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最終更新日:2022年2月24日

けつゆうびょう血友病

こちらの記事の監修医師
高座渋谷つばさクリニック
武井智昭 院長

概要

血友病は、血液中の血を固めるタンパク質の一部が欠乏するために、止血の異常をきたす遺伝性の出血性疾患です。血液を固めるタンパク質の中でも、第8因子と第9因子という2つの血液凝固因子が重要で、これら血液凝固因子のいずれかが欠乏している場合には血友病を発症します。第8因子が不足しているものを血友病A、第9因子が不足しているものを血友病Bと呼び、血友病Aが血友病全体の約80%を占めています。通常、出血が起こると、血管と血小板が止血の役割をはたし、その後血液凝固因子がタンパク質の網を作って止血を行います。しかし、血友病を発症している場合、これらの凝固因子が不足しているため、凝固ができないため、関節などの深い部分での出血を認めます。日本では年間で約50~60人が発症するといわれている希少疾病のひとつです。

原因

遺伝子異常の影響により、血液凝固因子である、第8因子または第9因子が産生されないことが原因です。遺伝子異常は母親から伝わり、血友病患者のほとんどが男性です。しかし、患者さんの約30%は、兄弟、両親、祖父母に血友病患者さんや血友病の素因を持つ人がいないのにも関わらず、血友病を発症することがあります。このような症例は孤発例と呼ばれており、遺伝子の突然変異が原因と考えられています。

症状

血友病の症状は出血と止血機能異常です。特徴的な出血症状として、筋肉内出血、関節内出血などの体の深部での出血が確認されます。また、皮膚の下、鼻の中、口の中の出血が頻回に発生するほか、抜歯時などの医療処置、手術の際には止血が難しくなります。出血症状がみられるのは身体活動が活発になる乳幼児後半からです。膝・臀部などの重力がかかる部分、肘など関節内出血がみられるようになります。また、止血機能が上手く働かないため、外傷や切り傷、打撲など、一般的には問題とならないような“怪我”であっても、血友病患者さんにとっては重篤な障害となる可能性があります。特に、頭を強くぶつけた場合には頭の中の出血の可能性があります。頸やのどの出血、腰や腹の筋肉の出血は、致命的な影響を及ぼす可能性もあるため、迅速な処置が必要になります。

検査・診断

小児で特に原因がなく関節が腫れるなど出血が疑われる場合や、けがや歯科治療の後に出血が予想以上に多い場合、血友病が疑われます。また、家族の病歴なども非常に重要で、家系内に血友病患者さんがいる場合には、血友病を強く疑います。また、血液凝固の速度(どのくらいの早さで止血できるか)を測定するため、血小板数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間などを検査します。これらの検査に異常があれば、凝固因子である第8因子と第9因子の濃度を測定するためのより詳しい血液検査を行い、検査結果によっては血友病の診断を確定します。

治療

血友病の出血に対する治療としては、凝固因子を含む製剤の静脈内注射が基本となります。この治療は、不足している凝固因子を外部から補充するための方法であるため、補充療法と呼ばれます。血友病Aには凝固因子第8因子製剤、血友病Bには凝固第9因子製剤を使用します。補充療法には、出血時に凝固因子を補充する方法(オン・デマンド注射)と、出血を事前に防ぐ投与方法(予備的補充療法)があります。また、定期補充療法として、通常、血友病Aでは週3回程度、血友病Bでは週2回程度、凝固因子の補充が必要になります。また、出血時には緊急の対応が必要になります。特に、頭を打つなど、出血が疑われる部位によっては緊急入院と緊急処置が必要となるため、患者さん自身や家族の方は、血友病や血友病の対応に関する知識を持っておくことが重要です。

予防/治療後の注意

日常的に発生する軽症のすり傷や切傷のような場合には、出血部位の付近を水道水などで十分に洗い、清潔なガーゼ等で圧迫することで止血が可能です。しかし、止血できない場合や出血量が多いと感じた場合は、緊急用の製剤を投与し、すぐに主治医に相談することが重要です。血友病は長期的に付き合っていく病気です。不慮の事故など、緊急時の対応(自分の意識が無くなって血友病である旨を伝えられない可能性、緊急搬送先の病院が血友病に対する準備ができていない可能性)のため、名前、生年月日、家族名、緊急連絡先、病名、病院名、病院の連絡先、診察券番号、主治医名、製剤名、投与量などを記入したカードなどを用意しておくことも大切です。

こちらの記事の監修医師

高座渋谷つばさクリニック

武井智昭 院長

〇経歴
2002年    慶應義塾大学医学部卒業
2004年    立川共済病院勤務
2005年    平塚共済病院小児科医長として勤務(内科)
2010年    北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室兼任
2012年    横浜市内のクリニックの副院長として勤務 (スマイルこどもクリニック)
2015年    小谷クリニック 内科・小児科(訪問診療部)部長
2017年    「なごみクリニック」内科・小児科・アレルギー科 院長
2020年4月~ 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

〇専門医・認定医
・小児科専門医・指導医
・日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)
・臨床研修指導医(日本小児科学会)
・抗菌化学療法認定医
・プライマリケア学会認定医
・認知症サポート医

治療に適した診療科目

内科 血液内科 小児科

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