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最終更新日:2022年6月30日

歯の寿命は意外に短い!歯を長く残す方法を考えてみた

こちらの記事の監修医師
矯正歯科やまぎしクリニック
山岸敏男

厚生労働省の集計によると2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっていますが、歯の寿命はこれほど長くありません。

人は食べることで体を維持しており、食べるために歯を使っています。健康寿命を延ばすためには、歯の寿命を延ばす必要があると思います。そこで今回は、歯を長く残す方法についてお話していきます。

歯は50歳で1本無くなる!

「80歳になっても自分の歯を20本以上持とう!」をスローガンに日本歯科医師会と厚生労働省が推進してきた「8020運動」というものがあります。

20本以上歯があれば、何でも咬んで食べることができるという報告をもとに、平成元年(1989年)から展開されてきた運動です。8020達成者の割合は毎年上がっていて、平成28年(2016年)の調査では51.2%になっています。

一方で、平成11年(1999年)の歯科疾患実態調査では歯の寿命の調査もしており、調査によると長くても、下あごの犬歯で男性66.7年、女性で66.2年となっています。寿命が短いのは左下第2大臼歯で男性50.0年、女性49.4年となっており、歯は50歳で1本無くなってしまいます。

歯の寿命は肉体の平均寿命よりはるかに短いのです。

歯は奥歯から無くなる

一番最初に無くなる歯はどこでしょうか?

喪失歯の初発部位に関する調査によると、男性は上あごの第二大臼歯が15.7%、下あごの第一大臼歯が14.7%、女性は下あごの第一大臼歯が31.1%、上あごの第一大臼歯が11.0%となっています。

どうやら人間の歯は奥歯から無くなっていくようです。

歯が無くなる理由はこれだ!

1.かみ合わせ

良いかみ合わせとは、前歯で咬み切り、奥歯で潰すという役割分担がしっかり出来るものと言えます。歯が長持ちしている8020達成者のかみ合わせを調査した結果から、どんなかみ合わせだと歯が長持ちするのかが見えてきました。

分かりやすい指標となるのが、この2つ。
頬っぺたを引っ張って、真横から歯を眺めて下さい。

  1. オーバージェット:真横から見た上の前歯と下の前歯の水平的な距離
  2. オーバーバイト:真横から見た上の前歯と下の前歯の垂直的な距離

理想的な前歯は①②ともに+2~3mmです。この形だと前歯と奥歯の役割分担がしやすいのです。

8020達成者のオーバーバイトの平均は+4mm、オーバージェットの平均も+4mm前後であったとのことです。図の水色枠の辺りです。やはり理想に近いかみ合わせが歯を長持ちさせる条件なのでしょう。

逆に8020達成者に見られなかったかみ合わせが、「受け口」と「開咬」でした。

「受け口」の場合オーバージェットが「-」に、「開咬」の場合オーバーバイトが「-」になるので前歯が使えません。前歯が使えないと、何をするにも奥歯を使うことになるので奥歯からダメになっていくのでしょう。

推測の域を出ませんが、前歯で咬み切れないと奥歯を失うリスクは上がるのではないかと考えられます。過剰な出っ歯や下の前歯が一切見えない「過蓋咬合(かがいこうごう)」も8020を達成しにくいでしょう。矯正歯科治療によって前歯の位置関係を正常範囲に変えるという方法が、奥歯を長持ちさせる面からは有効のように感じます。

2.細菌感染

誰もが思いつく、歯を失う理由は虫歯と歯周病という「細菌感染」でしょう。

我々の歯はペリクルという薄い膜で覆われているのですが、ここに細菌が吸着して増えていくことで歯垢(プラーク)になります。ですから歯垢は、細菌のかたまりです。

その細菌の中にむし歯や歯周病の原因菌がいるので、当たり前の話ですが、正しいブラッシング技術を身に着けて、歯垢をしっかり除去することが歯を長く保存することにつながります。

3.歯ぎしり・食いしばり

知らない方が多いのですが、歯は正常な状態では上の歯と下の歯は離れているものです。使うときだけ接触するのが理想です。ですから歯に異常な力のかかる歯ぎしりや食いしばりは歯の保存にとってはマイナスなのです。犬歯の先が削れている方はその傾向があるでしょう。

歯ぎしり・食いしばりはなかなか止められないのですが、無意識だから…を言い訳にしないで、奥歯を1mm離すことを意識してください。

明日、歯医者へ行こう!

奥歯を守っていくことが8020達成者になる近道です。そのための方法は、矯正歯科治療により前歯で咬み切れる状態を作ること、細菌感染の予防、歯ぎしり・食いしばりを防止する意識、だと考えます。

矯正治療は骨の中で歯を移動させるという治療の性質上、歯を支えるあごの骨がしっかりしているうちに始めるのが理想です。

昨今、矯正治療は美容面が強調され過ぎて、前歯を並べる手法ばかりがクローズアップされていますが、歯を長く残すためには前歯と奥歯の役割分担という機能面にも目を向けることが必要です。

 

参考文献

後藤真人:成人歯科保健の指標としての「噛めかた」の検討(第2報)口腔衛生会誌37:444-445.1987.
新庄文明,他:歯科保健センターを基盤とした南光町における成人歯科保健事業.日本歯科評論530:170-175.1986.平成11年 歯科疾患実態調査
平成28年 歯科疾患実態調査
吉野浩一,他:成人の歯の喪失の初発現部位.口腔衛生会誌51:258-262,2001.
茂木悦子:矯正歯科治療がめざす咬合にヒントとなる8020達成者の咬合の観察より.クインテッセンス出版:80-93,2018.

 

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こちらの記事の監修医師

矯正歯科やまぎしクリニック

山岸敏男

山岸敏男
矯正歯科やまぎしクリニック院長

1970年、富山県生まれ。
やまぎしクリニックsince 2010 カッコイイから書いてみたとです。
矯正歯科やまぎしクリニックは、ワイヤーとブラケットという極めてアナログ的な矯正歯科治療の可能性を広げていくため、日夜研究に励んでいます。
日々の診療で大切にしているのは、「第六感」「よいイメージ」「考える」。
学会発表を兼ねた旅行が趣味だが、ほとんどの学会がWEB開催となっているのが目下の悩み。

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