最終更新日:2024年3月14日
食後おなかが鳴るのはなぜ?止める対策はある?

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝

お腹が空いているわけではないのに、食後にお腹鳴るのはなぜなのでしょうか。 実は、食後にお腹が鳴るのにはきちんと原因があり、場合によっては病気の前兆であるケースがあります。食後にお腹が鳴ることに悩む方に向けて、原因を解説します。考えられる病気なども紹介しますので、参考にしてください。
空腹時だけじゃない!食後お腹が鳴るのはなぜ?

突然「グゥー」「キュルキュル」とお腹が鳴ると、なんだか恥ずかしい気持ちになってしまうものです。それが食後であればなおさら。「さっきご飯を食べたばかりなのに?」と、疑問に思う方もいるでしょう。
お腹は満たされているのに、なぜ食後にお腹が鳴るのでしょうか。実は、空腹時と食後ではお腹が鳴るメカニズムには違いがあります。
空腹時にお腹が鳴る理由
空腹時にお腹が鳴るのは、胃が強く収縮するからです。この収縮を「空腹時収縮」といい、強い収縮が小腸にまで伝わって断続的に発生することで大きな音が鳴ります。胃の収縮が起こるのは、胃腸が次の食事に備えて準備をするために、胃を掃除しているからです。
胃の収縮は、胃腸の動きを調整するモチリンというホルモンが多く分泌されることで起こります。胃が収縮することで、食べものの残りカスや水分、空気など胃の内容物がゆすられ、先へ先へと押し出されるために、お腹の音が鳴るのです。
食後にお腹が鳴る理由
食事をした直後にお腹が鳴るのは、胃腸が消化活動によって活発に動いているからです。
お腹が空いているときには「グゥー」という比較的大きな音が鳴りますが、食後にお腹が鳴るときには「グルグル」や「キュルキュル」のような音が特徴で、音はそれほど大きくありません。
冷たいものや炭酸飲料、アルコールなどが刺激となってお腹が鳴ることもあります。
その他の食後でもお腹が鳴るケース

食後にお腹が鳴るのは、実は、胃腸の消化活動によるものだけではありません。他に考えられるケースについてご紹介します。
乳製品でお腹がごろごろ、ぐるぐる鳴る
牛乳などの乳製品を摂ると、お腹にガスがたまったようになったり、ごろごろとお腹が鳴ったりすることがあります。これは、「乳糖不耐」といって、乳製品に含まれる乳糖を消化する酵素が少ない、働きが弱い人に起こりやすいものです。
乳糖不耐の人は、牛乳を飲んだあとに腹痛や下痢などのつらい症状を感じやすいといわれます。
乳糖不耐の人が胃腸の不調を予防するためには、乳製品を摂らないことが一番ですが、「温めたものを飲むようにする」、「少量ずつ分けて摂取する」などの方法も、予防策として有効です。
冷たい飲み物や刺激物で腸が刺激されて鳴る
極端に冷えているものや、炭酸、アルコールなど刺激の強いものを飲んだ場合、胃腸への刺激からお腹が鳴ることがあります。
胃腸の動きが活発になるだけならいいのですが、ダメージが強いと腹痛や下痢を起こすことがあるため、摂りすぎには注意が必要です。
唐辛子などの刺激物も、胃腸に負担を与えます。
妊娠中にガスが溜まってお腹が鳴る
妊娠中は、赤ちゃんの成長にともなって子宮が大きくなることで胃腸が圧迫され、胃腸の活動にも影響があります。
また、妊娠中はホルモンの働きによって腸の動きが低下し、便秘にもなりやすいため、腸内にガスが溜まりやすい状態です。そのままガスを排出することができないでいると、ぐるぐるとした音が鳴ることがあります。このガスが溜まることによるお腹の音は、妊娠初期に感じやすいと言われています。
妊娠中期にお腹が鳴る場合は、胎動であることが多いです。赤ちゃんが大きくなり、動きが活発になることで、お腹で音が鳴っているように感じます。
食後寝転ぶことでお腹が鳴る
食後に仰向けになったり、横になったりすると、急にお腹の音が鳴ることがあります。
これは、横になることで体全体がリラックスし、腸の動きが活発になるからです。横になることで緊張をほぐす副交感神経が優位になりやすく、内臓の動きだけでなく、血流も良くなります。
お腹が鳴るのは恥ずかしい…対策した方がいい?

お腹が鳴ることは、人間の生理的現象なのでちっとも恥ずかしいことではありません。しかし、お腹の鳴る音が周囲に聞こえることが、恥ずかしいと感じる人が多いことも事実です。
食後にお腹鳴るのを予防するためにできる対策についてご紹介します。
お腹が鳴る対策として、すぐに食べるのはNG
空腹時にお腹が鳴っていると「食事をすればすぐに止まる」と思われがちです。確かに、食事をすることでお腹が鳴る音は止まりますが、胃にはあまり良い影響を与えません。
空腹時にお腹が鳴るのは、お腹が掃除をしているサインでもあります。食事をすることでこの動きを妨げてしまうため、小腸内によくない菌が増殖したり、膨満感など胃に不快感を覚えたりしてしまうのです。
食事は胃腸の動きが落ち着いている時に摂るようにしましょう。
ガスが原因の場合は腸内細菌によい食品を食べる
食後にお腹が鳴るのは、腸内で多くのガスが発生していることが原因の場合も多くあります。これを防ぐためには、腸内細菌によい食品を食べて、腸内のガスの発生を抑えることが有効です。
炭水化物や甘いものなど、糖質が多い食品はガスを発生させやすいといわれています。また、根菜類、乳製品、フルーツ、大豆製品などもガスを発生させやすいと言われるので、摂りすぎには注意が必要です。
また、特にガスを発生させやすい食品ではなくても、食べすぎは腸内にガスが溜まりやすくなります。腹八分目を心がけ、健康的な食生活を目指しましょう。
乳製品を摂るとお腹の調子が悪くなる乳糖不耐症のように、体質によってもお腹が鳴りやすい食品があります。試しながら自分で把握しておくことが大切です。
食後お腹が鳴る…こんなケースは受診を

食後にお腹が鳴るのは、病気や何らかの体の不調である可能性もあります。ここでは、受診が必要なケースについてご紹介します。
下痢や便秘をともなう
食後に下痢や便秘など、著しい胃腸の不調を覚えた場合、感染やアレルギー症状を引き起こしている可能性があります。
食事をしてそれほど時間が経たないうちに、激しい症状が現れた場合は、病院を受診しましょう。
吐き気や嘔吐をともなう
食後にグルグル、キュルキュルとお腹が鳴るだけではなく、吐き気や嘔吐を伴う場合も、医師に診てもらうことが必要でしょう。
これも、食品を通して何らかのウイルスや細菌に感染(食中毒)している可能性があります。嘔吐が頻回に続く場合は、脱水症状を引き起こしやすく、意識障害など重篤になることもあるので、注意が必要です。
おならのにおいが気になる
おならのにおいがいつもと違う、においが強いなど気になる場合は、腸内環境が悪化しているのかもしれません。腸内に悪玉菌が増加するとガスが発生しやすくなり、お腹が鳴りやすくなったり、おならのにおいが強くなったりすることがあります。
胃痛や強いストレスがある
過度なストレスや疲労が大きなダメージとなって自律神経が乱れると、胃腸が過剰に動き、ぐるぐるとお腹の音が鳴ることがあります。
その他、腹痛や胃腸の不快感を伴う場合は、治療が必要な病気であるケースもあります。投薬が必要になることもあるので、病院を受診しましょう。
お腹が鳴るのは生理現象。気になる場合は他の症状にも注意を

食後にお腹が鳴るのは、一般的には腸の動きが活発になっているからで、誰にでも当たり前に起こることです。ただ、どうしてもお腹が鳴る音が気になる場合は、腸内にガスを増やさないようにすることで予防することができます。
痛みが強かったり、明らかにいつもと違う場合は、受診が必要な場合もあります。消化器内科などの専門医を頼ることも検討しましょう。また、日頃から自身の体調を注意深く見極めておくことが大切です。
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こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝
〇病院名 :東長崎駅前内科クリニック
〇医師 :吉良 文孝 先生
〇アクセス:西武池袋線 東長崎駅より徒歩30秒
〇診療科 :内科、胃腸科、内視鏡内科、消化器内科
〇経歴 :東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業。東京警察病院での初期および後期研修終了後、消化器内科に入局。JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長、都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務を経て、平成30年に東長崎駅前内科クリニックを開設。