子どものその咳、大丈夫?秋口に発症しやすい「隠れ喘息」の対処法

寒暖の差が出やすい春先や秋口。小児科医の米田真紀子氏は、子どもの「喘息」に注意が必要といいます。すでに喘息と診断されている子どもはもちろん、1日の中で特定の時間にだけ喘息症状が出る「隠れ喘息」は見逃されやすいため、特徴と対処法を見ていきましょう。

喘息は「火事」と同じ…早期発見の難しさ

喘息病態はよく「火事」に例えられます。喘息とは、気道に火事(炎症)が起こった状態です。大火事の場合はすぐに診断がつき治療ができますが、ボヤ程度の場合は病院受診時(日中)にはあまり所見がなく、気づかれないこともあります。

しかしボヤ程度でも放っておくと、知らないうちに下火が広がっていきますし、なにかのきっかけ(例えば風邪などのウイルス感染)で大火事に発展することもあります。

喘息は気道に炎症が起こり、それが慢性化してしまう病気で、アレルギー素因が関わっていると言われています。

気道の炎症が続くと「リモデリング」ということが起こり、気道の組織の線維化や、同組織が分厚くなって固くなり柔軟性を失ってしまうために、呼吸機能がもとの状態まで回復しなくなってしまうことが分かっています。

もちろん大火事を繰り返していなければリモデリングもゆっくりとしか進行しませんが、それでも知らないうちに病態が進んでしまうことを知っておかなくてはいけません。

これって喘息かも…疑わしい「2つの咳」

では、喘息を疑う咳とはどのようなものでしょうか?

1つ目は「特定の時間帯に出る咳」です。喘息は、生理的に気管支が収縮しやすい夜間から早朝にかけての時間帯が最も症状が出やすくなります。比較的すっと寝入っても、夜明けごろになると咳込むのが一週間以上続く、という場合は喘息を疑います。

2つ目は「特定の季節や状況で悪化する咳」です。寒暖の差が出やすい春先や秋口、台風などで気圧の急激な変化が出るときに症状が出やすくなります。

また、「運動時」にも症状が出やすいという特徴もあります。風邪っぽい症状が他にないのに運動時に咳込みしやすい場合は、喘息も視野にいれて検査を考慮したほうがいいかもしれません。

さらに、「埃っぽい場所」「砂塵」「煙(たばこ)」などがきっかけとなり咳込みが悪化する場合もあります。特に秋口の運動会の練習や、冬場の持久走は「喘息の出やすい季節」、「運動時」に「砂塵」の中行うため、2重3重に症状が出やすい条件が重なるので注意が必要です。

乳幼児の場合は、風邪のたびに咳だけがずっと残る場合、おなかを激しく動かす動作や、肋骨が浮き出るような、苦しそうな呼吸を伴う咳があるときには喘息の合併を疑います。

「隠れ喘息」の子どもは、喘息が出ていても元気

いつも喘息がくすぶっているけど症状がはっきりしない「隠れ喘息」の子どもは、喘息発作が出ていても意外にケロリとして走り回っているため、親もなかなか病気に気づけません。

咳はしているものの、元気なので病院を受診しようと思わずに、咳をしていることに慣れてしまいずっと放置してしまっているケースもあります。聴診器を当てるとすごくゼーゼーしていて、これで平気でいられるのかとびっくりします。ただ、その間にも少しずつ気道に炎症は広がっているため、「隠れ喘息」は進行しているのです。

喘息を疑ったときは?

喘息を疑った場合は、小学生以上であれば呼吸機能検査や呼気のNO(一酸化窒素)測定をします。また、まだ検査ができない乳幼児や、受診時は症状がはっきりしないような軽症の喘息がある場合でも、喘息の薬をしばらく使ってみて、症状が改善するかどうか試してみるという方法もあります。

大切なのは「火事を起こさないこと」…喘息の治療法

喘息治療には、発作時治療予防治療があります。

喘息発作時の治療は「気管支拡張薬」というお薬を使います。気管支拡張薬には内服薬、貼付薬(テープ)、吸入薬と各種剤形がありますが、これはあくまで発作時の症状を少しの間だけ楽にするために使うものです。

喘息と診断されていても、軽症の場合はこの発作時の治療だけでなんとかなってしまいますが、前述のように少しでもお子さんの呼吸機能を守るためには、気道炎症を抑え火事を起こさないようにする予防治療が一番大切です。

予防治療は、ロイコトリエン拮抗薬の内服とステロイド吸入薬を組み合わせて行います。発作の重症度や頻度を考慮し、さらに、それぞれ発作のおきやすい時期や状況に応じて、主治医とともにお薬を調整するオーダーメイドの治療をすることが望ましいです。

適切な喘息治療をすることによって、今まで喘息によって制限されていた活動ができるようになったり、急に体育の成績がよくなった、とか、マラソンがしんどくなくなったり、風邪の治りがよくなった、ということも外来でよく経験します。

この記事を読んで「あれ? うちの子にあてはまるかも…」と思われた方は、一度専門医に相談してみることをお勧めします。