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最終更新日:2022年7月26日

親知らずがかみ合わせを救う!?親知らずを矯正治療に活用する方法

こちらの記事の監修医師
矯正歯科やまぎしクリニック
山岸 敏男

(画像=stock adobe.com)

「親知らず」は大臼歯の中で最も後ろに位置する歯であり、正式名称は第三大臼歯と言います。

かみ合わせのずれ、顎関節症、矯正治療後の後戻り、奥歯がしみる・痛いなど、口の中の都合の悪いことは親知らずのせいなどという扱いを受けやすい歯種ですが、矯正歯科治療で有効活用する方法もあります。

本記事では親知らずと親知らずを活用した矯正歯科治療について説明します。

親知らずとは?

人間の歯は本来32本あります。「親知らず」の名で知られる第三大臼歯4本は、大半の方が骨の中に埋まったままなので、口の中に見えているのは通常28本です。そのうち大きな奥歯は第一大臼歯が4本、第二大臼歯が4本あり、主に食べ物をつぶす役割を担っています。

現代人に親知らずが生えない理由に関しては、あごのサイズが小さいために知らずが成長したくてもできない=アゴの大きさに原因があるという説と、歯自体が退化という道を選択したという説があります。

歯に限った話ではありませんが、原因がハッキリしないのに痛みや違和感があることがあります。口の中の場合、奥歯周辺の原因不明の症状は、親知らずのせいにされることが多々あります。中途半端に生えてきたものは清掃しにくく、清掃不良により炎症が起きると痛みが出ることもあります。

手技が簡単なものほど抜歯されやすい傾向にあり、重度のものは周りの骨を削って抜く必要があるので、全身麻酔下での施術を提案されることもあります。

こういった負のイメージから、存在するだけで悪、親知らず=いらない歯と思われているかもしれません。

矯正治療における親知らずの使い道

平成11年(1999)の歯科疾患実態調査では歯の寿命の調査をしており、それによると寿命が短いのは左下第二大臼歯で男性50.0年、女性49.4年となっています。

歯は50歳で1本無くなってしまうようで、その場所は第一大臼歯や第二大臼歯といった奥歯である確率が高いと報告されています。虫歯や歯周病の進行による自然脱落もあるでしょうが、長期の保存が難しいと判断された歯は、歯科医院で抜歯を勧められることもあります。

そのような時、すぐに思いつくのがインプラントですが、人工物を口の中に入れることの抵抗や、なぜその歯がダメになったのかを考えると、インプラントの長期安定にも不安が残ったり、かといって入れ歯だと急に自分が老け込んだように感じたりします。

そこでもう一つの選択肢は矯正歯科治療です。矯正装置を使って、奥歯を移動させることで歯が抜けたスペースをつめて、親知らずをかみ合わせに参加させることが出来ます。例えば、下あごの第一大臼歯を長期保存が困難で抜歯をしたケースでは、第二大臼歯と親知らずを前に移動してきてかみ合わせをつくりました。

下あごの第一大臼歯が自然脱落していたケースでは、前歯の関係を変えつつも、第二大臼歯と親知らずを前に移動してきてかみ合わせをつくるといったことが可能です。

親知らずを残しておくことで、かみ合わせの治療の可能性は拡がるのです。デメリットは年単位の治療期間が必要なこと。しかしデメリットを帳消しに出来るほどに、その後の人生を自分の歯だけで生きていけるというメリットは、とても素晴らしいことだと思います。

その他の親知らずの使い道

矯正歯科治療以外にも、親しらずの使い道はあります。

  1. 移植する

長期の保存が難しい奥歯の場合、歯科医院で抜歯を勧められることがあります。そのような時、条件が合えば親知らずを抜いて、その場所に移植する方法があります。

  1. ブリッジの土台にする

第二大臼歯が無くなってしまった場合、一番奥だし…見えないし…と思って放置しておくと、咬む相手のいなくなった奥歯のかみ合わせはどんどん崩れていきます。そのような時、親知らずがあれば、無くなってしまった部分を補うためのブリッジの土台や、入れ歯を引っかける場所に利用できます。

  1. 冷凍保存

抜いた親知らずを冷凍保存しておき、将来自分の歯が無くなったときに解凍してその部分に移植するという技術が実用化されています。

親知らずを抜くことになったら矯正治療を考えよう!

親知らずが一概に悪ではないことが分かってもらえたでしょうか。矯正歯科を生業にしていると、親知らずがあればなぁ…という場面に出くわす機会は多いものです。親しらずを抜歯する選択に迫られたら、まず矯正治療を考えてみてください。矯正治療用の検査をしたうえで、抜くのはいつでも出来るので、使えるようなら残す選択肢も一つです。

※参考文献
・平成11年歯科疾患実態調査
・吉野浩一,他:成人の歯の喪失の初発現部位.口腔衛生会誌 51 : 258-262, 2001.
・山岸敏男:全顎矯正治療により改善を図った埋伏下顎第二大臼歯により第一大臼歯が歯根吸収をきたした症例.顎咬合誌 39(1.2) : 28-34, 2019.

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こちらの記事の監修医師

矯正歯科やまぎしクリニック

山岸 敏男

1970年、富山県生まれ。
やまぎしクリニックsince 2010 カッコイイから書いてみたとです。
矯正歯科やまぎしクリニックは、ワイヤーとブラケットという極めてアナログ的な矯正歯科治療の可能性を広げていくため、日夜研究に励んでいます。
日々の診療で大切にしているのは、「第六感」「よいイメージ」「考える」。
学会発表を兼ねた旅行が趣味だが、ほとんどの学会がWEB開催となっているのが目下の悩み。

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