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最終更新日:2021年10月1日

えーがたかんえんA型肝炎

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

A型肝炎

まとめ

A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)への感染によって発症します。肝臓の炎症によりさまざまな一過性の症状が起こりますが、ほとんどの症例では慢性化しません。A型肝炎ウイルスは世界中に拡大し、特に発展途上国で蔓延しています。日本では衛生的な社会環境のため近年の患者数はわずかに100~300人/年でしたが、2018年に925人に急増がみられたので感染への警戒が必要です。一度罹患すると再発せず、多くは回復しますが、まれに重症化による劇症肝炎を引き起こし死亡例が確認されています。感染予防のためワクチン接種が行われています。

この病気の原因

A型肝炎ウイルスは、経口・性行為を介し感染します。便から排出されたウイルスが、不潔な手や水、野菜や果物などの食品を介し経口感染します。過去には貝類の摂取により集団感染が発生しました。発展途上国では劣悪な衛生環境を原因とした小児感染例が多い一方で、国内では成人感染例が一般的です。近年はとくに性行為による感染が疑われる例、海外での感染例が増加傾向にあります。患者数は年単位で変動し、季節性の流行がみられ、日本では冬季から春(5月頃)が流行期です。A型肝炎は過去30年以上大流行しておらず、60歳以下の人の多くはA型肝炎ウイルスに対する抗体(体内に侵入した特定のウイルスを免疫が攻撃する際目印となる物質)がありません。

主な症状

A型肝炎ウイルスの潜伏期間は2~7週間で、発症すると発熱、全身倦怠感、食欲不振、吐気や嘔吐、頭痛、筋肉痛、腹痛が表れます。肝炎が重症化すると数日後に黄疸(おうだん)(皮膚・目の白い部分が黄色くなること)がみられ、肝臓が腫れ上がります。小児は比較的症状が軽く約8割が無症状といわれますが、成人は症状が強く表れ、肝障害も大きい症例が多いです。初期症状は発熱、頭痛、筋肉痛、腹痛など風邪症状に似ていますが、熱や痛みが強いのが特徴です。

検査/診断の方法

A型肝炎の原因ウイルスは数種類あり、検査でウイルスを鑑別します。ウイルス遺伝子の有無を調べる血液・便のPCR検査と、血中ウイルスに対する抗体検査の2種類があります。抗体検査が一般的ですが、より詳細な感染経路の調査が必要な場合はPCR検査も行われます。検査で陽性の場合はA型肝炎の診断がつきます。血液検査では肝機能、血液凝固能などから肝臓の障害度を診断し、重症化を予防する治療を行います。

主な治療方法

黄疸などの症状がみられるA型肝炎の急性期は原則入院し、安静にして自然治癒を待ちます。肝臓に負担をかけないためタンパク質の摂取制限を行い、食欲不振によるカロリー不足のおそれがある場合は、輸液の点滴を行います。A型肝炎ウイルス治療薬はなく、薬物療法は行われませんが、症状によっては対症療法を行います。劇症肝炎予防のため発症初期にステロイド投与を行うこともありますが、使用例は限定されます。回復までに数週間から数ヵ月かかり、長期療養が必要ですが、ほとんどの症例で完治し、再発しません。急性肝炎の劇症化は1~2%でみられます。

治療後に注意すべき点/予防対策

A型肝炎ワクチンの接種によりA型肝炎の予防が可能です。国産ワクチンは、2~4週の間に2回接種、半年後に追加1回接種します。全3回接種後の発症予防効果は約5年です。輸入ワクチンは1回接種後の発症予防効果が1年以上、半年~1年後に2回目を接種すると15~20年以上の予防効果が期待されます。A型肝炎ワクチンは任意接種ですので、A型肝炎がまん延している海外の国々や地域に渡航する場合は必ず接種しましょう。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

治療に適した診療科目

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