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最終更新日:2022年3月4日

じふてりあジフテリア

こちらの記事の監修医師
飯塚病院
的野 多加志

概要

ジフテリアは、ジフテリア菌によって引き起こされる感染症のことです。かつては年間8万人以上の患者が発生し、そのうち約10%の割合で死に至る恐ろしい病気として知られていました。しかしワクチン接種の普及によって発生件数は激減し、日本においては1999年に報告されて以来、発生が確認されていません。一方で、アフリカや南米などの発展途上国では、未だに多くの患者が発生しているのが現状で、ジフテリアが流行している地域を訪れる必要がある場合には、小児期のジフテリア含有混合ワクチンの接種歴を確認してください。

原因

実はジフテリア菌にはさまざまな種類が存在しており、無害なものは喉の常在菌として日常的に存在しています。しかし中には、感染によって強力な毒素を作り出すものがあり、この「毒素を作るジフテリア菌」に感染したために起きるのがジフテリアです。ジフテリア菌は感染力がとても強いのが特徴です。咳やくしゃみによって起きる「飛沫感染」や鼻水のついたティッシュやタオル、食器などを介して起きる「接触感染」を通じて拡散されます。体内に侵入した細菌は、喉や鼻などの粘膜に付着して増殖し、さまざまな症状を引き起こします。

症状

ジフテリアの潜伏期間は2日〜5日。発症後は発熱、鼻水、全身の倦怠感、のどの痛み、リンパ腺の腫れなど、主に気道を中心とするさまざまな 箇所に症状が現れます。ジフテリア菌はのどに厚い膜を作り出すことも特徴とされます。そのため、気道が狭められ、激しい咳や声のかすれが出るのも典型的な症状と言えます。この場合、重症化すると呼吸困難に陥る恐れもあるため注意が必要です。呼吸器へと広がったジフテリアは、治療をしても約10%が死亡すると言われています。また、最も重篤な合併症とされているのが、菌が産生する毒素によって臓器がダメージを受ける心筋炎です。心筋炎は発症直後や回復期に現れることの多い合併症で、不整脈による突然死や心不全を引き起こすこともあります。これ以外にも、腎臓や高血圧などの合併症も報告されており、病状の細やかな管理が必要となるのです。ジフテリアが皮膚のみを侵す「皮膚ジフテリア」の場合、湿疹や乾癬のようなただれが体のさまざまな箇所で見られるのも特徴です。このとき起きたただれは、病気が回復した後も残るケースもあります。

検査・診断

日本では予防接種が普及しているため、ジフテリア感染が疑われる場合は、まずワクチンの接種歴 を調べます。また、感染流行地域への渡航歴などもチェックします。最初に行うのは、のどなどの感染部位から採取したサンプルの培養検査です。皮膚が侵されている「皮膚ジフテリア」の症状(皮膚のただれ)が見られるときにはただれ部分からもサンプルを採取します。また、心筋炎の可能性を考えて心電図検査を実施する場合もあります。確定診断は、これらの検査結果を踏まえて行われますが、ジフテリアの症状は急激に進行することも考えられるので、感染が強く疑われる場合はこの限りではありません。確定診断を待たずして、治療を開始するケースもあります。感染が確認されると、同居家族など濃厚接触者へのサンプル採取ならびに細菌培養検査 も行われます。

治療

呼吸器ジフテリアは緊急性が高く、臨床的に疑う場合は、確定診断を待たずに迅速かつ適切な治療を開始する必要があります。毒素中和のために抗体(抗毒薬)や抗菌薬のペニシリンやエリスロマイシンを投与します。抗菌薬の投与は最低14日間続けられます。さらに、ジフテリアは感染力が非常に強いため、医療機関内での感染対策も重要です。培養検査を2回行い細菌が消滅していることを確認するまでは、隔離治療を続けなければいけません。重症の場合は、完治までに時間を要し、さまざまな合併症をおこすこともあるため、長期の入院が必要になります。

予防/治療後の注意

ジフテリアは一旦感染してしまうと、呼吸困難や心筋炎などの重篤な合併症を引き起こします。たとえ適切な治療が受けられたとしても、重症化により死亡してしまう恐れもあるのです。そのため、予防接種を受けることが何よりの予防策と言えます。予防接種は乳幼児期に複数回と12歳前後に追加で1回受ける必要があります。希な病気ではありますが、命に関わる病気でもありますので、ジフテリア感染症を疑うような症状がある場合や、ワクチンを必要回数接種していない場合は積極的に医療機関を受診しましょう。

こちらの記事の監修医師

飯塚病院

的野 多加志

〇アクセス:福岡県飯塚市芳雄町3丁目83
〇診療科 :総合診療科

《経歴》
2007年長崎大学医学部卒業。
亀田総合病院、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所を経て、
2017年から飯塚病院 総合診療科に赴任、2019年から現職。

《専門》
感染症

《専門医》
日本感染症学会専門医
日本内科学会総合内科専門医

《その他》
米国内科学会上級会員(FACP)
JICA国際緊急援助隊感染症対策チーム隊員。

治療に適した診療科目

内科 感染症内科 小児科 救急科

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