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最終更新日:2022年2月17日

ごえんせいはいえん誤嚥性肺炎

こちらの記事の監修医師
めじろ内科クリニック
久野伸夫

概要

口から食道へ入るべきもの(食べ物や唾液など)が気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥によって生じる肺炎の総称を誤嚥性肺炎といいます。誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害などが原因となり、唾液や食べ物、胃液などと一緒に主に口腔内の細菌を気道に吸引することにより発症します。70歳以上の高齢者肺炎の約8割を誤嚥性肺炎が占めています。物を飲み込む力が低下した高齢者、脳梗塞の後遺症などによって嚥下機能(物を飲み込む機能)に障害がある人などは、特に誤嚥を起こすリスクが高いといえます。また、パーキンソン病などの患者さんも嚥下機能に障害を起こしている場合が多く、食事方法などには注意が必要です。加齢や病気によって寝たきりの状態になっている人の場合、食事だけではなく自身の唾液や胃液なども誤嚥性肺炎の原因となり得るため、睡眠時の姿勢や口腔内の管理を行うことが大切です。

原因

嚥下機能が低下する主な原因は加齢や脳血管疾患の後遺症です。通常、気道に異物が侵入すると、咳き込んで異物を外に押し出す働きが自動的に発生します。また、十分な自己免疫力があれば、多少の異物の侵入があっても肺炎を発症するまでには至りません。しかし、加齢や麻痺などの影響によって、物を飲み込む際の力や反射が上手く機能しないうえ、免疫力が低下している高齢者の場合は、細菌の感染が起こりやすくなります。誤嚥性肺炎では、口腔内に存在している細菌(常在菌)が原因であることがほとんどです。そのため、口腔内が清潔に保たれていない場合、肺炎の原因となる細菌がますます繁殖し、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。食事だけではなく、唾液や胃液、嘔吐した際の吐物なども誤嚥の対象物となります。寝たきりの人が嘔吐をした場合、吐物によって気道が塞がってしまう場合もあるため、姿勢や体位などには注意が必要です。

症状

咳や痰、発熱などの一般的な肺炎と同じような症状が認められます。胸部レントゲン検査やCT検査の画像にはっきりと肺炎像が確認できます。しかし、通常の肺炎とは違い、免疫力が低下した人や高齢者に発生しやすい肺炎であるため、感染症が発生しても発熱などの症状が確認できない場合もあります。意思疎通ができない寝たきりの患者さんの場合、なんとなく元気がない、食欲がない、呼吸が荒いなどの症状から肺炎を疑う場合もあります。

検査・診断

誤嚥が明らかな場合や嚥下機能の低下が確認されている患者さんの場合、胸部レントゲン検査で肺炎像を確認することができれば確定診断が可能です。また、血液検査では感染症の所見(白血球増加や炎症反応の亢進)が確認できます。その他必要に応じて(尿検査や←削除で)CT検査などが追加されます。肺炎の原因菌を突き止めるために喀痰培養検査が実施されることもあります。38℃を超えるような高熱や重篤な全身状態である場合には、肺炎だけではなく病原菌が血液中に入り込んでしまった菌血症を発症している可能性があるため、血液培養等を実施します。

治療

主に肺炎の原因菌に有効な抗菌薬治療を行います。脱水や栄養を補給するための点滴による治療も実施します。通常、適切な抗菌薬治療を行うことで症状の改善が見込まれますが、抗菌薬治療に反応しない場合や連日のように高熱が続く(症例の←削除で)場合は、薬剤耐性菌による感染を疑う必要もあります。肺炎の状態が落ち着いたら、誤嚥性肺炎の再発のリスクを低下させるため、嚥下機能のリハビリテーションや嚥下訓練などを行うことが勧められます。また、口腔内を清潔に保つことや口腔内のケアも、誤嚥性肺炎発症のリスクを低下させます。脳血管障害やパーキンソン病などが嚥下機能低下の原因となっている場合は、原疾患の治療や管理を改めて見直す必要があります。

予防/治療後の注意

嚥下機能訓練などのリハビリテーションや口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防には効果的です。また、高齢者や寝たきりの人を介護する立場にある人たち(医療スタッフや患者家族など)が、嚥下について正しい知識を持ち、適切な食事介護の方法を学び実践することも予防する上で大切です。嚥下を行いやすくするための手軽にできるストレッチの導入、歯磨きをはじめとした口腔ケアなど日常的な取り組みが重要です。

こちらの記事の監修医師

めじろ内科クリニック

久野伸夫

【経歴】
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本糖尿病学会専門医
労働衛生コンサルタント

治療に適した診療科目

耳鼻咽喉科 リハビリテーション科 神経内科 消化器科 歯科 歯科口腔外科

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