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最終更新日:2022年3月8日

ちょうかんしゅっけつせいだいちょうきん(おーいちごなな)かんせんしょう腸管出血性大腸菌(O‐157)感染症

こちらの記事の監修医師
みなと芝クリニック
川本 徹

概要

腸管出血性大腸菌(O-157)は3類感染症と言われ、食中毒などの原因となる病原性大腸菌の一種になります。腸の管内で「ベロ毒素」と呼ばれる強い毒素を放出し、出血性の下痢など人体に大きな影響を及ぼします。ベロ毒素は、特に乳幼児や高齢者に感染すると「溶血性尿毒症症候群」を引き起こし、腎臓・脳に重大な障害を生じさせたり、場合によっては生死に関わることもあります。感染力が非常に強く、100個ほどのごく少量で感染してしまいます。潜伏期間は、2日から9日と長く、その間は無症状です。そのため、発症してから原因を突き止めるのが困難で、その間に感染してしまった食品などが流出し、二次感染で広まってしまう危険性が高い病原菌です。

原因

菌が口から入ることで感染します。感染経路としては菌が付着し、汚染された食品を口にしてしまった場合や、すでに感染してしまっている人からの2次感染の2パターンがあります。 牛などの家畜に保菌されている場合もあり、これらから出た糞便に汚染された食肉からの2次感染であらゆる食品が原因となる可能性もあります。過去には食品ですと、牛肉やその加工品・サラダ・白菜漬け・井戸水等による食中毒の事例が挙げられています。夏季は食中毒が多発し、特に小児が発症するケースも多いです。

症状

無症状の潜伏期間が過ぎると、初期段階で腹痛と下痢の症状がでます。3日目くらいからは、激しい腹痛とともに、ベロ毒素により大腸内の粘膜が傷めつけられ血便が出はじめます。血便は、水様便の後に出ることが多いです。重症化してしまうと「溶血性尿毒症症候群」へと進み、腎臓障害や神経障害を引き起こしてしまいます。潜伏期間は無症状なため、他者にうつす可能性があります。

検査・診断

下痢・腹痛の原因が腸管出血性大腸菌(O-157)であるかは、便の検査で調べることができます。便から大腸菌が検出された場合、「血清型」といわれる大腸菌分類の検査や、ベロ毒素産生能の検査を行います。ベロ毒素が陽性であれば腸管出血性大腸菌であり、「血清型」の分類により腸管出血性大腸菌「O-157」やそれ以外「O-26」や「O-111」などがわかります。その他、血液検査で白血球・赤血球・血小板・凝固因子の数値などから敗血症の有無を調べ、腎臓・肝臓の機能が低下していないかを確認します。

治療

病院で検査をするとともに、下痢・腹痛・脱水に対しては、水分補給・点滴等を行います。整腸剤などを使用し、安静にすることが主になります。抗菌薬は、場合によって悪化することもあるため、症状により処方されることもありますが、使用の有無は慎重に判断されます。良くなるケースが多いですが、貧血や腎不全・脳症などが起きてしまった場合は、対症治療を追加で行うことがあります。溶血性尿毒症症候群を合併した場合は、血液透析や血漿交換療法(血液を血球と血漿成分に分離した後、病気の原因物質を含む血漿を廃棄し、それと同じ量の健常な血漿を入れて置き換える治療法)などの積極的な治療が必要となります。

予防/治療後の注意

ワクチンは開発されていないため、経口感染や接触感染による感染を避けるために、肉類は十分に加熱すること・肉類を調理した調理器具で生食の食品を扱わないこと・手洗いを徹底することなどが大切です。細菌は加熱により死滅しますので、主に肉や魚は中心部が75℃で1分以上の加熱が目安となっています。生野菜なども、良く洗浄してから口にすることも予防のひとつとなります。飲用水・調理水など浄水器を使用するなど、体内に取り込むものには十分に注意が必要です。家族が発症してしまった場合は、下痢等で汚れてしまった衣類などの取り扱いは、二次感染を防ぐためにも十分に注意が必要です。

こちらの記事の監修医師

みなと芝クリニック

川本 徹

〇アクセス:東京都港区芝2丁目12−1 桑山ビル 2F
〇診療科 :内科、消化器科、皮膚科、外科、整形外科、大腸・肛門外科
《 経歴 》
筑波大学臨床医学系消化器外科講師(1996~2006)
東京女子医科大学 非常勤講師

治療に適した診療科目

内科 消化器内科 循環器内科 消化器外科 胃腸外科 小児科 救急科

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