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最終更新日:2021年10月5日

ひんけつ貧血

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

貧血

まとめ

貧血は血液中の赤血球数に異常がみられる状態で、赤血球で酸素を運搬するタンパク質であるヘモグロビン量の不足により、血液が組織に十分な酸素量を送れなくなります。朝礼などで立ちくらみを起こした状態を「貧血で倒れた」といいますが、これは脳の血液量が一時的に減少した脳貧血であり、貧血とは異なります。貧血は女性に多く、その理由は女性が月経で血液や鉄分を失うことや、食物の嗜好が原因であるとされています。また、高齢になると貧血を起こしやすくなります。

この病気の原因

貧血の原因には、過剰出血、赤血球の材料不足、造血機能の疾患、赤血球を破壊する疾患によるものがあります。過剰出血の原因は、月経、出産、外傷、消化器がん、潰瘍などです。若年層に多い貧血は赤血球の材料不足の原因が多く、ヘモグロビンの材料となる鉄不足による鉄欠乏性貧血は、若年女性の4人に1人に起こると言われます。妊婦は鉄不足になりやすいので注意が必要です。また、ビタミンB12、葉酸不足により、巨赤芽球性貧血を引き起こします。一方、造血機能低下を起こす疾患は、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などの骨髄の疾患のほか、腎不全、関節リウマチなどでも起こります。赤血球やヘモグロビンの構造異常や免疫系異常により、赤血球が破壊される状態は溶血性貧血と呼ばれます。日本人に多い遺伝性球状赤血球症は、正常型では円盤状型の赤血球が、先天的に球状となり脆くなり脾臓で破壊されます。

主な症状

貧血の初期症状には、疲労感、倦怠感、顔面蒼白、軽い運動でも動悸、息切れする、などがあります。進行すると頭痛、目まい、意識消失、運動中の筋肉のけいれんや胸痛などの症状がみられます。貧血の初期段階は自覚症状がなかったり、運動時のみ症状が出ることがあり、健康診断で初めて気づかれることも多いです。鉄欠乏性貧血では、爪が割れやすい、唇や舌の炎症、抜け毛、肌荒れなどの症状、巨赤芽球性貧血では、手足のしびれやチクチクした痛み、進行すると抑うつ症状、記憶障害などの神経症状もみられます。また、高齢者の貧血では物忘れ症状がみられ、認知症と間違えられることがあり注意が必要です。

検査/診断の方法

貧血の診断に一般的に用いられるのは、血液検査の1項目である血液中のヘモグロビン濃度(血色素量)です。WHOの基準では成人男性13.0g/dl未満、成人女性と小児(男女)は12.0g/dl未満、高齢者(男女)は11.0g/dl未満で貧血とされます。赤血球数、全血液量に占める赤血球の割合を示すヘマトクリット値でも診断されます。いずれも一般的な血液検査であり、比較的容易に診断が可能です。自覚症状がなくても健康診断にて貧血が指摘されることもあります。貧血の原因疾患の特定には、血液中の鉄を調べる血清フェリチン値検査、その他の血液検査、便潜血検査、内視鏡検査、骨髄検査、遺伝子検査などを行い診断します。

主な治療方法

貧血の原因により治療法を選択します。最も多い鉄欠乏性貧血は、2~3か月鉄剤を服用して様子をみることが多いです。ビタミンB12や葉酸不足による巨赤芽球性貧血は不足した栄養素を補充する薬物治療を行います。胃のビタミンB12吸収障害を伴う悪性貧血は、以前は死亡リスクがありましたが、現在はビタミンB12の筋肉注射により、健常者と変わらない生活が可能です。消化器系のがんや潰瘍などで過剰出血があり、貧血になったときは各原因疾患に応じた治療を行います。再生不良性貧血、骨髄異形成症候群は難治性疾患ですが、輸血、免疫抑制剤、造血幹細胞移植や抗がん剤など新しい治療法が開発されています。重症の遺伝性球状赤血球症は脾臓摘出が唯一の治療法で、手術によりほぼ完治が可能です。造血機能の異常や赤血球の破壊により発症する疾患、重症貧血は血液内科での専門的治療が必要になるため、専門医で治療を受けるか、かかりつけ医で相談し、紹介してもらいます。

治療後に注意すべき点/予防対策

貧血予防にはバランスのよい食生活が大切です。特にタンパク質、鉄分、ビタミンB12、葉酸は赤血球やヘモグロビンの材料となるので、肉、魚介、大豆、乳製品、ビタミンやミネラルを多く含む海藻や野菜を毎日食べましょう。鉄分、葉酸が不足しがちな妊娠中、授乳中の女性は意識して摂取しましょう。鉄血性貧血では、鉄分の吸収を妨げないよう食後のコーヒーを控え、ビタミンCの豊富な果物類を摂りましょう。貧血が起こると食生活のみでの改善は難しく、薬物治療を行います。治療薬の鉄剤には摂取禁止の飲食物があるので、医師や薬剤師の指示を守りましょう。また、胃の摘出手術から数年後に巨赤芽球性貧血を発症することもあるので注意します。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

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