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最終更新日:2022年2月21日

かっしょくさいぼうしゅ褐色細胞腫

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木厚

概要

褐色細胞腫は、副腎髄質や傍神経節の腫瘍で、カテコールアミンの過剰分泌を呈する疾患です。褐色細胞腫がアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコラミンの産生能を有しており、動悸や頭痛などの症状が出現したり、二次性高血圧や糖尿病などの原因疾患となります。褐色細胞腫の多くは良性腫瘍であり、手術による外科的切除で治癒することが可能です。しかし、疾患の約10%は骨、肝などに転移する可能性のある悪性褐色細胞腫だといわれています。褐色細胞腫の作り出すカテコールアミンとは、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質やホルモンとして働く化学物質の総称であり、カテコールアミンが過剰に産生されることで、心筋が過剰に拍動したり、血管が必要以上に収縮するなど、全身のバランスが崩れてしまいます。手術によって腫瘍を取り除くことで、カテコールアミンのレベルを正常に戻すことが可能であるため、手術による外科的な切除が治療の第一選択となります。

原因

腫瘍の発生原因はわかっていませんが、副腎髄質あるいは交感神経節に発生する腫瘍が褐色細胞腫の原因となります。褐色細胞腫患者には一部酵素の遺伝子異常を認めることが報告されており、遺伝的素因の関与が示唆されていますが未だ詳細は不明です。遺伝要因が認められる場合には、小児期からの定期検査が勧められます。

症状

褐色細胞腫に罹患した場合、カテコールアミンの過剰産生に伴うさまざまな症状が全身に出現します。主な症状は高血圧です。アドレナリンなどの昇圧作用により、症例の大半が高血圧状態を呈します。特に、発作性の高血圧を呈する場合には、褐色細胞腫を強く疑います。 頭痛、動悸、発汗過多、体重減少、便秘など、全身に様々な臨床症状が発現しますが、どれも褐色細胞腫に特異的な症状(褐色細胞腫のみに出現する症状)ではないため、これらの症状だけで褐色細胞腫を鑑別することは難しいです。しかし、全身にこれらの症状が発現している場合や発作的な高血圧を呈している場合には、褐色細胞腫を疑います。また、耐糖能異常を呈することもあるため、褐色細胞腫を治療することで、糖尿病も改善する可能性があります。

検査・診断

血液検査や畜尿を行い、カテコールアミンの分泌量を測定します。腫瘍の位置や大きさなどを検査するため、CT検査やMRI検査、カテコールアミン過剰分泌を証明するためのMIBGシンチグラフィーなどの画像検査も合わせて行います。腫瘍組織の生検を行い病理診断を実施する場合もあります。また、カテコールアミン過剰分泌に伴う高血圧や糖尿病などを治療するためにも、これらの合併症に対する検査も行います。頻脈や不整脈などが出現する症例では、必要に応じて心電図検査などの新機能検査も実施します。

治療

腫瘍の外科的切除が最も有効な治療法です。しかし、褐色細胞腫は手術時の血圧管理にも影響を与えるため、診断時より手術日に向けて、α遮断薬と呼ばれる薬剤を漸増(徐々に増やす)して血圧のコントロールに努めます。基本的な血圧や血糖値、不整脈など、カテコールアミン過剰分泌関連の症状は病態に応じて治療を行います。アドレナリンなどの影響により動機が強く出現している症例には、β遮断薬などが投与されることもあります。このように、褐色細胞腫の治療では、出現した各症状に対応しながら、手術による腫瘍摘出を目指します。

予防/治療後の注意

基本的に褐色細胞腫は、予後良好な良性腫瘍であり、腫瘍を適切することができれば、カテコールアミン関連の全身症状も次第に落ち着きます。しかし、手術治療後には注意が必要で、腫瘍の摘出によってカテコールアミンの急な低下が起こり、それに伴って低血圧や低血糖などの症状を呈する症例も少なくありません。そのため、手術後にも十分な周術期管理が必要となります。カテコールアミンのレベルが落ち着いた段階で、改めて血圧や血糖値などの測定を行い、必要に応じて治療介入を行います。悪性腫瘍の場合は十年以上経過してから再発する症例も報告されていることから、定期的な検診や検査を行うなど、継続した経過観察が重要となります。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木厚

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開設

治療に適した診療科目

内科 神経内科 内分泌内科 腫瘍外科 腹部外科

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