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最終更新日:2022年2月17日

きゅうせいあるこーるちゅうどく急性アルコール中毒

こちらの記事の監修医師
つきじ心のクリニック
榊原 聡 院長

概要

急性アルコール中毒を発症すると(急性アルコール中毒になると)、意識レベルが低下し、激しく嘔吐をしたり、呼吸状態が悪化するなど危険な状態に陥ります。短時間に大量のアルコールを摂取する、体内でのアルコールの処理ができにくい体質の人がアルコールを摂取する、などが急性アルコール中毒発症のリスクとなります。重症の場合死に至ることもあります。アルコール依存症ではない人やアルコールに強い人(お酒が強い人)でも起こりえる症状であり、いわゆる「イッキ飲み」が急性アルコール中毒の原因として問題となります。特に20代の大学生や社会人などが多く救急搬送されているという報告があります。

原因

急性アルコール中毒の原因はその名の通りアルコールです。お酒の飲みすぎと言い換えることもできます。特にお酒の弱い人、体調が悪い人、脱水気味の人、寝不足の人などが許容量を超えてアルコールを飲むことで急性アルコール中毒を発症します。より具体的なメカニズムとして、アルコールは胃や小腸で吸収され、肝臓で分解されることが知られています。しかし、短時間で大量にアルコールを摂取すると、体内に吸収されたアルコールの分解が追いつかなくなり、血中のアルコール濃度が急激に高くなってしまいます。その結果、脳の機能が低下(ふらつきや思考能力が低下)し、呼吸が抑制され、重要の場合では死に至ることもあります。他人と競い合うようにお酒を飲んだり、イッキ飲みのような飲酒方法をすることによって、急性アルコール中毒のリスクが高くなります。また、アルコールを分解する力は人によって異なるため、アルコールを勧める際には、お酒の弱い人には無理強いしないことが大切です。

症状

急性アルコール中毒になると、ふらつきや思考能力の低下が発現し、次第に意識がはっきりしなくなったり、ろれつが回らなくなるなど、いわゆる酩酊状態(泥酔状態)になります。声かけに応じず、眠ってしまったように見える場合もあります。頭を起こすことができなくなることもあり、うつ伏せになった状態で嘔吐をしてしまうと、口の中がふさがって呼吸ができなくなってしまう場合もあります。また、嘔吐のしすぎによって胃液などが逆流し、食道などの消化管粘膜が傷つき、吐物とともに血を吐くことも少なくありません。昏睡、意識の混濁、呼吸回数の減少、血圧の低下、失禁、言語の支離滅裂、記憶の抜け落ちなどの症状が見られる場合は症状が重篤化しやすいため、すぐに治療が必要となります。

検査・診断

意識障害や支離滅裂な会話、嘔吐やアルコール臭などで急性アルコール中毒を疑うことが可能です。お酒の席などの同席者への聞き取りなどから急性アルコール中毒を確認できる場合には、特別な検査を行うことなく直ぐに治療を開始する場合もあります。必要に応じて血液検査や尿検査などを行うほか、随時呼吸状態を確認しておくことも大切です。重篤な場合には、肝臓や腎臓など臓器への影響を確認するため、CT検査などの画像検査が行われる場合もあります。

治療

急性アルコール中毒の治療では、一刻も早く体内のアルコール濃度を下げるために十分な量の補液を行います。また、尿道バルーンカテーテルを挿入し、尿の排出を促します。本人の意識がない場合にも尿道カテーテルを入れて失禁への対応を行います。また、脱水症状や低血圧、低血糖などの症状が出ている場合にはそれぞれに応じた対処を行います。吐物によって気道がふさがっている場合や呼吸困難が出現している場合などは、一刻も早い呼吸の確保が最優先となります。また、転倒によって頭部を強打している場合もあるため、外傷としての検査や処置も合わせて必要になります。

予防・治療後の注意

急性アルコール中毒の予防方法は、無理をせずに飲酒をするということです。お酒との付き合い方がわかっていなかったり、場の空気に飲まれてイッキ飲みをしてしまうことで、アルコール中毒症状が発現しやすくなります。このような、誰しもが分かっている「当たり前のこと」であっても、お酒によって気持ちが大きくなっていると、歯止めが効かなくなることがあります。しかし、急性アルコール中毒は一歩間違えると死に至る可能性があります。若気の至りなどの言葉では片付けられない後遺症が残る場合もありますので、お酒とは上手に付き合っていく必要があります。

こちらの記事の監修医師

つきじ心のクリニック

榊原 聡 院長

【経歴】
茨城県に生まれ育つ。千葉県出身。
旭川医科大学医学部卒業(1994年)
北海道大学附属病院精神科勤務(1994-95年、1998-2002年)
北海道大学大学院医学研究科卒業(2002年)
北海道立向陽ヶ丘病院(網走)(1995-97年)
札幌花園病院(1997-98年)
国立十勝療養所(2002-03年)
国立国際医療センター精神科(2003-04年)
国境なき医師団(2004年:パレスチナ自治区、新潟中越地震にて活動)
札幌トロイカ病院精神科副院長(2004-11年)
東京都立松沢病院精神科医長(2011-17年)
つきじ心のクリニック院長(2017年)
鑑定経験は計61件(起訴前鑑定27件、公判鑑定17件、簡易鑑定13件、医療観察法鑑定4件)(2021年5月現在)

【資格・所属学会】
精神保健指定医
精神科専門医・指導医
医学博士
日本医師会認定産業医
学会認定精神鑑定医
国境なき医師団海外派遣医師
日本精神神経学会
日本睡眠学会
日本司法精神医学会

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