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肝硬変【イシャチョク】

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最終更新日:2021年10月6日

かんこうへん肝硬変

肝硬変

まとめ

肝臓に慢性的な炎症があり、肝細胞が破壊・修復を繰り返すと肝臓内で結合組織が大量に増えることを線維化という。線維化の進行によりやわらかい肝臓が硬く小さくなった状態が肝硬変である。肝硬変により肝臓が硬化すると元の状態には戻らない。肝硬変の悪化により消化管出血、腹水、むくみ、黄疸などの肝機能の低下や血流障害による症状が現れ、肝不全、肝臓がんを引き起こすこともある。肝硬変の初期段階では肝機能はある程度保たれているが、早期に治療し、進行を止める必要がある。

この病気の原因

長期間の慢性的な炎症が肝硬変の主な発症原因である。炎症の発症原因として多いのは肝炎ウイルス感染で、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが約8割を占める。その他、アルコール過剰摂取、自己免疫性肝炎、薬物による肝障害などの原因があるが、特に深く関与するのがアルコールである。適量以下のアルコール摂取量でも脂肪肝から肝炎、肝硬変へと進展する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症することもある。自己免疫性肝炎は免疫システムが自らの肝細胞を破壊する難病指定の疾患であるが。治療開始が遅れると肝硬変を引き起こすことがある。肝硬変は中年以降の女性に多いが、近年では男性にも多く発症し、児童や若年者でも発症する。

主な症状

肝機能が保たれた初期段階では代償性肝硬変で、無症状のことが多いが、食欲不振、全身倦怠感、体重減少がみられることがある。進行すると非代償性肝硬変となり、肝機能の低下に伴い、黄疸、鼻・歯茎からの出血、手の平の周辺部が赤くなる手掌紅斑、首、胸、頬に赤い発疹ができるクモ状血管腫などの症状がみられる。さらに進行し、肝臓で分解されなくなったアンモニアが血中に増加すると肝性脳症となり、意識障害から昏睡状態に陥ることがある。また、深刻な合併症である門脈圧亢進症を発症することがある。門脈は肝臓に送られる血液の約8割を供給する血管であるが、肝臓硬化により門脈血流が肝内に流入しにくくなり門脈圧が亢進すると、腹水、食道胃静脈瘤破裂・出血、肝性脳症などの症状がみられる。肝硬変発症により、肝臓がんの発症リスクが高率となる。

検査/診断の方法

問診、身体診察、血液検査、超音波・CT検査などから診断する。問診ではアルコール摂取歴、輸血の経験、家族内のウイルス性肝炎の患者の有無を確認する。血液検査では血小板の数値、肝線維化マーカーの上昇、アンモニアの血中濃度などの結果から肝硬変を疑う場合、腹部超音波・CT検査により肝臓表面の凹凸、門脈系血管の走行異常、腹水の有無を調べる。また、肝臓組織を採取し顕微鏡で観察する肝生検を行うこともある。これらの検査では肝硬変の原因を調べるのみならず、重症度、合併症の有無を確認することが重要となる。

主な治療方法

肝硬変により硬化した肝臓を元に戻すことは難しく、残存する肝機能の維持、合併症や肝臓がんの発症予防を治療目標とする。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを排除、減少させる抗ウイルス療法が代表的な治療である。抗ウイルス療法が行えない症例では、抗炎症薬のグリチルリチン製剤により肝炎を抑え、病状悪化を防ぐ肝庇護療法を行う。自己免疫異常により発症した肝炎では、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による治療を行う。肝硬変のみではなく、合併症の治療も必要である。腹水や浮腫に対する治療は、塩分や水分摂取を控えつつ、利尿薬やアルブミンによる治療を行う。食道静脈瘤は内視鏡的治療やIVR(画像下治療)にてエックス線、CT、超音波などの画像診断を用いた治療を行う。治療効果がみられない場合は手術を行うことがある。重症度、患者の年齢、生活環境に合わせて治療を行う。

治療後に注意すべき点/予防対策

肝硬変の原因に多いのは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスへの感染である。ウイルスは血液や体液を介し感染するため、血液や体液に触れる機会のある仕事をする人は注意する。ウイルスへの感染の有無の確認など、日頃から肝臓の状態を知っておくと発症予防や早期発見となる。アルコールが発症原因となる肝臓病は多く、適量飲酒を心がける。アルコール性肝炎を発症した場合は、断酒を含め生活習慣を整えることが必要となり、必要に応じてアルコール依存症専門医への相談も検討する。非アルコール性脂肪性肝疾患は、食生活習慣の乱れや運動不足で悪化し、肝硬変に至ることがあるため、脂肪分を控えたバランスの良い食事や、適度の運動などを心がける。

治療に適した診療科目

内科 消化器内科 消化器外科 肝臓内科

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