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最終更新日:2022年3月18日

もやもやびょう(うみゃくりんへいそくしょう)もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)

こちらの記事の監修医師
日本赤十字社医療センター
木村 俊運

概要

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、首から脳につながる重要な血管である「内頚動脈」とよばれる太い脳血管が細くなり、主に脳の血液不足が起こる疾患です。脳の血流が不足するため、足の麻痺や言語障害などの症状がみられます。血管の閉塞によって不足した血液を補うために、側副血管(側副血行路)と呼ばれる細い血管が新たに作られ、これがカテーテル検査で、もやもやと煙がたつように見える「もやもや血管」ができるため、もやもや病とよばれます。内頚動脈は頭蓋骨の内側に入った後、枝分れしますが、この枝は反対側の頚動脈などと生まれつき繋がっていて、環状のバイパス経路を作っており、ウィリス動脈輪と呼ばれます。もやもや病はこのウィリス動脈輪が閉塞する疾患であることから、専門的にはウィリス動脈輪閉塞症という疾患名でよばれることもあります。男女比は約1対2の割合で女性が多く、性差が認められる疾患です。好発年齢は5〜10歳および40歳前後といわれており、好発年齢に2つのピークが見られるのが特徴です。人口10万人あたり6-10人程度の希少疾病であり、厚生労働省の指定難病に登録されています。

原因

もやもや病のはっきりした原因は解明されていません。10〜12%程度の患者さんに家族内発症が確認されていることから、遺伝的な原因の関与が疑われています。RNF213とよばれる特定の遺伝子を持つ人に発症しやすいことも報告されています。明確な原因は判明していませんが、もやもや病発症のメカニズムとしては、左右の内頸動脈の終末部分が徐々に狭くなることで、ウィリス動脈輪が閉塞して脳内の血流量が低下し、少なくなった脳血流を補うためにもやもや血管が発達すると考えられています。

症状

脳内の血流量が低下することで、麻痺や言語障害、意識障害などの中枢神経症状が一時的に生じるのがもやもや病の特徴です。症状は一時的なこともあり、しばらくすると症状が解決するということがありますが、実際に脳梗塞が完成してしまうと後遺症として残ります。口の周りや手足のしびれ、頭痛などの症状の他にも、けいれんや不随意運動(自分の意志とは無関係に体が動いてしまう)などの症状も出現することがあります。また脳梗塞だけでなく、脳出血を起こすこともあり、特に成人の場合は、約半数の症例が脳出血として発症することが知られています。

検査・診断

もやもや病の検査としては、頭部MRI検査が重要となります。MRI検査では、脳血管の状態、脳梗塞や脳出血の有無など、脳血管の全体像を検査することができます。必要に応じて脳血管造影検査(カテーテル検査)を追加することで、脳血管の閉塞状況や内頚動脈以外から脳に栄養を送る血管(側副血管)の状態をさらに詳しく調べる場合もあります。その他、放射性同位元素を用いて脳の血流を評価する検査を行う場合があります。

治療

脳梗塞や一過性の脳虚血発作(脳の血液が不足することによる症状)を抑えるために、アスピリンなどの抗血小板が使用されることがあります。頭痛やけいれんなどの症状が発現している場合には、鎮痛薬や抗けいれん薬などを追加して対症療法を行います。また、脳梗塞や脳出血などを予防するために手術が行われることもあります。不足した血液を補うために、脳内に新たに血流の供給をするような「バイパス経路」を作るための手術が効果的であることが知られています。血管がダメージを受けやすい疾患であるため、脳出血を予防するために高血圧を予防することも重要であり、降圧薬などを使用した血圧管理を実施する場合があります。もやもや病の脳出血は、正常な血管ではないもやもや血管に負担がかかることで起こることが多いため、この負担を減らす目的でバイパス手術を行う場合もあります。

予防/治療後の注意

梗塞や脳出血などの発症によって初めて「もやもや病」が発見されることも多く、発見時には重篤な症状を呈してしまうということが少なくありません。頭痛や一時的な意識障害などで「もやもや病」を早期に発見できた場合には、すぐに医療機関を受診して適切な治療を行うことで、重篤な症状発現を予防することも可能です。実際に症状を出す前にもやもや病を発見することが重要な予防戦略となるため、脳ドックが有効な病気です。

こちらの記事の監修医師

日本赤十字社医療センター

木村 俊運

〇診療科 :脳神経外科

【認定医・専門医】
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳卒中の外科学会技術指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医
緩和ケア研修会修了者
AANS international membership

治療に適した診療科目

脳神経外科

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