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最終更新日:2022年3月9日

ちゅうぶかんしょうこうぐん肘部管症候群

こちらの記事の監修医師
フェリシティークリニック名古屋
河合 隆志

概要

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)とは、肘の内側にある尺骨神経が押さえられたり(圧迫)引っ張られたり(牽引)して傷んでしまうことで、手の小指の方が痺れたり、手の中の部分を動かす筋肉が麻痺をしてしまう病気です。尺骨神経は、小指と薬指の半分と、手の平や手の甲を走る神経のひとつで、手をグーパーする運動を担っています。近年では、肘部尺骨神経障害(ちゅうぶしゃっこつしんけいしょうがい)と呼んだりします。

原因

幼少期に肘を骨折することや加齢で変形してしまったり、運動前のストレッチが足りないこと、野球などのスポーツや長時間の運転、神経を固定している靱帯やガングリオン(良性の腫瘍)などによる圧迫、手首を強く使う動作、慢性関節リウマチ、ヘルニアなど、さまざまな病気が原因となり起こることが多いです。

症状

初めは、手首あたりから先の小指と薬指に痺れや不快感、痛みが走ります。薬指は半分だけ痺れます。肘〜手首の方の広い範囲の内側に痛みや痺れ、筋肉の痙攣が出てしまうこともあります。肘を曲げ続けてしまうと、症状が強くなるのが主な特徴になります。症状が進むと手の筋肉が痩せて、小指と薬指の変形が起こります。鷲手変形といいます。指を伸ばしたくても、小指と薬指がしっかり伸ばせなくなってしまい、指先の細かい動きができなくなってきて、小さい物が掴みづらい、箸が使いづらい、といった症状が出てきます。また握力も低下していきます。

検査・診断

神経が押さえつけられている肘の部位を、指やハンマーなどの道具で軽く叩く、ティネル徴候といわれる検査があります。小指と薬指の半分に痺れが出たら肘部管症候群と診断されます。また、親指と人差し指で紙をつまんで、親指の関節が曲がってしまうフロマン徴候が現れることも特徴です。これは親指の筋力低下が起きてしまうために現れるものです。神経に皮膚の表面から電気刺激を加えて、筋肉の反応を見る検査もあります。筋肉の反応する時間が普通に比べて遅いと診断されます。最後はレントゲン検査です。肘の変形や関節のすき間の狭さなどを確認します。なお、神経は全身を巡っているものなので、検査などで引っかからなかった場合は、首の病状による神経の圧迫や、糖尿病や狭心症などによる神経障害を調べる必要があります。

治療

最初は投薬と肘部の安静などの保存治療を行います。ビタミンB12の内服や、肘の炎症を抑える鎮痛剤の内服をし、ステロイド注射などで炎症を鎮静させる場合もあります。また、鍼灸も効果的です。第8頸神経の興奮を抑えたり、肘部管の筋肉を元に戻す作用があると考えられています。投薬や安静で治らない場合や、痺れや麻痺が進んでいる場合は、長期間の圧迫が起こり回復ができなくなってしまうため、手術を行います。手術は尺骨神経を押さえている靱帯を切ったり、ガングリオン(良性の腫瘍)の切除を行います。神経の状態が悪い場合は、神経を圧迫しないように骨を削ったり、神経の隙間を開けたり、神経を前へ移動する手術を行います。肘の関節が変形している場合は、変形を戻す手術を行ったりもします。どれも圧迫された神経の状況を変えることが目的ですが、その後に神経が回復するまで一定の時間がかかります。神経がどの程度ダメージを受けていたのか、どの程度症状が長く続いていたのかにより、手術後の回復度合いも変わってきます。この病気は保存治療が効きにくく、治療は手術が主になります。

予防/治療後の注意

肘を曲げる動作や姿勢をできるだけ避けることが予防になります。電話をかけることが多い方は、イヤホンなどを使いましょう。キーボードを使う方は、肘が机に当たらないよう椅子の高さを調節したり、サポーターを使ったりしましょう。寝ている間に痺れが出る方は、無意識に肘が曲がってしまっていることが多いです。肘にタオルを巻くなどして、肘を曲がりにくくすると良いでしょう。

こちらの記事の監修医師

フェリシティークリニック名古屋

河合 隆志

〇アクセス :愛知県名古屋市中区中区14 丸の内2-14-19 安藤ビル3・4階
〇診療科:整形外科・アンチエイジング
〇経歴:
1975年、愛知県出身。医学博士。
日本整形外科学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
慶應義塾大学理工学部卒業
同大学院修士課程修了
東京医科大学医学部卒業
東京医科歯科大学大学院博士課程修了
痛み研究の最先端をいく愛知医科大学学際的痛みセンター勤務後、
米国のペインマネジメント&アンチエイジングセンターほか研修
2016年、フェリシティークリニック名古屋を開院
原因不明の痛みに悩まされている患者さんの「最後の砦」を自負し、対処法でなく痛みを根本的に治す治療を試みている。
著書に「見るだけでしつこい痛みがすーっと消えるすごい写真」
(アスコム)、「腰痛がラクになる酸素たっぷり呼吸法」(笠倉出版社)など。

治療に適した診療科目

整形外科

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