bool(false) bool(false)
薬物性肝障害(薬剤性肝障害)【イシャチョク】

オンライン診療対応クリニック病院検索・クリニック動画紹介のイシャチョク

  • 一般会員
  • 医師会員
  • 法人会員

イシャチョク

一般
会員
医師
会員
法人
会員

最終更新日:2022年10月14日

やくぶつせいかんしょうがい(やくざいせいかんしょうがい)薬物性肝障害(薬剤性肝障害)

こちらの記事の監修医師
東長崎駅前内科クリニック
吉良 文孝

薬物性肝障害(薬剤性肝障害)

概要

肝臓は、食物や薬物など、様々な物質の代謝や解毒を行っている重要な臓器です。薬物が原因で肝臓に炎症が起こることがあり、薬物性肝障害(薬剤性肝障害)といいます。薬物性肝障害は、全ての薬物で生じる可能性があります。病院で処方された薬や漢方薬だけでなく、市販されている健康食品やサプリメントなどでも起こり得ます。自覚症状が無いことも多いですが、重症化すると、生命に関わる「肝炎(劇症肝炎)」を起こすおそれもあるので、早めの対処が大切です。

原因

薬物性肝障害(薬剤性肝障害)の原因の多くは、アレルギー反応によって起こります。薬剤量に関係なく起こり、繰り返し使用するとショックを起こして重症になることがあります。それ以外にも、薬剤そのものや、処理の途中ででる中間産物が蓄積して、肝障害が起こるものもあります。アレルギー反応が起こるかどうかは薬剤を使用してみないと分からず、肝臓での薬剤処理能力は人によって異なり、さらに他の食物や併用している薬剤によっても肝臓の処理能力の強さは変化します。そのため、肝障害を起こすかどうかを事前に予測することは、現時点では完全にはできません。

症状

薬剤性肝障害(薬物性肝障害)を発症するまでの期間は、飲み始めて1週間以内のこともあれば、4ヵ月以上経過してから確認されることもあります。また、肝障害は3種類に分類されます。肝細胞障害型では、肝臓の細胞自体が障害され、代謝・分解能力が低下します。胆汁うっ滞型では、胆汁の流れが妨げられます。黄疸や、皮膚の痒み、ALP値の上昇が特徴的です。混合型では、上記の2つが同時に出現します。薬物性肝障害(薬剤性肝障害)は、多くの場合は症状がなく、軽度の肝障害であることがほとんどです。しかし肝機能障害の程度が強かったり、長引いたりすると、倦怠感や発熱、発疹、吐き気や嘔吐、痒みなどの症状が出ることがあります。放っておくと重症化し、「黄疸」や「脳症」、生命に関わる「肝炎(劇症肝炎)」を起こすおそれもあるので、早めの対処が大切です。

検査・診断

薬剤性肝障害(薬物性肝障害)の診断においては、薬剤の服用歴の確認が重要です。また、血液検査ではAST(GOT)、ALT(GPT)、ALP値に異常が現れます。また、DLST(薬物誘発性リンパ球刺激テスト)は特異的な検査ですが、陽性にならないこともあります。他の肝疾患との区別が困難な場合には、肝生検といって、肝臓の組織を採取して顕微鏡で観察する検査が必要になることがあります。

治療

薬物性肝障害(薬物性肝障害)の治療において、原因である薬剤を中止することが最も重要です。原因薬剤検索も含め、医師の指示にしたがって治療をします。軽症であれば、薬剤を中止すると速やかに回復しますが、症状が長引く場合や重篤化する場合は、肝不全・劇症肝炎に準じた治療が必要となることがあります。また、安静にして脂肪分の少ない食事を摂取するようにし、飲酒も障害が重篤化、遷延化するため、禁酒が必要です。肝機能を改善させるため、ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン製剤、副腎皮質ステロイド薬などの薬剤を服用することもあります。

予防/治療後の注意

薬や健康食品などを服用していて、薬剤性肝障害(薬剤性肝障害)の症状が急に出現したり、持続したりするような場合には、速やかに医師や薬剤師に連絡をしましょう。受診する際には、服用した薬の種類、いつ服用したのか、症状の種類、程度などを医師に知らせましょう。早期の対応策としては、その薬を飲まないことですが、自己判断で中止すると危険な薬もありますので、医師に相談するようにしましょう。アレルギー反応による薬剤性肝障害は、二回目の方が重篤化することがあるため、原因となった薬剤は二度と服用しないようにします。記録を手元に控えて、医療機関を受診した際は共有するようにしましょう。また、飲み合わせの確認のために、お薬手帳も有効です。

こちらの記事の監修医師

東長崎駅前内科クリニック

吉良 文孝

経歴】
東京慈恵会医科大学 医学部医学科卒業。
東京警察病院での初期および後期研修終了後、消化器内科に入局。
JCHO東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)消化器内科医長、
都内内科クリニックや健診専門クリニック、医師会など様々な医療現場での勤務を経て、
平成30年に東長崎駅前内科クリニックを開設。

治療に適した診療科目

消化器内科

消化器内科のおすすめクリニック