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急性散在性脳脊髄炎(ADEM)【イシャチョク】

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最終更新日:2022年3月18日

きゅうせいさんざいせいのうせきずいえん(エーディーイーエム)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

こちらの記事の監修医師
日本赤十字社医療センター
木村 俊運

概要

急性散在性脳脊髄炎(きゅうせい さんざいせい のうせきずいえん :ADEM)は、脳と脊髄の神経に炎症が生じて、神経線維を覆っている髄鞘という被膜が傷つく脱髄(=神経の電気信号を伝える部分がむき出しになる状態)が起こる疾患です。急性散在性脳脊髄炎は、人口10万人当たり0.4~1人 という非常に稀な希少疾病の一つですが、成人より小児に多くみられます。通常、ウイルス感染やワクチン接種後に起こることが知られています。ウイルスそのものや、ワクチンの成分に含まれるウイルスが 引き金となって免疫反応に異常が生じ、自己の組織が攻撃されることが原因であると言われています。頭痛や吐き気などの症状に始まり、けいれんや歩行困難、意識障害などが出現し、昏睡状態となることもあります。麻疹後ADEMを除けば、予後は概ね良好です。

原因

急性散在性脳脊髄炎の多くはウイルス感染症やワクチン接種が原因であると考えられていますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。インフルエンザウイルス感染、A型・B型肝炎、エンテロウイルス感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症などが原因として報告されています。麻疹、水痘、風疹なども急性散在性脳脊髄炎の原因となることが知られています。 ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎としては、インフルエンザとヒトパピローマウイルスのワクチン接種後の発症が多く、三種混合DPTワクチン、新三種混合MMRワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、日本脳炎ワクチンなどの接種後発症事例も報告されています。

症状

症状は急速に発現することが多く、初期症状として、発熱や頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感や疲労感が現れます。さらに症状が重症化した場合、けいれん発作や意識障害、言葉が話せない(ろれつが回らない)、昏睡などの症状が出現することもあります。目の神経に障害が起きることで、視力に異常が現れることも多く、目がかすむ、ものが二重に見えるなどといった症状が現れる可能性もあります。その他、筋肉などに障害が出現することで、筋力の低下、歩行困難、思うように体を動かせないなどの症状が起こります。症状は身体的なものだけに留まらず、認知機能や精神機能に症状が発現する場合もあります。

検査・診断

ウイルス感染症の有無やワクチンの接種歴や時期を調べることが重要です。全身的に詳しい検査を行うことで、原因となったウイルス感染症が分かる場合もあります。また、CTやMRIなどの画像検査を行い、脳や脊髄の病変部を確認します。脳の周りの液体(髄液)を検査するために、脊椎穿刺とよばれる方法で髄液を採取することもあります。いずれにせよ、ウイルス感染の確認や全身の臓器機能を検査する必要があるため、様々な検査が組み合わされることになります。

治療

急性散在性脳脊髄炎の治療法として確立しているものはありません。ステロイドの静脈内投与が有効と報告されており、ステロイドを大量に投与する「ステロイドパルス」と呼ばれる治療が行われることが多いです。その他には、免疫グロブリン製剤の投与、体外循環装置を用いて、病気の原因となる物質を含んだ血漿を体外に廃棄し、代わりに新鮮な血漿を補充する血漿交換療法などの治療が効果的な場合があります。

予防/治療後の注意

急性散在性脳脊髄炎は希少疾病であり、後遺症が生じることもある治療が難しい疾患です。治療可能な施設が限られることから、医療機関同士や診療科の連携も非常に重要となります。ワクチン接種は安静にして十分な時間様子をみること、ウイルス感染を起こさないように感染予防策をとることなどが、急性散在性脳脊髄炎を予防するための方法となります。ワクチン接種後に強い違和感を感じた際には、すぐに医療機関を受診することも大切です。

こちらの記事の監修医師

日本赤十字社医療センター

木村 俊運

〇診療科 :脳神経外科

【認定医・専門医】
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳卒中の外科学会技術指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医
緩和ケア研修会修了者
AANS international membership

治療に適した診療科目

神経内科 小児科

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