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甲状腺疾患【イシャチョク】

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最終更新日:2021年10月6日

こうじょうせんしっかん甲状腺疾患

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓

甲状腺疾患

まとめ

甲状腺は首の喉仏のすぐ下にあり、甲状腺ホルモンが分泌される器官です。甲状腺疾患は、腫瘍ができる疾患と、甲状腺機能の異常で起こる疾患とに大別されますが、ここでは甲状腺機能異常の疾患について述べます。細胞の新陳代謝を活発にする働きがある甲状腺ホルモンは、胎児や小児の成長・発達に関与します。甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症が起こり、不足すると甲状腺機能低下症が起こります。甲状腺機能異常の要因別に疾患ありますが、甲状腺機能亢進症の代表疾患はバセドウ病、甲状腺機能低下症の代表的疾患は橋本病(慢性甲状腺炎)です。

この病気の原因

甲状腺ホルモンが過剰になり症状が現れた状態を甲状腺中毒症と呼びます。甲状腺ホルモンが過剰に産生し、分泌した状態は甲状腺機能亢進症であり、自己免疫疾患のひとつであるバセドウ病、良性腫瘍のプランマー病が該当します。まれな疾患としては、甲状腺刺激ホルモンを産生する下垂体腫瘍、妊娠初期に発症する甲状腺機能亢進症があります。一方、甲状腺機能亢進症と鑑別する疾患もあります。甲状腺炎で組織が破壊され甲状腺ホルモンが漏出して発症する無痛性甲状腺炎、甲状腺ホルモンを含有する食品や甲状腺ホルモン剤の過剰摂取などは甲状腺中毒症に分類されますが、甲状腺ホルモンの過剰産生・分泌状態ではなく、甲状腺機能亢進症ではありません。甲状腺機能低下症となる原因は、慢性甲状腺炎(橋本病)、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、ヨウ素の過剰または欠乏、甲状腺摘出手術、アイソトープ療法などがあります。日本国内ではヨウ素欠乏症の人は殆どいません。1912年に橋本策医師により報告された橋本病が、甲状腺機能低下の原因疾患として多いです。橋本病は免疫異常によりリンパ球が甲状腺組織を破壊して炎症を起こす疾患です。橋本病の全症例で甲状腺機能低下の状態にはなりません。

主な症状

甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症の特徴は、甲状腺の腫れ、体重減少、疲労感、手の震え、動悸、息切れ、頻脈、暑がる、下痢、落ち着きがない、などの症状が複数同時に現われます。バセドウ病ではこれらの症状に加え眼球突出などの目やまぶたに症状が現われます。甲状腺炎やヨウ素過剰摂取による甲状腺中毒症は時間経過により症状が治まることがほとんどです。甲状腺機能低下症に多い症状は眠気、記憶障害、抑うつ、皮膚乾燥、脱毛、むくみ、声がれ、徐脈、体重増加、便秘、悪寒などです。

検査/診断の方法

甲状腺疾患の診断に重要な検査は、血液検査、超音波検査、シンチグラフィーです。血液検査で甲状腺ホルモンと、その分泌を促す甲状腺刺激ホルモン値を測定し、おおよその診断がつきます。バセドウ病やプランマー病では甲状腺ホルモン高値となり、甲状腺刺激ホルモンは低値となります。橋本病による甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンは低値で、甲状腺刺激ホルモンは高値となります。血液検査では腫瘍に関係した検査項目、バセドウ病、橋本病などの自己免疫疾患の検査項目があります。超音波検査では甲状腺の大きさ、甲状腺の血流の多寡、腫瘍の有無を調べます。甲状腺摂取率検査・甲状腺シンチグラフィーは甲状腺中毒症の鑑別診断のために行われ、バセドウ病と無痛性甲状腺炎の区別、プランマー病の診断時に有用な検査です。

主な治療方法

バセドウ病の治療では、抗甲状腺薬服用による薬物治療が基本です。服薬約1~2ヵ月後で甲状腺機能が変化しますが、服薬中止により再燃するため、約2年間は薬物治療を継続し、最終的に服薬中止を目指します。バセドウ病の治療薬は2種類あり、いずれも重大な副作用の可能性があるため治療初期には特に注意が必要です。約2年の薬物治療を行っても治療効果がみられない場合は、服薬の継続、放射性ヨウ素によるアイソトープ療法、甲状腺切除術による外科的治療のいずれかを選択します。甲状腺が大きい、副作用があり服薬治療が難しい場合は、甲状腺摘出手術が適用されます。良性腫瘍であるプランマー病では、甲状腺摘出手術やアイソトープ療法にて治療します。橋本病や甲状腺摘出術による甲状腺機能低下症には、人工的に作成された甲状腺ホルモン薬補充療法を行います。内服を継続すると健常者と変わらない生活を送ることができます。症状の経過により服薬中止できる場合もあります。

治療後に注意すべき点/予防対策

甲状腺疾患の患者はヨウ素を含む海藻などの過剰摂取を避けるようこれまで指導されてきました。甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能低下を引き起こす可能性があり、特殊な状況ではヨウ素の過剰は甲状腺中毒症を引き起こす可能性もあります。しかし、ポビドンヨード液による毎日のうがい、根昆布療法などの民間療法によるヨウ素の大量摂取は避ける必要がありますが、普通の食生活で海藻類を制限する必要はありません。バセドウ病の治療薬である抗甲状腺薬は副作用を確認しながら用量を増減するため、定期的な受診を欠かさず、服薬時は医師の指示を守りましょう。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓

【経歴】自治医科大学卒業
三重大学小児科入局
三重県立総合医療センター(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
国立病院機構三重中央医療センター(新生児集中治療室を担当)
国立病院機構三重病院 (小児急性期病棟、アレルギー・糖尿病・腎臓病慢性期病棟、重症心身障害児病棟を担当)
山田赤十字病院(小児一般病棟、新生児集中治療室、小児救急を担当)
紀南病院(小児科医長)
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年10月、株式会社オンラインドクター.comを設立。CEOに就任

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