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最終更新日:2022年4月13日

はいえんきゅうきんかんせんしょう肺炎球菌感染症

こちらの記事の監修医師
グローバルヘルスケアクリニック
水野 泰孝

概要

肺炎球菌感染症は、肺炎球菌という球状の細菌によって引き起こされる感染症です。感染症として、肺炎・髄膜炎・副鼻腔炎・中耳炎・菌血症があります。肺炎球菌は、健康な人でも上気道に存在し、くしゃみや咳で飛び散った飛沫を吸入する、感染者と濃厚接触するなどで、人から人へ感染します。発症すると、発熱と全身のだるさ、感染部位に応じて他の症状が現れます。症状や感染部位の細菌確認が診断の主流です。治療はペニシリンその他の抗菌薬によります。また、予防のためにワクチン接種が推奨されます。

原因

肺炎球菌は、主に小兄の上気道に常在しくしゃみや咳で飛び散った飛沫を吸入する、感染者と濃厚接触するなどで、人から人へ感染します。特定の危険因子があると重症化しやすくなります。危険因子は、糖尿病や肝疾患などの慢性の病気・アルコール依存症・HIV感染症など免疫機能が低下する病気・コルチコステロイドなど免疫機能を抑制する薬の服用・脾臓がない状態・喫煙・加齢などです。

症状

肺炎球菌感染症は、感染部位に応じて別々の症状が現れます。肺炎の場合は、突然に症状が始まり、発熱・悪寒・全身のだるさ・痰が絡んだ咳・息切れ・胸の痛みがみられます。髄膜炎の場合は、発熱・頭痛・悪心嘔吐といった症状がみられます。進行すると、あごを引いたときに痛みが出て首が固くなる症状(項部硬直)も出てきます。ただし、乳児の場合、項部硬直はほとんどみられず、食事を嫌がったり不機嫌になったりします。中耳炎の症状は、発熱・耳の痛み・鼓膜が赤く膨らむ・鼓膜の奥に膿が溜まるなどです。合併症として、軽度の難聴・平衡感覚の異常・鼓膜の破れ・内耳への感染・耳周囲の頭蓋骨への感染などが起こることもあります。重症化すると、菌血症から敗血症になり、血圧低下・播種性血管内凝固症候群(DIC)を起こすことがあります。

検査・診断

肺炎球菌感染症の診断は、症状や培養検査、尿中抗原検査が主流です。肺炎の場合は、胸部エックス線検査で肺炎像を確認し、痰のサンプル中の肺炎球菌を顕微鏡で確認したり、細菌培養検査などを行います。髄膜炎の診断は、腰椎に針を刺して髄液のサンプルを取り、白血球数など細菌の所見を確認します。中耳炎の診断は、症状と診察のみによって下されることが一般的です。

治療

肺炎球菌感染症の治療はペニシリン系を中心とした抗菌薬によります。通常は内服薬で治療しますが、重症の場合は静脈内投与が行われます。髄膜炎の場合は、セフトリアキソンに加えバンコマイシンの点滴で治療します。

予防/治療後の注意

肺炎球菌による髄膜炎の場合、難聴・けいれん発作・学習障害・精神機能障害などの後遺症が残る可能性があります。また、肺炎球菌感染症は、重症化すると死に至ることがある病気です。肺炎球菌感染症予防のためにワクチン接種が推奨されます。ワクチン接種により、重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを、95%以上減らせると報告されています。使用される肺炎球菌ワクチンは、13種類の肺炎球菌を対象とする結合型ワクチン(PCV13)と23種類の肺炎球菌を対象とする非結合型多糖体ワクチン(PPSV23)の2種類です。PCV13は、すべての小児、65歳以上全ての高齢者、および6~64歳で、人工内耳・髄液の漏れやすい病気・鎌状赤血球症やそれに類する赤血球の病気・脾臓が無い状態・免疫不全や白血病など感染しやすい状態にある場合推奨されます。また、PPSV23は、65歳以上全ての高齢者、6~64歳で、慢性肺疾患・慢性心疾患(高血圧を除く)・糖尿病・慢性肝疾患・慢性のアルコール乱用・喫煙習慣がある場合に推奨されます。ワクチンの予防効果は、月日とともに低下していくため、5年以上経ったら再接種が勧められます。

こちらの記事の監修医師

グローバルヘルスケアクリニック

水野 泰孝

〇診療科:内科・感染症内科・小児科・アレルギー科・トラベルクリニック

【学歴 】
私立駒場東邦中・高等学校(1982-1988)
昭和大学医学部医学科(1988-1994)
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科(熱帯医学専攻)(1998-2003)
長崎大学熱帯医学研究所(1999)
(Diploma in Tropical Medicine)
タイ王国マヒドン大学熱帯医学部(2001)
(Diploma in Tropical Medicine & Hygiene; DTM&H)
バングラデシュ国下痢症疾患研究所(2002)
(Workshop on Emerging and Re-emerging pathogens)
連合王国ロンドン大学公衆衛生・熱帯医学部(2005)
(Travel Medicine Short Course)

【職歴】
東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修医(1994-1996)
東京慈恵会医科大学付属柏病院・第三病院 小児科助教(1996-1998)
東京慈恵会医科大学付属病院 感染制御部 診療医員(2003-2004)
国立国際医療センター(現:国際医療研究センター)国際医療協力局 厚生労働技官(2004-2005)
国立国際医療センター病院 国際疾病センター(現:国際感染症センター)厚生労働技官(2005-2010)
外務省 在ベトナム日本国大使館 一等書記官兼医務官(厚生労働省より出向)(2007-2009)
国際協力機構(JICA)感染症顧問医(2009-2017)
厚生労働省羽田空港検疫所 非常勤医師(2011-2019)
東京医科大学病院 感染制御部・渡航者医療センター 准教授(2010-2018)
東京医科大学病院 感染制御部 部長(2013-2015)
東京医科大学病院 感染症科 診療科長(2013-2015)
東京医科大学病院 国際診療部 部長(2016-2018)
一般病院・診療所 非常勤医師(2017-2019) 東京都(杉並区、新宿区、葛飾区、世田谷区、千代田区、調布市)、神奈川県(横浜市、川崎市)、千葉県(松戸市、流山市)、埼玉県(所沢市、三郷市、蕨市、羽生市、吉川市、上尾市)、栃木県(真岡市)、群馬県(渋川市)、茨城県(古河市)、山形県(庄内町)、岩手県(奥州市)、北海道(旭川市、釧路市、月形町、江差町)、熊本県(天草市)

【役職】
日本感染症学会評議員
日本熱帯医学会評議員
日本化学療法学会評議員
日本渡航医学会評議員
日本臨床寄生虫学会評議員
日本小児科医会国際委員長
国際協力機構海外協力隊派遣前訓練 感染症講師
株式会社 わらべや日洋ホールディングス釧路工場 嘱託産業医
株式会社JM 嘱託産業医
社会福祉法人ちとせ交友会 嘱託医
株式会社 電通 感染症対策アドバイザー
東京都三鷹市 感染症対策アドバイザー
認定資格
日本感染症学会認定感染症専門医・指導医
日本小児科学会認定小児科専門医・指導医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
日本医師会認定産業医
日本感染症学会推薦インフェクションコントロールドクター(ICD)
身体障害者福祉法指定医(免疫機能障害)
国際渡航医学会認定医(CTH® )
米国熱帯医学会認定医(CTropMed® )
一般旅行業務取扱管理者
PADIスクーバダイビングインストラクター(OWSI)
日本臨床内科医会認定医(~2013)日本人間ドック学会認定医(~2014)日本温泉気候物理医学会温泉療法医(~2015)日本化学療法学会抗菌化学療法指導医(~2017)

治療に適した診療科目

内科 呼吸器内科 神経内科 呼吸器外科 小児科 耳鼻咽喉科

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