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最終更新日:2022年3月23日

せんてんせい こかんせつ だっきゅう先天性股関節脱臼

こちらの記事の監修医師
女医によるファミリークリニック
大井美恵子 院長

概要

股関節は、骨盤と下肢をつなげる役割をする部分です。下肢の部分である大腿骨頭は、球形になっており、骨盤側の凹み部分である寛骨臼にはまり込むようにつながっています。通常ですと骨盤側の寛骨臼が、大腿骨頭の80%を包み込んで安定させています。この股関節のはまり込む部分が、離れるまたははずれている状態を脱臼といい、生まれてくる前や生まれてすぐくらいの時期に脱臼を起こしている状態をいいます。脱臼状態を放置しておくと、変形性股関節といって、股関節の軟骨部分がすり減ってしまい変形してしまいます。発症傾向として、男の子より女の子に多い傾向があります。また、夏生まれの子よりも冬生まれの子に多いといった傾向もあります。生まれたばかりの赤ちゃんのなかには、脱臼して生まれてくるといったケースは少ないとされており、もともと関節が不安定なことなどさまざまな要因があって脱臼していきます。先天性とつけることが疑問視され始めてからは、このような脱臼や関節が外れかかっている亜脱臼、大腿骨頭を包み込む寛骨臼の形が不完全な臼蓋形成不全を含めて、さい発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。

原因

寛骨臼の部分が浅いことで、大腿骨頭を包み込みにくい状態であるため脱臼しやすいことが原因です。その他にも関節の動きや方向は正常であるが、動きが大きいといったことも原因となっています。お母さんがお産を迎える分娩時に、子宮内で胎児のとっている姿勢が骨盤位であると、一般的に逆子と呼ばれます。これも原因のひとつといわれています。また、赤ちゃんに必要なおむつが発症原因となっていることもあります。とくに布おむつをしていた時代は、股関節が窮屈になり動きが制限されてしまうほどきつかったことで脱臼につながってしまいます。同じ方向ばかり向いて寝ることも要因のひとつとされています。布おむつが主流の時代は、100人に2、3人の発症率でしたが、紙おむつが主流の時代になると、発症率が下がり、1,000人に1〜3人となりました。

症状

見た目からみる症状としては、左右の脚の長さ、おしりの形、太もものシワが非対称的であることが見受けられます。そして、脚を曲げたまま、股を広げると脱臼した方の脚は、開きにくいといった症状が出ます。

検査・診断

通常、生後3〜4ヶ月の乳幼児検診時に、小児科の医師が、乳児を仰向けに寝かせて、脚を曲げて股を広げて確認します。視診にて、脚の動きや左右の長さ、太もものシワ、おしりの形を確認します。脱臼しているところから正しい位置に戻す時に、コキっという音とともに感触があります。これをクリックテストといいます。これだけでは診断することができないため、レントゲン検査や超音波検査といった画像検査を行い診断します。超音波検査の方が、股関節の動きを観察しやすいとされています。

治療

治療法はいくつかあり、年齢や症状によって選択できます。多く行われているリーメンビューゲル法という治療方法があります。専用装置であるリーメンビューゲルを使って、脚を常に90度以上曲げている位置を保つ方法です。多くは、寝返りする6ヶ月くらいの乳児に行われます。他の治療方法として、機械で脚をけん引する方法や全身麻酔をしてから、手で脱臼した部分を直す徒手整復、手術で脱臼を直していく観血整復などが行われ、場合によっては補正手術が必要となることがあります。

予防/治療後の注意

発症の原因である向き癖は、バスタオルを巻いてよく向く方向と反対方向に向くように、乳児の背中にバスタオルをあてがいます。赤ちゃんの脚の形はM字が良いとされています。抱っこ紐やスリングを使う時、赤ちゃんの脚がしっかりM字になっているか、脚が自由に曲げ伸ばしできるようになっているか確認しましょう。できれば、コアラ抱っこと呼ばれる正面で向き合う抱っこの仕方が良いとされています。また、脚の自由を奪わない紙おむつを使用すると良いです。

こちらの記事の監修医師

女医によるファミリークリニック

大井美恵子 院長

【経歴】:
広島大学附属幼小中高卒業
金沢医科大学卒業
土谷総合病院にて初期研修、

難病指定医・キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医

【所属学会】
日本小児科学会
日本周産期新生児医学会
日本小児神経学会
日本リウマチ学会
抗加齢医学会
高濃度ビタミンC点滴療法学会日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会
日本小児科医会
広島県小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク
点滴療法研究会

広島市民病院小児科勤務を経て、姉妹で女医によるファミリークリニックを開業。      小児科内科皮膚科アレルギー科の診察を行う。テレビ朝日、羽鳥慎一のモーニングショー、 フジテレビLive NEWS イット!などに出演。ラジオ、テレビ、WEBなど幅広く医療情報を提供している。





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