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ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)【イシャチョク】

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最終更新日:2022年2月21日

ぽりお(きゅうせいかいはくずいえん・しょうなまひ)ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)

こちらの記事の監修医師
あおき内科・さいたま糖尿病クリニック
青木 厚

概要

ポリオ(急性灰白髄炎・小児まひ)は、ポリオウイルスに感染することで発症する感染症です。主に子ども(特に5歳以下)がかかることが多い疾患であり、麻痺などを起こすこともある病気です。感染した人の便を介して感染は広がり、ポリオウイルスが手足の筋肉や呼吸を司る筋肉などに作用し、麻痺を生じることがあります。発症するとまひを回復させるための確実な治療法はなく、運動機能障害などの永続的な後遺症を残すこともあります。ワクチンの接種が普及したことにより患者は激減し、国内では1981年以降、ポリオの患者は確認されておらず、日本国内のポリオ根絶が国際的にも認められています。

原因

ポリオの病原体はポリオウイルスと呼ばれるウイルスです。感染者の便中に排出されたウイルスが、手や食物を介して口から入ることで感染(経口感染)します。体内に入ったポリオウイルスは、咽頭や小腸の粘膜で増殖し、リンパ節を介して血流中に入ります。その後、ウイルスは脊髄を中心とする中枢神経系へ達し、運動機能を司る神経細胞に感染し、破壊します。神経の破壊が起こることで、麻痺などの典型的なポリオの症状が出現します。発症後1週間程度経過すると、咽頭分泌液にはウイルスはほとんど排泄されなくなる一方、糞便には数週間にわたってウイルスが排泄されるため、感染者は無自覚のままウイルスを広げ、感染源となってしまいます。

症状

ポリオウイルスに感染しても、多くの場合は自覚症状がほとんどありません。感染者の90以上は不顕性感染(症状が発現しない)に終わるといわれています。感染者のおよそ5%に発熱、頭痛、喉の痛み、吐き気、嘔吐といった風邪のような症状が出現します。さらに少数の1〜2%には、風邪のような症状に引き続いて、無菌性髄膜炎を発症しますが、これは非麻痺型の髄膜炎です。定型的な麻痺型ポリオを発病するのは感染者の0.1〜2%であることが分かっています。この場合には、6〜20日間の潜伏期間の後、風邪のような症状が1〜10日続いた後、四肢に非対称性の弛緩性麻痺が出現します。麻痺が起こるポリオは、ポリオウイルス感染者の中のわずか数%です。しかし、一度発症してしまうと非可逆的な麻痺を引き起こす病気であり、感染者出現を未然に防止することが重要です。

検査・診断

ポリオの確定診断にはウイルス分離や血清診断を行います。ウイルスの同定には糞便からのウイルス分離がもっとも重要です。糞便中のウイルスを確認する検査は、麻痺の出現後できる限り早い時期に行う必要があり、さらに糞便などの検査材料は2回採取する必要があります。発症後約2週間はウイルスの分離が可能と言われています。また、咽頭分泌液、髄液などウイルスに感染している危険性がある組織を採取してウイルスの有無を調べることもありますが、糞便中のウイルス確認が最も重要な意味を持ちま

治療

ポリオに対する特異的な治療法はなく、ポリオウイルスに対して抗ウイルス作用を持つ薬剤もありません。そのため、出現した各種症状に対する対症療法が治療の中心となります。麻痺の出現により、呼吸障害や分泌物喀出不全が認められる例では、気管切開、挿管、あるいは補助呼吸など、早急な治療が必要になります。ポリオウイルス感染後に治療する有効な手段が存在しないため、現実的には、ワクチン接種によりポリオウイルスへの感染を未然に防ぐ「予防治療」が治療の主体となります。

予防/治療後の注意

ポリオの予防にはワクチンの摂取が欠かせません。ワクチンには、毒性を弱めたウイルスを摂取する経口生ワクチンと、ポリオウイルスを失活した不活化ワクチンの2種類が存在します。不活化ポリオワクチンの場合、初回接種として3回、追加接種として1回、合計4回のワクチン接種が必要となります。より具体的なワクチン接種スケジュールとして、「初回接種については生後3ヵ月~12ヵ月の期間に20~56日までの間隔をおいて3回、追加接種については3回目の接種を行ってから12ヵ月~18ヵ月の期間に1回の接種を行う」と定められています。ワクチンによって疾患を未然に防ぐことが重要であり、スケジュールを守ってワクチンを摂取することが大切です。

こちらの記事の監修医師

あおき内科・さいたま糖尿病クリニック

青木 厚

【経歴】
2002年 福井医科大学(現 福井大学)卒業
2002年 長野赤十字病院
2004年 川崎市立川崎病院 内科
2006年 自治医科大学附属さいたま医療センター 総合診療科
2008年 自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科
2010年 自治医科大学大学院 医学研究科 入学
2014年 自治医科大学大学院 医学研究科 卒業 医学博士 習得
2015年 青木内科・リハビリテーション科 開

治療に適した診療科目

内科 感染症内科 小児科

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