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最終更新日:2022年4月13日

ろうときょう漏斗胸

こちらの記事の監修医師
小児科医・新生児科医
今西洋介

概要

漏斗胸(ろうときょう)とは、胸の全面(胸と胸の間)がへこんで窪みのように変形してしまう疾患です。1000人に1人の割合で出現するといわれており、症例によってへこみの程度には個人差があります。乳幼児期からへこみが出現し、思春期から成長期にかけて症状が進行する場合もあります。基本的には男性に多い疾患ですが、女性にも発症する疾患であり、家族内での発生も見られることから、遺伝的な要素を含む疾患であると考えられています。

原因

漏斗胸の原因は明らかになっていませんが、前胸部の肋軟骨が成長過程で何らかの異常を起こすことが要因となる可能性があります。胸部の形成に異常が生じることで、胸部にへこみができる漏斗胸が出現したり、胸部が突出した鳩胸(はとむね)になることがあります。

症状

漏斗胸の主な症状は前胸部に出現するへこみです。へこみの大きさや形などには個人差が大きく、成長過程でへこみの形状や位置が変化することもあります。特に成長期や思春期においては、漏斗胸による胸の形によって大きな心理的なストレスを抱えてしまうことが多くあります。加えて、漏斗胸特有の外見的な影響によって、社会性や精神面に様々な症状が出現する可能性があります。女性の場合、漏斗胸が胸の大きさや形に影響を及ぼすことがあるため、心のケアや精神的なサポートなどが重要となります。また、外見上の問題ばかりではなく、胸部が圧迫されることで呼吸時の空気の通りが阻害されたり、食べ物の通りが悪くなってしまうなどの症状が出現する場合もあります。漏斗胸による胸部圧迫の程度は姿勢によって変化することも大きく、立ち姿勢では問題がなくても、椅子に座ったり、胸を反らせるような運動によって息苦しさを感じることがあります。へこみの程度や精神面への影響など、非常に個人差の大きな疾患であるため、個々人に応じた対応を行うことが大切です。

検査・診断

漏斗胸の検査はレントゲン検査やCT検査などの画像検査がメインとなります。呼吸症状や心臓の機能などへの影響を調べるために、呼吸機能検査や心電図検査なども合わせて行うことがあります。症状(へこみの程度)や心理的な影響には個人差が大きく、画像検査だけでは心理的な影響の程度はわかりません。継続的な問診や精神面にも配慮した対応が大切です。また、成長過程に応じて患者さんの意識が変化することも多く、幼少期や学童期では問題とならなかった漏斗胸であっても、思春期に入ると漏斗胸の影響によって社会的な交流ができなくなることもあります。医療従事者だけではなく、家族などの身近な人達が、患者さんの変化に気づき、サポートを行うことが必要になります。

治療

手術が主な漏斗胸の治療方法になります。へこみの程度や箇所によっては手術が必須となる場合もありますが、本人や家族の希望によって手術を決定することもあります。胸の横から下部を切開し、金属製のプレートを挿入することで胸の形を整えるNuss法(ナス法)とよばれる手術が一般的です。また、大きな吸盤を使用することで、胸を持ち上げてへこみを改善する治療が行われることもありますが、この方法は骨が柔らかい小児にのみ効果的な場合が多く、成人には手術が勧められます。手術を行うタイミングはとても重要であり、学童期などに手術を行うことで成長とともに再手術が必要となることも少なくありません。また、特に女性の場合、手術痕(傷あと)や乳房の形などが手術後にも影響を及ぼすことが多く、手術の決定は慎重に判断する必要があります。

予防/治療後の注意

漏斗胸は個人差が大きい疾患であり、日常生活上特に問題とはならない場合も少なくありません。しかし、漏斗胸や胸の形が精神面に与える影響は大きく、社会生活が難しくなってしまうということもあります。患者さんの成長に合わせて適切な対応をおこなうことが必要です。

こちらの記事の監修医師

小児科医・新生児科医

今西洋介

【経歴】
2006年富山大学医学部卒業

石川県立中央病院 新生児科勤務
りんくう総合医療センター 新生児科勤務
大阪府医療センター 新生児科勤務

講談社モーニング連載漫画「コウノドリ」のドラマの医療監修を務める。
2022年4月ヘルスプロモーション会社を起業。

現在は一般社団法人チャイルドリテラシー協会の代表理事も務める。

【資格】
日本小児科学会専門医
日本周産期新生児学会新生児専門医

治療に適した診療科目

形成外科 小児外科

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