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急性糸球体腎炎【イシャチョク】

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最終更新日:2022年2月23日

きゅうせいしきゅうたいじんえん急性糸球体腎炎

こちらの記事の監修医師
八木小児科
八木 由奈

概要

糸球体腎炎は、糸球体に炎症が起こる疾患です。糸球体は血液のろ過を行うためのふるいのような働きをしており、細い毛細血管が毛糸の球のように丸まってできています。糸球体は0.1㎜~0,2㎜の大きさで、一つの腎臓に約100万個の糸球体があります。心臓から腎臓に流れ込んできた血液が糸球体を通ると、血液中の老廃物がふるいにかけられ、ろ過されます。この糸球体に炎症が起こるのが糸球体腎炎で、血尿、蛋白尿、尿量減少、むくみ(浮腫)、高血圧などの症状が出現します。腎機能が改善するまでは、塩分や蛋白質の摂取を控える必要があり、利尿薬などの薬物療法も行われます。感染症が炎症の原因となっている場合には抗菌薬などの治療が併用され、必要に応じて高血圧などの治療も行われます。急性糸球体腎炎は小児~若年者に多い疾患ですが、成人にもみられます。

原因

急性糸球体腎炎には様々なタイプがあり「原発性」と「二次性」に分類されます。原発性の糸球体腎炎は、腎臓そのものから炎症が発生するタイプの疾患、二次性糸球体腎炎は、他の病気に合併して糸球体腎炎が発生するタイプの疾患ことを指します。急性糸球体腎炎は、何らかの感染症状が出現した後に発症します。急性糸球体性腎炎を起こす感染症で一番多いのは、のどの痛みを伴う風邪、すなわち咽頭炎や扁桃炎です。A群β溶連菌感染が最も代表的で、2~10歳の小児が感染症から回復した1~2週間後に発症することが多いため、溶連菌に感染した後は、腎炎の発症を見逃さないよう、必ず病院で尿検査を受けることが重要です。

症状

急性糸球体腎炎の多くは、扁桃やのどの炎症、発熱などの感染症が治ってから、1~2週間後に出現します。コカ・コーラのような黒色の血尿や蛋白尿、むくみ、高血圧などの症状が代表的ですが、約半数の人は何の症状も見られません。その他の症状としては、全身のむくみよる体重増加、体や顔が一回り大きくなるといった体形や顔の変化、体のだるさ、息苦しさなどが見られることもあります。ケースによっては急激な高血圧が起こる場合もあり、注意が必要です。

検査・診断

糸球体腎炎を疑わせる症状がみられた場合、血液検査や尿検査などの検査を行います。必要に応じて腹部超音波検査(エコー検査)、レントゲン検査、CT検査、MRI検査などの画像検査も実施されます。また、咽頭培養検査や血液検査で、溶連菌の感染を確認することができれば、糸球体腎炎の発症を強く疑います。尿、血液検査、画像検査でほぼ診断は確定されますが、より確定的な診断や重症度を知るために腎生検(腎臓の組織を針で採取し顕微鏡で観察する検査)が行われることもあります。

治療

急性糸球体性腎炎は、特別な治療をしなくも時間の経過とともに自然に良くなる予後良好な疾患です。原因となった感染症が特定できた場合、その感染症が未治療であれば、抗菌薬の投与が行われます。急性糸球体腎炎の感染の約2週間後に発症し、それまでに感染症が治癒していることが多いため、糸球体腎炎そのものに抗菌薬を投与しても効果が見られない可能性もあります。発熱が継続している場合や、血液検査で炎症所見が続いている場合、咽頭の炎症がみられる場合などは、抗菌薬治療が行われます。高血圧を伴っている場合は、それを下げる薬(降圧薬)を使用します。先行する感染症や高血圧、腎機能の低下などを伴わない軽症の糸球体腎炎の場合、安静を保ち過労を避けるだけで自然治癒することも多いです。高血圧や腎機能の低下を伴う場合は、腎機能が回復するまでは、蛋白とナトリウムを制限した食事療法を行われます。二次性糸球体腎炎(自己免疫疾患などによって糸球体腎炎を発症している)の場合、ステロイドや免疫抑制薬などを使用して原因となっている疾患を優先的に治療します。

予防/治療後の注意

溶連菌の感染に伴う糸球体腎炎は、特に小児の場合はほとんどが完全に治癒しますので、予後はよい疾患です。しかし、小児の約1%と成人の約10%では尿所見異常が遷延し、腎機能障害が残る場合あります。検尿の異常以外の症状がなくなったら普通の生活に戻します。糸球体性腎炎は、原因となる疾患により予後はさまざまで、自己免疫疾患などの原因疾患が見つかった場合には、免疫抑制薬やステロイド治療などが継続されることがありますが、感染症に伴う一時的な糸球体腎炎の場合、症状の軽快によって治療終了となります。

こちらの記事の監修医師

八木小児科

八木 由奈

《経歴》
平成5年 川崎医科大学小児科学教室 入局
平成7年 井原市民病院小児科 勤務
平成10年 医真会 八尾総合病院小児科 非常勤
河合総合病院小児科 非常勤
生協加納診療所小児科 非常勤
平成17年 八木小児科 開業


《資格》
日本小児科学会認定 小児科専門医
日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
日本小児感染症学会認定 小児感染症認定医
日本小児科医会 地域総合小児医療認定医
日本臨床漢方医会認定 漢方家庭医
厚生労働省 オンライン診療研修修了(登録番号:202002174)

治療に適した診療科目

内科 腎臓内科 小児科

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