最終更新日:2024年3月22日
緑色の便が出る原因。赤ちゃんなら心配無用でも、大人の場合は…?

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝

緑色の便が出る原因は、大人であれば消化不良や胃腸薬の摂取、赤ちゃんの場合は母乳の摂取などさまざまです。この記事では、緑色の便が出る原因と病気との関係性などについて解説します。病院を受診する目安なども取り上げていますので、心配な方はぜひ参考にしてください。
健康的な便とは?

そもそも健康的な便とはどのようなものなのでしょうか。一般的に、以下のような状態の便は、健康的であるといえます。
- 茶色や黄色の便である
- バナナのような形をしている
- 便を出す際に力まなくても排出できる便である
上記のような便が出ているのであれば、健康的だといえるでしょう。
ちなみに、便は水分量が85%を超えると軟便となり、90%を超えると水のような下痢便となります。逆に水分量が少なく75%を下回ると硬くなります。水分量が少ないと、便を出す際に力む必要があり、便秘や痔などにつながってしまいます。健康的な排便習慣のためにも、水分を適切に摂取することが大切です。
便の色は何由来? 胆汁色素の「ビリルビン」とは

まず、人間の便を黄色っぽくするのが、胆汁に含まれるビリルビンという色素です。腸管に分泌され、大腸内の腸内細菌によって、ビリルビン→ウロビリノーゲン→ステルコビリノーゲン→ステルコビリンと変化していきます。最終的に、このステルコビリンが茶褐色であるために、便は茶色になります。
そしてビリルビンは腸から血液中に再吸収され、分解されると尿として排泄されます。尿が黄色っぽい色なのはそのためです。
緑色の便がでる原因…赤ちゃんの場合

赤ちゃんで便の色が緑色になるのはよくあることです。赤ちゃんが機嫌良く過ごしていて、体調におかしい様子がなければ、特に気にする必要はありません。
赤ちゃんの場合も、便はビリルビンの影響でまず黄色くなります。それがお腹の中に長くとどまっていたり、ガスが多いと、酸化して緑色になることがあります。これは、母乳の赤ちゃんにもミルクの赤ちゃんにもよく見られることです。
母乳の場合、母親が野菜などの葉緑素(クロロフィル)を含む食品をたくさん食べた場合に、その影響で便が緑っぽくなることもあります。
赤や黒の便は注意が必要
赤ちゃんの緑色の便は生理的なものであるため、健康状態には問題ありません。ただし、緑や黄色以外の便、例えば赤い便や黒い便が出た時は、腸から出血している可能性があるため、注意しなければなりません。
緑色の便がでる原因…大人の場合

大人の場合、緑色の便が出る主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 消化不良を起こしている
- 胃腸が弱っている
- 薬剤(胃腸薬など)の影響
- 細菌性腸炎・ウイルス性腸炎などの病気
など
消化不良で食べ物の色がそのまま出てしまう
消化不良の状態になっている場合は、緑黄色野菜などがそのまま出てくることで、便の色が緑色になることがあります。ストレスを抱えている状態だと、胃腸の働きが低下してしまうため、消化が不十分となる可能性が高まります。
胃腸が弱っていると緑色になりやすくなる
胃腸が弱っている時にも緑色の便が出る可能性があります。これは、腸が弱ることで、空気に触れると緑色になる「ビリルビン」が便の中に増えるためです。胃腸炎を起こした時などは、胃腸が弱った状態になっていますので、起こりやすくなります。
薬剤の影響で便が緑色になることも
胃腸薬には、葉緑素(銅クロロフィリンナトリウム)が含まれているものがあります。摂取しすぎると、葉緑素の影響によって便が緑色になることがあります。
病気が原因の場合
緑色の便は、消化不良や胃腸薬の取りすぎなどが主な原因として考えられますが、中には腸の病気が原因となっているケースもあります。
食中毒の原因でもあるサルモネラ菌に感染し、腸炎を起こした場合に、症状として緑色の水様便(下痢)が出ることがあります。緑色の便が出る以外にも、急性の発熱、腹痛といった症状も見られます。
そのほかにも、溶血によって赤血球が破壊され、ビリルビンが過剰な状態となる「溶血性黄疸」が原因なり、緑褐色の便が出ることもあります。
病院を受診する目安

緑色の便が出る理由は、野菜など食べたものの消化不良や、胃腸薬の過剰摂取などがほとんどです。
ただし、「便が緑色の状態が長く続く」、「緑色の便と合わせて下痢や便秘が続いている」といった場合は、病院の受診を検討してください。消化器内科もしくは内科を受診しましょう。
また、診察の際は以下の点を医者に伝えることができると、スムーズです。
- いつから便の色が緑になったか
- 便の色以外の症状はあるか(下痢、吐き気、腹痛など)
- その他の症状はいつから続いているか
言葉で説明する以外にも、緑色の便の写真を撮影している場合は提示しましょう。医師が状況を理解しやすくなります。
便の状態は健康を示すサイン。異常がないかチェックする習慣を

赤ちゃんの場合も、大人の場合も、緑色の便が出ているだけであれば、健康上の問題は特にないと考えられます。しかし、腹痛や吐き気、下痢など他の症状を伴う場合は注意が必要です。緑色の便が出る状態が長く続いていて、なかなか治らないという場合には、病院を受診しましょう。
便の状態は健康を示すサインです。胃腸の調子はストレスなどの影響を受けやすいため、便の色や状態、便通の回数などを、日ごろから気をつけておきましょう。異常があったときにすぐ気が付くことができますし、病院を受診した際も、医師に的確に説明することができ、治療や原因の特定がスムーズになります。
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こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝
〇病院名 :東長崎駅前内科クリニック
〇医師 :吉良 文孝 先生
〇アクセス:西武池袋線 東長崎駅より徒歩30秒
〇診療科 :内科、胃腸科、内視鏡内科、消化器内科
〇経歴 :東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業。東京警察病院での初期および後期研修終了後、消化器内科に入局。JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長、都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務を経て、平成30年に東長崎駅前内科クリニックを開設。