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最終更新日:2022年3月8日

ほるもんぶんぴつふぜほるもんぶんぴつふぜんせいていしんちょうしょう(かすいたいせいこびとしょう)んホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)

こちらの記事の監修医師
もり脳神経外科クリニック
森 達郎

概要

成長ホルモン分泌不全性低身長症とは、脳の下垂体という組織の前方部分である前葉から分泌される成長ホルモンが、何らかの原因によって分泌されない(分泌されにくくなる)ことで、成長障害がおこる疾患です。患者の半数以上は、特定の原因が不明のまま、成長ホルモンの分泌低下が生じます。原因が特定できる症例では、脳腫瘍などの影響が確認されます。成長ホルモンの分泌不全のみならず、他のホルモンの分泌も同時に低下している症例も報告されています。性ホルモンなどの分泌が低下している場合には、性機能の発育にも影響が及ぶことがあります。疾患の発症には男女差があり、男児に多く見られています。

原因

成長ホルモン分泌不全性低身長症の大半は原因が特定できない「特発型」です。明らかな原因が特定できる症例は全体の10%程度であると言われています。原因が特定できる症例としては、頭蓋咽頭腫・胚芽腫など脳の器質異常、放射線頭蓋照射、骨盤位分娩・仮死・黄疸遷延などの周産期異常などが報告されています。また、遺伝的な要因も報告されており、下垂体の発生や分化に関与する遺伝子の異常によって発症する、遺伝性の成長ホルモン分泌不全性低身長症も存在します。しかし、原因によらず、脳下垂体からの成長ホルモンの分泌低下が病態の主体となり、その結果、成長ホルモンが不足することから、成長率の低下や低身長などの症状が出現します。

症状

出生時体重は正常ですが,幼児期から成長が著しく遅れてきます。特に「身長が低い、身長が伸びない」といった症状が顕著にみられます。しかし、身長は低いのですが,体格は均整がとれていたり、知能は正常です。分泌不全が起こっているホルモンの種類により、性的成熟がおくれることもあり、性機能や性的な思考が上手く成長しない場合もあります。また、相対的にも声や顔が子どもっぼくなり、実年齢よりも見た目が幼くなります。

検査・診断

低身長を測定するための指標としては、「身長が標準からどのくらい離れているか」を確認するためのSDスコアが用いられます。SDスコアには、2000年の日本の小児の年齢・性別ごとのデータが用いられており、より客観的に低身長の状態を把握することができます。両親の評価やクラス内(学級内)との比較ではなく、より客観的に低身長の状態を確認することが重要です。加えて両親の身長も子供の低身長を評価する上では重要な指標となります。低身長の測定に加え、骨年齢の測定、MRI検査やCT検査を組み合わせて、下垂体とその周辺の画像診断も行います。

治療

治療には遺伝子組換え成長ホルモン薬の皮下注射を行います。この皮下注射が治療の主体となりますが、毎日あるいは週6回程度の注射が必要になるため、患者自身や患者家族(患者をサポートする人)が、自宅で自己注射を行う必要があります。病態によっては、成長ホルモン以外にも不足しているホルモンが見つかる場合もあり、このような症例では、薬剤を追加して必要なホルモンを補充する治療が行われます。毎年治療効果判定を行い、効果が持続している間は治療を継続するため、治療は長期間に渡ります。遺伝子組換え成長ホルモン薬を使用する治療は、骨年齢が10歳以下の時点から始めることが望ましいとされており、治療開始が遅れることで効果が出にくくなる可能性があります。

予防/治療後の注意

身長が低い子どもは、頻回な身長のチェックとその伸び率を経時的に測定することが大切です。同年齢の生徒が集まる学級内で他者との比較を行っているだけでは、身長の伸び率を正しく評価することはできません。また、症状が安定していても、定期的に検査を受け、安全に治療を続けることが非常に重要です。頻回な自己注射を長期間継続することになるため、患者自身、患者家族の負担は大きなものになります。だからこそ、治療の有効性を最大限発揮するために、決められた検査や治療のスケジュールを正しく守ることが大切です。また、体調が悪いときなど、自己注射の中断が必要になるケースもあります、事前に主治医としっかりと対応の確認をしておくことも重要です。

こちらの記事の監修医師

もり脳神経外科クリニック

森 達郎

〇アクセス:品川区中延5丁目2番2号 ザ・パークハウス品川荏原町2階
〇診療科 :脳神経外科・内科・皮膚科・放射線科・小児科
〇経歴:
平成5年 日本大学医学部卒
平成11年 日本大学大学院卒
平成11年 米国 ハーバード大学医学部 マサチューセッツ総合病院 神経科
平成14年 横須賀市民病院 脳神経外科医長
平成16年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科医長
平成20年 日本大学講師
平成21年 日本大学医学部附属板橋病院 脳神経外科科長
平成22年 日本大学駿河台病院 脳神経外科科長
平成23年 社会保険横浜中央病院 脳神経外科部長
平成26年 地域医療推進機構 横浜中央病院 脳神経外科主任部長
平成28年4月 もり脳神経外科クリニック開設
【資格・免許】
日本脳神経外科学会評議員 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会会員 脳卒中専門医
日本神経外傷学会学術評議員
日本臨床スポーツ医学会評議員
日本脊髄外科学会会員 脊髄外科認定医
日本脳ドック学会会員
難病指定医 身体障害者福祉法第15条指定医
脳神経外科漢方医学会会員
日本認知症学会会員
介護支援専門員(ケアマネージャー)
日本老年医学会高齢者医療研修会終了

治療に適した診療科目

内科 神経内科 脳神経外科 小児科

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