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最終更新日:2022年4月28日

顎変形症は予防できるか? 顔の変形を伴った歯並び・かみ合わせへの対処法

こちらの記事の監修医師
矯正歯科やまぎしクリニック
山岸 敏男

(写真=PIXTA)

アゴの骨の位置や大きさの異常により、かみ合わせ・発音などの機能異常を起こしている状態を、顎変形症(がくへんけいしょう)といいます。顎変形症は予防できるのでしょうか。また顎変形症はどのように治療するのでしょうか。歯科医師が解説します。

顎変形症ってどんな病気? 

昨今、他人と会えないこともあり、自分への関心が異常に高まっていませんか。

歯磨き、化粧、ひげ剃り、Zoom会議と、1日1回はお目にかかる自分の顔、歯並び、かみ合わせ。個性と考えるのもひとつですが、矯正歯科治療で改善可能なものは多いです。

しかし、なかにはその限度を超えており、矯正歯科だけでは対応が困難なケースが存在します。

それが顎変形症。

原因があごの変形によるものと推測されるかみ合わせのことで、主症状は歯並び・かみ合わせの異常と上あごと下あごの大きさが違う、あごの付き方に左右差があるといった顔の変形です。

歯並び・かみ合わせを治す治療である矯正歯科治療は、あごの骨の中で歯の位置を変えていく治療なので、あご本体の位置を変えることは出来ません。

一般的な矯正患者さんでも多少の骨格の問題はあるのですが、顎変形症の場合その範疇を超えているため、治療は手術を併用した矯正治療が第一選択になります。

かみ合わせの手術をすることで、あごの出っ張り、引っ込み、左右非対称が軽減できるという二次的な効果も見込めます。

顎変形症の種類 

代表的な顎変形症には、下記のようなケースがあります。

骨格性下顎前突症:顎変形症治療の中で最も多いかみ合わせで、
下あごが大きすぎてかみ合わせが受け口になっているもの。

骨格性小下顎症:下あごが小さすぎて、かみ合わせが出っ歯になっているもの。

骨格性開咬症:前歯の接触が一切なく、奥歯しか接触がないもの。

骨格性顎偏位症:かみ合わせの左右差が大きく、顔が左右非対称なもの。

顎変形症は予防できるのか? 

低年齢から矯正治療を始めれば、将来の外科手術を回避できるのではないか? と考える方は多いと思います。

最も治療頻度の高い骨格性下顎前突症を例に挙げると

①下あごが前に成長するのを抑える治療
②上あごを前に成長させる治療

です。臨床現場では、このどちらかが成長期で行われてきたのですが、実際の治療効果は

①の場合、やってもやらなくても下あごの大きさに差はなく、下あごは前に出ないが、顔が長くなる。
②の場合、短期的には大きな効果があるが、時の経過とともに効果が消失する。

ということが分かってきましたので、筆者の個人的な見解は「顎変形症は予防できない」です。

なので「放っておくと手術になるから、今すぐ治療を始めましょう」という意見には賛同できません。

ちなみに日本矯正歯科学会の診療ガイドラインでは、①②どちらにもやんわりと否定的な見解を示しながらも、あらゆる組織、あらゆる思想の歯科医師、コスパ、患者・家族の価値観や好みにも忖度してあるので、中立的な立場を保った内容となっております。

参考文献 日本矯正歯科学会:矯正歯科治療の診療ガイドライン成長期の骨格性下顎前突編

治療は矯正歯科と口腔外科のコラボ企画

顎変形症の治療は「外科的矯正治療」と呼ばれるだけあって、矯正歯科と口腔外科のコラボ企画と言えます。手順は①術前矯正治療、②手術、③術後矯正治療、④保定(ほてい)の4ステップで進んでいきます。

①術前矯正治療:手術をしてから矯正治療をすると思われるでしょうが、違います!

手術直後に上下の歯がうまくかみ合うことを想定して、上あごの歯並びと下あごの歯並びを別々に矯正していきます。この段階ではかみ合わせは治らないままです。期間は1年~1年半です。

②口腔外科で手術:入院して全身麻酔にかかってもらい、口の中から切開を入れてアゴを削り、位置をずらします。入院期間は7日~10日ほど。

この段階で、かみ合わせは大雑把に仕上がります。

③術後矯正治療:緊密なかみ合わせに仕上げるステージです。期間は1年弱です。

④保定:矯正装置から解放された歯は、元居たところに戻ろうとします。矯正器具を撤去した後は、リテーナーという着脱可能な装置を使って、新しい環境に歯、筋肉、舌などを慣れさせていく期間が必要です。期間は約2年です。

外科的矯正治療を選択する際の注意点

外科的矯正治療は安全な手術になったとは言え、ゼロリスクではありません。

術中の出血、異常骨折、神経・血管の損傷、術後の知覚麻痺といった合併症がないとは言い切れません。このことを理解したうえで選択する必要はあります。

もう一つ、顔の変化に過大な期待をしてはいけません。

美容整形とは違うので、気に入らないから何回も…ということは出来ません。

現在、矯正治療は美容面が過度に強調されている傾向にありますが、外科的矯正治療の第一の目的は通常の矯正治療と同じで、歯並び・かみ合わせの改善にあります。

顔の変化は二次的なもの。そもそも全員パーツが違います。

心当たりがあれば一度病院で診察してもらおう

治療が大掛かりになるので、さぞかし高額な請求が来るのでは? と思われるでしょうが、顎変形症の治療は指定自立支援医療機関であれば歯科矯正、外科手術どちらも健康保険が適用されます。

気になる方は各県の指定自立支援医療機関にご相談下さい。

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こちらの記事の監修医師

矯正歯科やまぎしクリニック

山岸 敏男

矯正歯科やまぎしクリニック院長
1970年、富山県生まれ。
やまぎしクリニックsince 2010 カッコイイから書いてみたとです。
矯正歯科やまぎしクリニックは、ワイヤーとブラケットという極めてアナログ的な矯正歯科治療の可能性を広げていくため、日夜研究に励んでいます。
日々の診療で大切にしているのは、「第六感」「よいイメージ」「考える」。
学会発表を兼ねた旅行が趣味だが、ほとんどの学会がWEB開催となっているのが目下の悩み。

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