田 佳宏
〇診療科 : 精神科、心療内科
〇経歴 : 2013年島根大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科に入局。三枚橋病院、東京警察病院にて一般精神科臨床、国立精神・神経医療研究センターにて薬物依存症の臨床にも携わった。都内のクリニックにて児童精神科専門外来やトラウマ専門外来にも従事した。
精神分析や認知行動療法、家族療法の他に、BSP、BCT、EST、IFS、CPT、TF-CBTなどトラウマケアの各種技法や、漢方、睡眠医学、愛着などの視点も取り入れ、患者さんに適切な治療を提案する。
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