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最終更新日:2022年4月12日

はしか麻疹(はしか)

こちらの記事の監修医師
医療法人若葉会 六甲病院
光齋 久人(こうさい ひさと)

概要

麻疹は、麻疹ウイルスによるウイルス感染症であり、人から人へ感染するという特徴があります。麻疹ウイルスの感染経路として、飛沫核内のウイルスによる空気感染のほか、飛沫や接触感染など知られています。免疫がない集団に麻疹の発症者が1人存在することで、12~14人程度の人が感染すると報告されています。インフルエンザでは1~2人と推定されていることからも、麻疹ウイルスの感染力は非常に強いことがわかります。麻疹を発症することで、38℃前後の発熱や発疹(耳の後ろや顔から全身に広がる)などの症状が出現する他、妊娠中の感染は流産や早産の原因となる可能性があります。麻疹ワクチンの普及によって日本国内の麻疹患者数は減少しています。

原因

麻疹の原因は麻疹ウイルスの感染です。麻疹ウイルスの感染力は非常に強く、免疫のない人がウイルスに接触するとほぼ間違いなく感染してしまいます。また、麻疹を発症した人の場合、発熱や喉の痛みなどの症状が出現する1日前(発疹出現の3~5日前)から周囲への感染源となることが知られており、感染期間(人にうつす可能性がある期間)としては、解熱後3日間(発疹出現後4~5日目)程度継続する可能性があると言われています

症状

麻疹ウイルスに感染すると、10日から12日間の潜伏期を経て、発熱や咳など、一般的な風邪のような症状が初期症状として出現します。38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感や上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)、結膜炎症状(結膜充血、目やに、目のかゆみ、目のかすみなど)など、様々な症状を合併します。乳幼児の場合、下痢や腹痛などの消化器症状が多くの症例に出現します。発症3~4日目頃になると1度解熱し、口腔内の頬の粘膜に1mm程度の小さな白色の斑点が出現します。この斑点はコプリック斑ともよばれており、麻疹に特徴的な症状のひとつです。その後再び40℃を超す高熱をきたし、発疹が出現します。発疹は耳後部、頚部、前額部から出現する場合が多く、すぐに顔面、体幹部、上腕に広がり、2日後には四肢末端にまで拡大します。発疹が全身に広がるまで高熱が続くことが多いですが、発疹出現後数日で徐々に症状は軽快していきます。しかし、麻疹の症状出現時には全身の免疫機能が低下しているため、他の疾患を合併しやすく、中耳炎や肺炎、重篤な場合には脳炎などが出現する可能性もあります。

検査・診断

麻疹に特徴的な症状の出現や地域の流行状況などから麻疹の感染を疑うことが可能です。また、ワクチンの摂取状況などを確認することも他の疾患との鑑別には有用です。麻疹ウイルスの感染が疑われた場合には、抗体検査や遺伝子検査などのより詳細な検査を行う他、必要に応じてレントゲンなどの画像検査を実施します。診断確定後であっても、症状の推移に応じて、CTやMRIなどの検査を追加していく必要があります。

治療

麻疹に対する特異的な治療法はなく、発熱や咽頭痛などに対する対症療法が中心となります。特に乳幼児の場合、下痢や腹痛などの消化器症状が強く現れることがあるため、脱水に注意するなどの対策が必要となります。

予防/治療後の注意

麻疹に対する治療薬や麻疹ウイルスに対する抗ウイルス薬が存在しない以上、麻疹を防ぐには予防するしか方法はありません。しかし、麻疹の感染力は非常に強く、飛沫核による空気感染も知られており、一般的な感染対策だけでは不十分です。そのため、麻疹を予防するための有効な手段がワクチンによる予防接種です。麻疹ワクチンには接種義務があるため、小学校入学前までに2回のワクチン接種が行われます。また、麻疹の患者と接触してしまったという場合でも、72時間以内に麻疹ワクチンの接種を受けることで、発症を未然に予防する効果があることも知られています。麻疹ワクチンによる免疫獲得率は95%以上と報告されているように、麻疹を予防するための最も効果的な方法がワクチンの接種となります。ワクチン接種後の副反応として、発熱が約10~30%、発疹が約10%に報告されています。 麻疹は感染症法上の五類感染症に定められているため、診断後は直ちに保健所に届け出を行う必要があります。

こちらの記事の監修医師

医療法人若葉会 六甲病院

光齋 久人(こうさい ひさと)

【経歴】
2007年 東北大学医学部入学。
2011年 同大学院に編入するMDPhDコースへ 特別進学。
フィリピンにおける小児肺炎の疫学研究で、2015年博士号(医学)取得。

在学中、(株)アカツキにて新規事業立ち上げを行う。
医学部に復学し、2018年医師免許取得。
水戸協同病院での初期研修の傍ら、 東北大学、 東北メディカル・メガバンク機構 
分子疫学分野非常勤講師、大学発ベンチャー (株)S’UIMINのコンサルタントなどを併任。
現在は医療法人若葉会 六甲病院にて緩和ケア内科に所属。

医学博士(感染症疫学)

治療に適した診療科目

内科 小児科

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