最終更新日:2021年9月23日
適応障害とうつ病の違いとは?なりやすい人や治し方も含めて徹底解説!
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こちらの記事の監修医師
つきじ心のクリニック
榊原 聡
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適応障害とうつ病は、精神疾患の中でも特に話題になる心の病です。とはいえ、両者の違いが良くわからない方も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、両者の違いについて詳しく解説します。なりやすい人や治し方、身体症状などについてもお伝えします。自分が「精神疾患なのでは?」と不安な方は、ぜひ参考にしてください。
適応障害とうつ病の違いとは?
適応障害とうつ病は以下の点で違いがあります。
- 原因の有無
- 行動面
- ストレスの原因から解放された後の状態
それぞれ、分かりやすく解説します。
原因の有無による違い
適応障害は気分が落ち込む原因がはっきりしていて、うつ病はその原因がはっきりしていない点で両者は異なります。うつ病の原因がはっきりしない理由は、脳の神経伝達物質が不足している脳の病気だからです。
そのため、脳の病気ではない適応障害に対しては薬物療法が効きづらい反面、脳の病気であるうつ病には薬物療法が効果的です。
行動面における違い
適応障害では不安や焦りによって、怒ったり、泣いたりといった感情表現が見られますが、これらの症状はうつ病にはあまり見られません。
また適応障害の場合、自分の起こしたことに罪悪感を持つことが少ないのも、自分を責めることが多いうつ病とは異なる特徴です。
ストレスの原因から解放された後の違い
適応障害は気分が落ち込む原因から距離を置くと気分が晴れますが、うつ病は原因から距離をおいても気分が晴れることがありません。
たとえば、仕事のストレスで気分が落ち込んだ場合に、適応障害だと仕事を辞めると気分が回復する一方で、うつ病は仕事をやめても気分は落ち込んだままということが多いです。
適応障害とうつ病の似ている特徴
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適応障害とうつ病とでは、異なる点がある一方で似ている点もあります。ここでは、身体症状となりやすい人について両者の共通する特徴をご紹介します。
身体症状
適応障害とうつ病の両者で、自律神経の乱れによる身体症状が現れます。その理由は、両者ともにストレスを受けることで発症する病気であり、ストレスは自律神経の乱れを引き起こすからです。
両者に共通する身体症状の特徴は、個人差があることや周囲の環境に左右されることです。そして、具体的には次のような症状が起こります。
- よく眠れない
- 食欲がない
- 体がだるい
- 疲れやすい
- 頭が痛い
- 肩こりがつらい
- 腹痛がある
- めまいがする
以上は自律神経が乱れたときに起こる症状で、別名を不定愁訴とも言われ、病院の検査で異常が見つからないことも多いです。
なりやすい人
適応障害とうつ病になりやすい人も共通しており、まじめで責任感が強く、他の人から良い人だと思われている人が当てはまります。
たとえば、人から頼りにされると断れず、仕事が増えてしまったりするような人は、ストレスを抱え込みやすく、適応障害やうつ病になりやすいと言われています。
適応障害やうつ病の治し方や対処法
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ここでは適応障害やうつ病の治し方について、以下のことをお伝えします。
- 認知行動療法
- 環境調整
- 病院を受診
いずれも精神疾患を治すのに効果的な取り組みなので、参考にしてください。
認知行動療法
認知行動療法はものごとの受け取り方や考え方に目を向けて、ストレスが溜まらないように変えていく治療法です。
同じ出来事に対しても、気分が落ち込む人と平気な人がいるのは、ものごとの捉え方が異なるからで、個人の考え方や受け取り方も影響します。
ストレスが溜まらない考え方を身に着けることで、適応障害やうつ病を乗り越えようとするのが認知行動療法の特徴です。
環境調整
環境調整とは、患者がストレスを受けないように周囲の環境を整えることです。たとえば、職場の上司や自宅の家族に心の病であることを伝え、患者がストレスを溜めないように配慮してもらうことが考えられます。
また、仕事や家事の内容を見直し、ストレスがかからない程度にまで負担を軽減するといった環境調整法もあります。
病院を受診
認知行動療法や環境調整を行う際も、まずは病院を受診してから実践することをおすすめします。なぜなら、適応障害とうつ病とでは、治療方法が異なるうえに、うつ病の場合は薬物療法で治療を受けた方が効果的なことも多いからです。
職場に産業医が在籍している場合は、産業医に自身の精神面の不調について相談するのもよいでしょう。
「自分が精神障害なのでは?」と思ったら、医師による診断チェックを受けてみてください。次に、病院における適応障害やうつ病の診断についてご紹介します。
病院における適応障害やうつ病の診断チェック
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病院では「精神障害の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」をもとに、適応障害やうつ病の診断を行われることが多いです。
DSM-5とはアメリカ精神医学会が作成した精神疾患の診断基準や分類を書かれたマニュアル書です。日本精神神経学会が「DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン」を作成していることからも、日本の医師がDSM-5を利用する機会が多いことが分かります。
DSM-5では、精神疾患を22のカテゴリーに分けて解説されており、その中に適応障害やうつ病についても書かれています。
適応障害は「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類される一方で、うつ病は「抑うつ障害群」に分類されます。よってDSM-5においても、適応障害とうつ病はまったく別の精神障害であることが分かります。
適応障害とうつ病の治療方法は異なる
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適応障害とうつ病は、それぞれ違った性質を持つ病気であるため治療方法も異なります。ここでは、適応障害とうつ病に対する治療法を、両者の違いが分かるように解説します。
うつ病の治療は薬物療法と精神療法で行う
うつ病は脳に問題を抱えるため、薬物療法で脳内の神経伝達物質の量をコントロールすると、症状を軽くできる可能性があります。
そのため、脳に直接働きかける薬物療法を行いつつ、医師や臨床心理士との対話による精神療法が行われます。抗うつ剤を投与しながらの長期的な治療が必要になることが多いと言われています。
適応障害の治療では補助的に薬物を使うことがある
適応障害は発症の原因があるため、その原因から離れると症状がすぐによくなる特徴があります。脳の障害でもないため、薬物療法を行っても効果が限定的です。
そのため、まずは症状の原因を特定して、その問題を解決したり距離を置いたりすることが重要です。たとえば、前項でも紹介した「環境調整」や「認知行動療法」といった取り組みを優先して治療が行われます。
症状が強く出ている場合は、薬を処方されることもありますが、薬物療法が行われないことも多いです。
適応障害やうつ病に関するQ&A
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ここでは適応障害やうつ病について以下の質問にお答えします。
- 明るい人が適応障害になることはあるのか?
- 適応障害がうつ病に移行したり併発したりすることはあるのか?
- なぜ適応障害やうつ病の診断書の記載内容はあいまいなのか?
参考にしていただき、精神疾患についての疑問の解決にお役立てください。
明るい人が適応障害になることはあるのか?
明るい人でも適応障害になることはあります。実際に、普段はテキパキとしていて表面上は明るく見えても、気分や体調にムラがあることに悩みを抱えている人も存在します。
いくら性格が明るくても、環境の変化や人間関係で精神障害を発症するケースがあるのを知っておくとよいでしょう。
適応障害がうつ病に移行したり併発したりすることはあるのか?
適応障害を放ったらかしにすると、うつ病に移行したり併発したりする可能性があります。実際に、適応障害はうつ病の一歩手前だとも言われており、軽い適応障害でも注意が必要です。
適応障害は、うつ病とは違いストレスの原因から解放されると、症状が回復すると言われています。適応障害のうちに、ストレスの原因を見つけて、そこから離れるようにした方がよいでしょう。
なぜ適応障害やうつ病の診断書の記載内容はあいまいなのか?
適応障害やうつ病の診断書には、病名や状態だけが書かれていて詳しい内容が分からないことが多いです。たとえば「うつ病」という病名だけ書かれていたり、「うつ状態」という患者の状態だけが書かれていることも多いのですが、その理由は次の通りです。
- 患者の不利益とならないように配慮されているから
- 精神障害の診断書は病名だけを書くことが一般的だから
- 短期間では正確な病名を確定できないから
患者の不利益については、病気に対する世間の偏見から患者を守るのが目的です。また、公文書には確定的なことしか書けないため、詳しく書けないこともあります。短期間では正確な病名を確定できない場合は、病名ではなく「うつ状態」といった患者の状態のみが記載されることもあるようです。
適応障害とうつ病はまったくの別物!区別するためにも病院を受診しよう
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適応障害とうつ病はまったく別の精神疾患です。特にうつ病の場合は、脳に問題を抱えているため自己努力だけでは、解決できない可能性があります。
また適応障害を放っておくと、うつ病に移行してしまう可能性もあるため、早めに解決策を講じることをおすすめします。
そのため、自分が「適応障害やうつ病なのでは?」と感じたら、まずは専門の医療機関を受診したり、職場の産業医に相談してみましょう。専門医に相談すると、専門的な診断基準をもとに、適切な治療法を提案してもらえます。
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こちらの記事の監修医師
つきじ心のクリニック
榊原 聡
〇医師名:榊原 聡
〇クリニック名:つきじ心のクリニック
〇アクセス:東京都中央区築地2丁目8−10 築地K&R2TODAビル 6F
【診療科目】
心療内科
【経歴】
茨城県に生まれ育つ。千葉県出身。
旭川医科大学医学部卒業(1994年)
北海道大学附属病院精神科勤務(1994-95年、1998-2002年)
北海道大学大学院医学研究科卒業(2002年)
北海道立向陽ヶ丘病院(網走)(1995-97年)
札幌花園病院(1997-98年)
国立十勝療養所(2002-03年)
国立国際医療センター精神科(2003-04年)
国境なき医師団(2004年:パレスチナ自治区、新潟中越地震にて活動)
札幌トロイカ病院精神科副院長(2004-11年)
東京都立松沢病院精神科医長(2011-17年)
つきじ心のクリニック院長(2017年)
鑑定経験は計61件(起訴前鑑定27件、公判鑑定17件、簡易鑑定13件、医療観察法鑑定4件)(2021年5月現在)
【資格・所属学会】
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
医学博士
日本医師会認定産業医
学会認定精神鑑定医
国境なき医師団海外派遣医師
日本精神神経学会
日本睡眠学会
日本司法精神医学会
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