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アジソン病【イシャチョク】

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最終更新日:2022年2月20日

あじそんびょうアジソン病

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

アジソン病は原発性副腎皮質機能低下症とも呼ばれ、年間で10万人当たり約4人の発病がみられている難病である。副腎は左右の腎臓の上に位置する臓器であり、外側の皮質という組織の中に髄質が包まれている。副腎の皮質からは、生命の維持や成長に必要な働きをしているステロイドホルモンが分泌されるが、慢性副腎皮質機能低下症は、副腎皮質の病変により、ステロイドホルモンの分泌が慢性的に低下する病気である。この病気は、副腎皮質自体の病変による原発性と、脳の司令塔である下垂体の副腎皮質刺激ホルモン分泌不全による続発性の2つに分けられる。アジソン病は、この2つのうちの原発性の病気であり、さらに後天性の成因によるものと定義されている。

原因

アジソン病の原因は、自己免疫の異常による特発性と感染症、その他の病気によるものに分類される。特発性アジソン病は、自己免疫性副腎皮質炎が原因で起きるもので、他のホルモン分泌に関わる異常を合併していることが多い。感染症が原因のアジソン病は、主に結核感染の二次障害として起きるが、他にもカビなどの真菌感染症や後天性免疫不全症候群(AIDS)に合併して起きる場合が多い。その他の病気として、肉芽腫や腫瘍、炎症性の副腎壊死が原因とされている。また、がん免疫療法として使われる免疫チェックポイント阻害剤の副作用として、まれにアジソン病が認められるケースもある。これらが原因となってアジソン病が発症すると言われているが、はっきりとした発症の機序は分かっていない。

症状

アジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌低下により、本来血液にのって身体全身を巡るホルモンが少なくなり、肝臓・心臓・肺・脳・腎臓など様々な組織に影響を与える。主な症状として、疲れやすい(易疲労感)、全身の倦怠感(だるさ)、筋力低下、脱力感、起立性低血圧がみられる。また、食欲低下や吐き気、下痢などの消化器症状により、体重減少や発熱なども症状として現れやすい。さらに、精神症状として不安や無気力などのうつ症状、動悸、めまい、失神が生じる場合も多い。皮膚や口腔内、爪、ひざやひじなどに、アジソン病特有の色素沈着も症状の一つである。特に圧がかかる部位やしわがある部分に、黒色の変色がみられることが多い。

検査・診断

アジソン病の疑いがある場合は、血液検査により副腎皮質ホルモン値を測定する。主には、血液中の副腎皮質ホルモンのコルチゾールが低値、さらにACTHの負荷検査を行ってもコルチゾール値が上昇しなければ、アジソン病と診断できる。診察を経て、他の原因となる所見がない場合は、自己免疫の異常による特発性と診断される。もし感染症が原因である場合は、結核や真菌症など原因を調べるために、胸部レントゲンやCT検査を実施する。最終的な診断の確定は、血液検査とあわせて、疲労感や食欲不振、うつ症状などの自覚症状の有無、色素沈着の程度から総合的に診察し確定する。

治療

アジソン病の治療には、不足・欠乏した副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を補充する。正常なコルチゾールの分泌は、早朝に最大、夜に最小となるため、コルチゾール値の日内変動に合わせて、ヒドロコルチゾンまたは、フルドロコルチゾンを経口投与する。また、急性副腎不全(副腎クリーゼ)の場合は、治療の遅れが命に関わるほど重度の副腎皮質ステロイドホルモンの低下がみられる。よって、速やかにグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの補充、水分・塩分・糖分の補給を行う必要があり、ストレス時は、通常の2~3倍量のグルココルチコイドを投与する。その後も生涯にわたり投与が必要となり、定期的に血液検査を行い投与量の調整をする。

予防/治療後の注意

アジソン病は難病に指定されている病気であり、発症の機序は分かっておらず、根本的な治療法は確立されていない。よって、予防することは困難である。アジソン病になると副腎の機能回復は期待ができず、生涯にわたりグルココルチコイドで補充していくが、服用により症状なく過ごせる。しかし、発熱や感染症などによるストレス時に補充量を間違えたり、服用を忘れたりするとショック状態に陥る危険がある。とは言え、定期的な血液検査や適切な治療を行うことで、予後は比較的良好な病気である。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

治療に適した診療科目

内科 内分泌内科 代謝内科

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