最終更新日:2026年8月7日
「下の血圧だけが低い」のはなぜ?高齢者に多い動脈硬化のリスクと対策
こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓

健康診断やご自宅での血圧測定の際、「上の血圧は正常、あるいは少し高めなのに、下の血圧が60台と低い」と不安を感じたことはありませんか?
高齢の方のなかには、上の血圧(収縮期血圧)が130〜140台ある一方で、「血圧の下が低い(60台やそれ以下)」というケースがよく見られます。
実は、このように「下の血圧だけが低い」状態は、単なる低血圧ではなく、血管の老化(動脈硬化)が進行しているサインかもしれません。
本記事では、高齢者に多く見られる「下の血圧(拡張期血圧)だけが低い原因」や、それに潜むリスク、そして日常生活での対策について詳しく解説します。
上の血圧と下の血圧、それぞれの役割とは?

私たちが普段「血圧」と呼んでいるものには、「上」と「下」の2つの数値があります。
- 上の血圧(収縮期血圧):心臓がギュッと収縮して、全身に血液を送り出したときの最も高い圧力。
- 下の血圧(拡張期血圧):心臓がリラックスして広がり、次に送り出す血液をため込んでいるときの最も低い圧力(最低血圧)。
健康な血管はゴムのようにしなやかな弾力を持っています。心臓が血液を送り出したときには血管が膨らんで圧力を逃がし(上の血圧の上昇を抑える)、心臓が休んでいるときには血管が元の太さに戻ろうとする力で血流を維持します(下の血圧を保つ)。
「下の血圧だけが低い」原因は「血管の老化(動脈硬化)」

年齢を重ねるとともに血管の弾力性が失われ、硬くなっていくことを「動脈硬化」と呼びます。この動脈硬化こそが、「血圧の下が低い」原因の一つです。
血管が硬くなると、心臓が血液を送り出したときに血管がうまく膨らめず、上の血圧が上がりやすくなります。一方で、心臓が休んでいるときには血管が元に戻る弾力がないため、圧力を維持できず、一気に圧が抜けてしまいます。その結果、「最低血圧が60台、あるいは50台」と低くなってしまうのです。
つまり、下の血圧が低いからといって「安全な低血圧」というわけではなく、むしろ「血管が硬くなっている(動脈硬化が進んでいる)サイン」として注意が必要なのです。
上と下の「血圧の差(脈圧)」に要注意!

血圧の数値を見る際、上と下それぞれの数値だけでなく、「上と下の差(脈圧)」も非常に重要な指標となります。
脈圧 = 上の血圧(収縮期血圧) - 下の血圧(拡張期血圧)
一般的に、この脈圧が「60以上」ある場合は、動脈硬化が進行している可能性が高いとされています。例えば、「上が140、下が60」の場合、脈圧は80となり、大きな負担が血管にかかっている状態です。
脈圧が大きい状態を放置すると、心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管疾患のリスクが高まることがわかっています。
高齢者の血圧管理のポイントと対策

血管の健康を守り、動脈硬化の進行を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しと正しい血圧管理が不可欠です。
1. 家庭での血圧測定を習慣にする
病院で測る血圧だけでなく、リラックスした状態で測る「家庭血圧」が重要です。毎日決まった時間(起床後と就寝前など)に測定し、記録を残しましょう。
2. 立ちくらみ(起立性低血圧)に注意
下の血圧が低いと、急に立ち上がった際に脳への血流が一時的に不足し、めまいや立ちくらみを起こしやすくなります。転倒による骨折を防ぐためにも、ゆっくりと動作を変えるよう心がけましょう。
3. 適度な運動とバランスの取れた食事
ウォーキングなどの有酸素運動は、血管のしなやかさを保つのに効果的です。また、塩分の摂りすぎに注意しつつ、高齢者の場合は極端な食事制限で低栄養にならないようバランスを意識しましょう。
気になる血圧の悩みは早めに医師に相談を

「上の血圧は正常だけど、下が低いのが気になる」「お薬を飲んでいるけれど、このままの数値で大丈夫?」など、血圧に関する不安を抱えている方は少なくありません。
動脈硬化のサインを見逃さず、健康な毎日を過ごすためにも、まずはご家庭で血圧を記録してみましょう。医師に相談する際に、より的確にお薬の調整や生活習慣のアドバイスを受けることができます。異常や気になる数値が出た場合は、早めに医師に相談しましょう。
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こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓
〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師 :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業
日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品
【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)
2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。



