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最終更新日:2021年10月7日

ひゃくにちぜき百日咳

百日咳

まとめ

百日咳は連続して短い咳が起こり、息を吸うタイミングで特徴的な「ヒューヒュー」音がする呼吸器疾患である。咳が約100日間と長く続くため、百日咳とよばれる。発症の原因は百日咳菌という細菌で、感染経路は感染者の咳やくしゃみを吸い込むことによる飛沫感染、細菌が付着した物に触れ、細菌が体内に侵入する接触感染がある。かつて百日咳は小児の発症者が多かったが、ワクチン接種の普及に伴い発症者数が減少していた。近年、ワクチンの効果が弱まったことによる青年や成人の患者が増加している。1歳未満の乳児、特に生後6ヵ月未満の乳児は感染による死亡率が高く、注意する。

この病気の原因

百日咳菌とよばれる細菌への感染が発症の原因である。発症者の咳やくしゃみを介する飛沫感染による感染が多い。そのほか、接触による感染もみられ、細菌が付着した物に触れ、細菌が体内に侵入して感染する。百日咳菌への感染後、発症するまでのメカニズムについて、詳細は不明である。ワクチン接種や百日咳の罹患により免疫が獲得されても、数年後に抗体価が減少して再感染の恐れがある。新生児は母体から免疫が移行しないため、出産直後から感染のリスクがある。ワクチン接種年齢に満たない新生児や乳児は、百日咳にかかると重症化しやすく、死亡率が高い。成人の感染が増加していることから、乳児に百日咳菌を感染させないよう注意する。

主な症状

感染から治癒までの症状は3期に大別される。5~10日間の潜伏期間後、「カタル期」があり、風邪に似た咳、鼻水、くしゃみ、微熱の症状が1~2週間続く。徐々に咳症状が悪化して「痙咳期」になり、咳発作が2~6週間続く。短く何度も咳込む、息を吸う際の「ヒューヒュー」という音(笛音)が特徴である。顔のむくみがみられることもある。その後「回復期」に移行するが、数週間は軽度の刺激で咳が出やすい。乳児が発症すると特徴的な咳はみられず、無呼吸から呼吸困難を引き起こしたり、重篤な合併症を起こすことがある。成人が発症した場合は咳発作は多くみられず、短い咳が続くことが多い。

検査/診断の方法

LAMP法やPCR法による遺伝子検査を行う。鼻咽頭を綿棒で拭い検体を採取し、病原体DNAを増幅させる方法で、精度が高い検査である。また、血液中の百日咳菌に対する抗体の有無を調べる血液検査を行う。採取した鼻咽頭の粘液から細菌を分離して培養する培養検査を行うこともある。培養検査は発症から日数が経過した場合、検査前に抗菌薬が投与されていた場合、成人の患者では検出が難しい。この他、重い咳発作がある場合は、肺炎の合併や気胸、肋骨骨折の有無などを調べるため胸部エックス線検査などを行う。

主な治療方法

エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬の服薬にて治療する。特にカタル期では抗菌薬による治療効果が高く、百日咳菌の排出が減少し、周囲への感染率が低くなる。乳児にはアジスロマイシンを投与することがある。重い咳発作がみられる場合は、鎮咳去痰薬や気管支拡張薬にて治療する。

治療後に注意すべき点/予防対策

ワクチン接種にて発症予防できる。生後3ヵ月から4種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオ)の接種が行われている。ワクチンの効果は約4年~12年と短いため、学齢期に3種混合ワクチンを任意で追加接種できる。妊婦や免疫疾患のある人は、マスクの使用、手洗い、消毒にて発症を予防する。成人が感染した場合、重篤な発作がみられず発見が遅れることも多いため、周囲への感染を防ぐため、長引く咳症状があれば医療機関を受診する。

治療に適した診療科目

呼吸器内科 感染症内科 小児科

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