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最終更新日:2021年10月6日

あるこーるせいかんしょうがいアルコール性肝障害

アルコール性肝障害

まとめ

長期にわたり日常的にアルコール過剰摂取すると発症するさまざまな肝障害をアルコール性肝障害という。大量の中性脂肪やコレステロールが肝臓に蓄積された「アルコール性脂肪肝」、炎症を起こした「アルコール性肝炎」、脂肪肝や肝炎の進展により肝臓内が繊維化する「アルコール性肝線維症」などがある。さらに悪化すると、肝臓が固くなる「アルコール性肝硬変」や肝臓細胞ががん化する「アルコール性肝がん」など、生命への危険がおよぶ疾患を引き起こす。日常的に飲酒量が多い人は、一見健康に見えてもアルコール性肝臓疾患を発症していることがあるため注意する。

この病気の原因

主な発症の原因は長期間大量のアルコール摂取を続けた結果、栄養バランスの偏りが起こり、腸管から細菌成分を含む炎症物質が吸収され、肝臓内に侵入して炎症を起こす。体内でアルコールが分解される際は、有毒物質のアセトアルデヒドが発生し、肝臓はアセトアルデヒドを水や二酸化炭素に分解するが、大量飲酒によりアセトアルデヒドが分解しきれなくなる。肝臓の細胞はアセトアルデヒドに攻撃され変性や壊死が起こり、機能が次第に低下する。アルコール分解能は遺伝など個人差があり、飲酒量が少なく短期間の飲酒期間でもアルコール性肝障害を発症することがある。女性は男性に比べアルコール性肝障害の発症率・悪化率が高い。アルコールの代謝速度が遅く、女性ホルモンの影響を受けやすいためとされる。

主な症状

アルコール性脂肪肝は軽症で自覚症状がないことが多い。お腹の張り、易疲労感、食欲不振などの自覚症状があっても見過ごされ、健康診断や人間ドックの検査で判明することが多い。脂肪肝から進展しアルコール性肝炎を発症すると食欲不振、倦怠感、発熱、右上腹部の鈍痛、黄だんなどがみられる。重症アルコール性肝炎では禁酒後も肝臓の腫れが継続し、腎不全、消化管出血、肝性脳症などの重篤な合併症を引き起こすことがある。アルコール性肝硬変に進展すると腹水、黄だん、吐血、腹水、むくみが起こり、昏睡状態に陥ることもある。

検査/診断の方法

問診にて飲酒歴を確認する。患者は過少申告しがちなため、家族、友人、同僚などに聞き取りを行うことも必要である。アルコール性肝障害では特徴的な自覚症状や身体所見がほとんどなく、血液検査にて肝機能や肝炎ウイルス感染の有無などを調べ、アルコール以外の原因の可能性も調べる。アルコール性肝炎の場合、血液検査ではAST・ALT、γ-GTP上昇、高脂血症の有無などを確認する。また、超音波・腹部CT・MRI検査で肝臓の大きさや表面の状態などを調べ、アルコール性脂肪肝や肝硬変で起こる肝臓の変化をみるほか、腫瘍の有無も確認する。最近は肝硬度測定という簡便な検査により肝硬変の進行度が確認できる。そのほか、肝臓の一部を採取し顕微鏡で観察する肝生検や、精神科と連携してアルコール依存症の診断を行うこともある。

主な治療方法

禁酒と食事療法が治療の基本となる。アルコール摂取を控え、脂肪分の少ないバランスの取れた食事内容に変更する。症状に応じて薬物治療を行う。アルコール依存症などの精神疾患が背景にある症例では、精神科での治療も必要となる。断酒を促すカウンセリングを行い、肝庇護剤や飲酒欲求を低下させる飲酒量低減薬、飲酒後の不快感がある嫌酒薬を投与することもある。アルコール性脂肪肝やアルコール性繊維症の場合、禁酒、食事療法、運動療法のみで改善することが多い。アルコール肝炎では禁酒と食事療法を基本とするが、重症時はステロイドなどの薬物治療や血漿交換療法を行うことがある。アルコール性肝硬変は治療にて病状改善が望めず、症状悪化を抑える治療を行い、症状に応じて肝移植を行う。肝移植は半年以上の禁酒の下、行われる。

治療後に注意すべき点/予防対策

日常的な大量飲酒がアルコール性肝障害の主な原因であるため、治療後は禁酒が望ましい。発症予防として、1日の適正飲酒量の厳守、週に数日休肝日を設けるなどの飲酒習慣の管理を行う。また、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、適度な運動・睡眠などで生活習慣を整えることが大切である。過剰飲酒がストレスが原因の場合、飲酒以外のストレス解消法を行うことが発症予防となる。

治療に適した診療科目

内科 消化器内科 肝臓内科

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