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最終更新日:2022年3月18日

すいとうしょう水頭症

こちらの記事の監修医師
赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック
伊藤 たえ

概要

水頭症は、何らかの原因によって脳脊髄液(髄液)の循環障害が起こり、それに伴って脳室が拡大して大脳が圧迫されてしまうことで、数々の脳の障害を引き起こす疾患です。髄液には、脳の保護、脳圧のコントロール、脳の老廃物の排泄、栄養因子やホルモンの運搬など、様々な働きがあります。髄液の流れが滞り、脳室に髄液がたまってしまうことで、頭蓋骨の内面に大脳が押しつけられるようになり、頭痛や嘔吐などの他、成人の水頭症の場合には歩行障害や認知症などが出現することもあります。水頭症には大きくふたつのタイプが存在し、非交通性水頭症と交通性水頭症に分類することが可能です。非交通性水頭症は小児に発生しやすく、交通性水頭症は成人に発生しやすいことが知られています。交通性水頭症の中でも、特発性正常圧水頭症(iNPH)とよばれるタイプは高齢者に多く発症し、37万人以上が発症している可能性があると推定されています。

原因

水頭症のタイプはおおきく分けて非交通性水頭症と交通性水頭症に分類することが可能です。脳室の経路で髄液の流れが悪い場合には非交通性水頭症とよばれ、小児に多く発生する疾患です。先天的に経路が阻害されているケースや腫瘍などの影響が非交通性水頭症の原因としてあげられます。また、くも膜下腔での髄液の停滞や貯留がみられる場合には交通性水頭症に分類され、主に成人や高齢者などに発症します。くも膜下出血や頭部外傷など、特定の疾患が原因となって発症する場合を続発性正常圧水頭症といい、原因が特定できない場合を特発性正常圧水頭症と言います。

症状

症状は水頭症のタイプによって異なります。小児に発生しやすい非交通性水頭症の場合、頭蓋内圧が亢進しやすく、症状として頭痛や嘔吐などが出現します。特に乳幼児の場合には、明確な症状を伝えることができないため、いつもと泣き方が異なる、ぐったりするなどの症状を示すことがあります。また、重症化すると、視神経の異常や頭囲の拡大、不整脈や呼吸障害など様々な合併症が引き起こされる可能性もあります。一方、成人に多い交通性水頭症の場合には、頭蓋内圧が正常範囲に保たれている症例が多く、認知障害、歩行障害、尿失禁といった症状が発現します。特発性正常圧水頭症は認知症発生原因の約5%を占めているともいわれています。

検査・診断

成人の場合には、症状の問診や病歴の聴取、服用歴など聞き取りを行い、頭部CTやMRIなどの画像検査を行います。新生児や乳児の場合には、脳脊髄液がたまることで頭囲が拡大するため、定期的に頭囲の測定を行います。また、成人に多いタイプの正常圧水頭症の場合、髄液タップテスト(髄液排除試験)とよばれる検査を行うこともあります。髄液タップテストとは、背骨(腰)から髄液を約30ml排除して、その後の症状を観察する検査です。特発性正常圧水頭症では、髄液を抜き取ることで歩行症状の改善が期待できるため、診断や治療方法の決定に有用です。

治療

水頭症の基本的な治療は手術です。L-Pシャント(腰椎腹腔短絡術)やV-Pシャント(脳室腹腔短絡術)などの手術方法が代表的であり、脳室内に貯留した髄液を他の部位へ流すための経路を作る治療を行います。水頭症の種類やタイプによって適応となる手術は異なります。

予防/治療後の注意

手術によって髄液のバイパス経路となるシャントを作った場合、体の中には人工物が埋め込まれることになります。水頭症のシャント治療に限ったことではありませんが、体内の人工物が重篤な感染症の原因となる可能性もあるため、定期的な検査が重要となります。また、治療後には髄液の流れが改善するため、一時的に頭痛やめまいなどの症状が出現する場合もあります。術後は安静にするのはもちろんのこと、治療後には徐々に身体活動量を増加させるように心がけることが重要です。

こちらの記事の監修医師

赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック

伊藤 たえ

《経歴》
2004年3月 浜松医科大学医学部卒業
2004年4月 浜松医科大学付属病院初期研修
2006年4月 浜松医科大学脳神経外科入局
2013年7月 河北総合病院 脳神経外科 勤務
2016年9月 山田記念病院 脳神経外科 勤務
2019年4月 菅原脳神経外科クリニック 勤務
2019年10月 医療法人社団赤坂パークビル脳神経外科
菅原クリニック東京脳ドック 院長

治療に適した診療科目

外科 脳神経外科 小児科 神経科

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