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最終更新日:2021年10月2日

ちょうしんけいしょうしゅ(ちょうしんけいしゅよう)聴神経鞘腫(聴神経腫瘍)

聴神経鞘腫(聴神経腫瘍)

まとめ

聴神経鞘腫(聴神経腫瘍)は、聴神経に腫瘍ができ、耳鳴りやめまいなどが起こる疾患である。音を聴き取る蝸牛神経ではなく、平衡覚を司る前庭神経に発生する疾患のため、前庭神経腫瘍と呼ばれる。脳腫瘍全体のうち8~10%を占め、発症率が高い。腫瘍の多くは良性で、急いで治療を行う必要はない。聴神経を包むシュワン細胞が腫瘍化し、神経圧迫により耳鳴りなどの症状が起こる。腫瘍は前庭神経にできることが多く、4cmを超える大きな腫瘍以外は、開頭手術の必要性は少ない。

この病気の原因

聴神経鞘腫(聴神経腫瘍)では、神経線維を包むエミリンをつくるシュワン細胞が腫瘍化する。腫瘍ができる主な原因は解明されていないが、遺伝性に発生する疾患が確認されていることから、何らかの遺伝子変異が発症原因として疑われる。遺伝性疾患には、神経線維腫症Ⅱ型と呼ばれる左右両側の聴神経腫瘍や、多くの神経腫瘍を生じる疾患である。発症原因が未解明であることや、症状が現れにくく、疾患にも気づきにくいことが特徴である。腫瘍は急激に増加しないが、全摘出しても再発の可能性が高い。根本治療もないため、手術は十分な検討が必要である。

主な症状

耳鳴り、難聴、めまいやふらつきの症状がある。腫瘍が大きくなり重症化すると、表情の造作や味覚などを支配する顔面神経、顔の触覚や口腔・鼻腔の感覚などを支配する三叉神経などの神経が圧迫され、まぶたの開閉がうまくできず、口が閉じられない顔面神経まひや、意思と関係なく顔の一部がけいれんを起こす顔面けいれんなどを引き起こす。悪化すると歩行障害や意識障害などが生じることもある。腫瘍の成長速度は緩やかで、脳への影響もスピードが遅いため、症状はすぐに現れず、発症したことに気づきにくい。

検査/診断の方法

初期症状には耳鳴りや難聴が多く、聴力検査で難聴とされ、MRI検査の精密検査で発見されることが多い。MRI検査が最も重要であり、腫瘍の有無や場所、大きさ、脳の損傷の程度などを調べる。また、造影剤を用いて小さな腫瘍が鮮明に映る検査を行うこともある。MRI検査では聴神経腫瘍の発症の可能性を調べる検査であり、確定診断には病理検査を行う。病理検査では、切除した組織の一部を顕微鏡で確認し、腫瘍化した細胞の有無を調べる。

主な治療方法

聴神経鞘腫(聴神経腫瘍)の診断後は、経過観察、あるいは放射線治療、開頭手術のいずれかを行う。聴神経鞘腫のほとんどは良性で、腫瘍の成長速度が遅いため、治療を急ぐ必要はないとされる。腫瘍が小さい場合は経過観察となるが、腫瘍が大きい場合には早期治療が必要となる。治療には放射線治療と開頭手術がある。放射線治療では、ガンマナイフやサイバーナイフで腫瘍に放射線を照射し、腫瘍を小さくし、腫瘍が大きくなるのを防ぐ。放射線治療は大きな腫瘍には対応できず、腫瘍が小さくなるまでに時間を要する。大きな腫瘍の場合は、手術にて摘出する。

治療後に注意すべき点/予防対策

腫瘍を完全に切除しても再発の可能性があり、手術後や経過観察中でも、半年~1年に一度定期的にMRI検査を受け、腫瘍の状態を確認する。経過観察中に腫瘍が縮小することも多く、手術により体に負担をかけずに済むこともあるので、焦って治療をする必要はない。

治療に適した診療科目

外科 脳神経外科 耳鼻咽喉科 放射線科

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