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最終更新日:2022年10月14日

びらんせいいえんびらん性胃炎

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝

びらん性胃炎

概要

胃は、食物を消化するために、胃壁から胃酸を分泌しています。胃酸はpH1~2の強い塩酸であり、消化だけでなく、細菌や微生物などを死滅させる殺菌の働きも担っています。こうした強い酸にさらされても胃が自己消化されないのは、粘液がバリアとなって粘膜を保護し、胃液が直接粘膜に触れないようにしているからです。このように、胃は本来とても強いものですが、防御機能の限度を超えた場合や、ストレスなど様々な原因によって、胃の粘膜が炎症を起こすことがあり、その状態を「胃炎」といいます。びらん性胃炎とは、胃の粘膜がびらん(ただれ)を起こした状態をいい、初期の胃炎でみられることの多い状態です。無症状なこともありますが、胃痛や胃もたれ、吐き気などの症状がある場合は、胃酸の分泌過多を抑える制酸薬や、胃の防御機能を高める薬などで治療を行います。発症予防のためには、食生活や生活習慣の改善が有効です。

原因

びらん性胃炎の主な原因として、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)という薬剤によるものや、過度なアルコール摂取、ストレスなどがあげられます。比較的まれな原因としては、放射線やウイルス感染症、血管損傷、直接的外傷や、クローン病などがあげられます。また、急性ストレス性胃炎は、びらん性胃炎のうちの1つに数えられ、突然の病気や外傷による血流量低下、胃酸分泌量の増加、胃粘膜のバリア機能の低下などによって起こると言われています。広範囲に及ぶ火傷、頭部のケガ、大量の出血を伴う外傷などの身体的ストレスに伴い発症するものが代表的な例です。

症状

びらん性胃炎は、典型的には急性に発症して吐血がみられますが、亜急性または慢性な場合もあります。また症状の程度も様々で、ごく軽度な場合や、無症状の場合もあります。主な症状は、消化不良や悪心・嘔吐、吐血、黒い便が特徴的です。重症例または未治療例では,深いびらん、潰瘍、ときに穿孔が生じることがあり、特に急性ストレス性胃炎では、大出血が起こることもあります。胃の炎症が進行すると胃粘膜の修復力は低下していき、粘液も減少していくため、胃酸が直接胃粘膜に触れて自己消化を起こし、やがて胃潰瘍になっていきます。

検査・診断

びらん性胃炎の診断は、症状の問診や、胃カメラ検査(内視鏡検査)により、胃の状態を確認して行われます。少し赤く、浅い陥凹のある隆起が胃の出口に近い部分に多発し、時に出血を伴うこともあります。無症状のびらん性胃炎は、胃カメラ(胃内視鏡)検査によって偶然発見されることもあります。

治療

びらん性胃炎の治療として、薬物療法や、原因の除去、生活習慣の改善などを行います。薬物療法では、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬、胃の運動機能改善薬などを、症状や体質に合わせて選択して行います。また、食生活や飲酒習慣、ストレスなどの生活習慣の改善も行っていきます。重度の胃炎では,必要に応じて、輸液や輸血によって出血の管理を行います。出血に対して、内視鏡的止血術が行われることもあります。

予防/治療後の注意

びらん性胃炎の予防には、胃酸の分泌を促すような飲食物を避けることが有効です。コーヒーや濃い緑茶・紅茶、強い香辛料などの刺激物や、脂質の多い食事は控えましょう。また、過度な飲酒や食べ過ぎにも注意しましょう。規則正しい生活を送り、過労や睡眠不足の解消を心がけ、ストレスを溜め過ぎないようにしましょう。また胃炎の症状は、胃潰瘍や胃がんといった別の病気でも出ることがあるため、市販薬のみで改善を試みるのではなく、専門医を受診するようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

東長崎駅前内科クリニック

吉良 文孝

経歴】
東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業。
東京警察病院での初期および後期研修終了後、消化器内科に入局。
JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長、
都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務を経て、
平成30年に東長崎駅前内科クリニックを開設。

治療に適した診療科目

消化器内科

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