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最終更新日:2022年8月2日

いたいいたいびょうイタイイタイ病

こちらの記事の監修医師
TMG宗岡中央病院
小室 哲也

概要

カドミウムによる多発性近位尿細管機能異常症と骨軟化症を主な特徴とし、長期の経過をたどる慢性疾患を発症する富山県神通川流域で多発した水質汚染による公害のひとつです。カドミウム汚染地域に長年住んでいてこの地域で生産された米や野菜を摂取したり、カドミウムに汚染された水を飲用したりするなどのカドミウムの慢性中毒によりまず腎臓障害を生じ、次いで骨軟化症をきたし、これに妊娠、授乳、内分泌の変調及び栄養としてのカルシウム等の不足が誘因となっています。骨軟化症のため、容易に骨折がおこり、激しい痛みや、体格の変型を引き起こします。カドミウムの排出を促進するキレート剤を投与し、腎機能障害、それに伴う貧血などの疾患、骨軟化症、関節痛に対しての対症療法を行います。公害健康被害の補償等に関する法律で指定疾病とされ、認定患者に補償が続けられている。

原因

慢性カドミウム中毒を原因として発症します。富山県神通川の上流には、神岡鉱山と呼ばれる鉱山が存在し亜鉛や鉛を多く産出しており、その産生過程において、カドミウムを含む鉱石が神通川へと流出していました。当時は公害に対しての認識も薄く、カドミウムが処理されることなく川へと流入し、農業用水や生活用水として使用されており、カドミウムを多く含む水を慢性的に摂取すると、腎臓や骨に障害が生じます。カドミウムの蓄積に加えて、出産や栄養失調などが重なることでイタイイタイ病が発症すると考えられています。

症状

多発性近位尿細管機能異常症を示す検査所見で、初期には多尿・頻尿・口渇・多飲・便秘などを訴える人もいます。進行すると骨量が次第に減少し、その頃から立ち上がれない、力が入らないなどの筋力低下が見られます。さらに、歩行時の下肢骨痛、呼吸時の肋骨痛、上肢・背部・腰部などに運動痛が出現します。骨がもろくなることで、くしゃみをするなどの軽微な外力でも骨折をきたします。腰や肩、腕などが容易に骨折するため、全身が激しく痛むようになります。痛みのために動けなくなり、寝たきりになります。最終的には食事をとることもできなくなり、衰弱のため死亡します。また、多発性近位尿細管機能異常症と同時に、腎機能も徐々に低下して、末期には腎機能は荒廃し、腎不全になります。貧血が顕著になり、皮膚は暗褐色になります。そして、血清カルシウムが低下し、著しい場合にはテタニー(手足などの筋肉が痙攣を起こした状態)が起きます。特に35歳以上の女性に発症することが多いです。

検査・診断

イタイイタイ病は、イタイイタイ病農耕汚染地域に在住し、カドミウムに対する曝露歴があること、先天性のものではなく、成年期以降に発現したこと、(3尿細管障害が認められること、骨粗鬆症を伴う骨軟化症の所見が見られること、この四つの条件を全て満たせば認定されます。臓器障害を評価するために、尿検査にて、腎臓のなかでも近位尿細管に障害があることを示す指標であるβ2ミクログロブリンを測定します。また、骨粗しょう症を始めとする骨障害をレントゲン検査で評価します。また、血液検査などが行われます。

治療

カドミウムの排出を促進するキレート剤を投与します。また、腎機能障害に対しては、腎保護作用を目的とした点滴治療、骨軟化症に対してはビタミンD製剤の投与が有効です。尿酸による関節痛に対しては鎮痛薬および尿酸排泄促進剤の投与、貧血に対してはエリスロポエチンという血球産生促進剤などの対症療法を行います。

予防/治療後の注意

カドミウムを摂取しないようにすることが病気の発症予防になります。イタイイタイ病は公害病の一種であり、認定を受けることで救済処置を受けることができます。

こちらの記事の監修医師

TMG宗岡中央病院

小室 哲也

〇病院名 :TMG宗岡中央病院
〇医師  :小室 哲也
〇アクセス:埼玉県志木市上宗岡5丁目14−50
〇診療科 :総合内科

【経歴】
2004年埼玉医科大学卒業。
総合内科専門医、循環器専門医、集中治療専門医の3つの専門医資格もっており、現在は内科を中心とした総合診療行っている

治療に適した診療科目

感染症内科 内科

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